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物語の途中で殺される悪役貴族に転生したけど、善行に走ったら裏切り者として処刑されそう  作者: maricaみかん
15章 作られる未来

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513話 必要な判断

 王家に対して起きた反乱。それを収めるためには、かなりの戦力が必要だろう。あちこちから敵が来ているということもあって、多方面で戦うことも求められる。


 ということで、まずはブラック家から戦力を集める必要があった。必要な相手を呼び出して、話をしていく。


「メアリ、ジュリア。手伝ってほしいことがあるんだ。良いか?」

「お兄様が困る原因は、みんなやっつけちゃうの!」

「レックス様が望むのなら、それだけで十分だよ。任せて」


 メアリは元気いっぱいに両手を上げて、ジュリアは握りこぶしを突き出している。どちらも、俺の意見を素直に受け入れてくれるつもりらしい。


 だからこそ、真実をしっかりと話すべきなのだろう。俺のためというより、正確には王家のためだからな。そこを理解させずに戦わせようとするのなら、俺は人でなしだ。ただ人を利用するだけの存在でしかない。


 少なくとも、大切な人相手にはまっすぐに向き合うべきだ。


「実は、王家に対して、大規模な反乱が起きているらしくてな。それで、戦ってほしくてな」

「分かったの! いっぱい殺せばいいだけなら、簡単なの!」

「ミーア様もリーナ様も、レックス様の友達だもんね。大丈夫だよ」


 とりあえず、ふたりとも納得してくれているようだ。それなら、十分だろう。戦わせることは、避けられないだろうし。結局のところ、この世界で戦わずして何かを得ることはできない。なら、仕方ない。


 ただ、絶対に守れるようにする。アクセサリーの防御魔法も、転移魔法も、それ以外も、最大限に活用して。どんな敵が来ようとだ。それだけは、譲れない。どんな手を使ってでも、達成すべきこと。


 まあ、メアリもジュリアも実力者だから、そう簡単には問題にならないだろうが。


「ありがとう。まあ、まだ作戦も決まっていないんだが。どうするかは、未定だな」

「どんな作戦でも、やることは変わらないの! メアリの魔法で、片付けるの!」

「僕はそこまで器用じゃないからね。メアリ様と同じかな」


 俺も、大して器用ではないんだよな。闇魔法の幅が広いだけで、そこまで考えて行動しているわけでもないし。いつも、敵を倒して終わっている。


 理想を言えば、別の解決をすることなのだろう。だが、俺には理想に近づくための手段なんて思いつかない。だから、俺のやり方は決まっている。曖昧な未来のためにみんなを危険にさらすくらいなら、殺し続けるだけだ。それで良い。


「分かった。じゃあ、戦いの時になったらまた呼ぶよ」


 ということで、ブラック家から直接出せる戦力についてはまとまった。後は、残りのブラック家がどう動くかだ。それに関しては、適任が居る。ということで、話に向かった。


「ミルラ、ジャン。他の方針は、決まったか?」

「僕たちも、手を貸すことになりそうですね。といっても、策を練るくらいしかできませんけど」

「魔道具に関して、こちらでも運用を考えてございます。それらを利用することも、手かと」


 ジャンにしろミルラにしろ、戦力として期待するのは間違っている。強みは頭脳なんだから、それを最大限に活かしてもらうのが筋だ。


 ということで、ふたりの役割を完璧に果たしてくれている。俺から言うべきことは、ほとんどない。


「実際、いろいろできそうだよな。こういう時のために作っていた部分はあるし」

「とはいえ、あまり多くは作れません。一般兵に配備することは、難しいと存じます」

「必要なのは、兄さんたちの動きを補助することです。その役割は、果たせますよ」


 まあ、魔道具はまだ兵器として運用できるレベルには、なっていない。だったら、それを前提に策を練るべきなのは当たり前だ。


 そして、今すぐ運用できる範囲でいうと、俺や仲間たちが使うくらいが限度だろう。そもそも、使い方を全員に覚えさせるだけで一仕事だ。量産面を抜きにしても、今すぐ一般兵が使えるものではない。


「まあ、そうだな。ジャンたちが思いついた運用も、必要になるかもしれない」

「できれば、使った段階で破壊したいところではあります。敵に奪われることは、避けたいですから」

「構造の分析は、容易ではありません。それでも、備えて損はないと存じます」


 ふたりの意見は、とても先進的なものだと思える。実際、敵兵の持っている銃や戦車を奪って解析するというのは、よくある話らしいからな。それにたどり着く存在が居る前提で、対処すべきだ。


 俺たちは、まだ抑制的に使える方ではあるだろう。だが、限度を知らない相手に技術が渡ることは避けたい。少なくとも、こちらで対抗できる手段を手に入れるまでは。


「民間人でも強い武器を持てるようなものだからな。お前たちの言うことは、正しいよ」

「はい。マリンさんたちにも、頑張ってもらう必要がありますね」

「どこまで稼働率を上げられるかの実験は、まだだよな。そうなると、あまり無理はさせられない」

「設備や人員に問題が出れば、通常時より遅れる可能性があるからでございますね」

「そのあたりは、マリンさんたちに任せましょう。言い含めておけば、無茶はしないはずです」


 マリンたちにいきなり量産を命じたところで、設備も人員も整っていない。そんな状況で無理を言えば、当然のように破綻するだけだ。そして、信頼も失うだろう。


 どの道、量産は難しい。なら、今は信頼や安全を取るべきだ。危機的状況ではあるものの、間違えてはいけない。


 無理を命じれば量産できるというのなら、話は変わってくるかもしれないが。まあ、ないものねだりだ。


「無茶をして勝てるものでもないからな。なら、普通に頑張るのが妥当だ」

「そうですね。後は、サラさんとシュテルさんをどうするかですね」


 サラもシュテルも、そこまで強くはないからな。直接戦闘を任せるには、不安があるところ。


 とはいえ、ふたりを無視することは、運用面でも感情の面でも良くないだろう。なんだかんだで、優秀だからな。何を任せるかで、采配の腕が出てくるだろう。


「俺としては、直接戦わせたくはないな。正直、荷が勝つだろう」

「僕としても、同感です。主に補助的役割を持たせるのが妥当かと」

「魔法の運用次第では、罠を仕掛けたりもできるでしょう。そのあたりが無難と存じます」


 まあ、そんなところだな。俺も、似たようなことを考えていた。具体的に何を任せるのかは、まだ定まっていないが。とりあえず、直接戦場に出さなくても、役割はある。それが分かっているだけで、意味がある。


 例えば、伝令とか。そういう役割の人がいるだけで、大きく状況が変わるだろう。通話があるとはいえ、必要になる局面は否定できない。そもそも、アクセサリーを渡していないと使えないのだし。


 まあ、今すぐ決めるべきことでもない。急いだ方が良いだろうが、急ぎすぎてもダメだ。しっかりと判断しないとな。


 とはいえ、ジャンやミルラに任せるのが妥当ではあるはずだ。俺の役割は、あくまで話をつけること。それと、実際に戦うこと。そのふたつのはずだ。


「そうだな。じゃあ、ブラック家の役割は決まったということでいこう」


 ふたりにも、しっかり話をしよう。そして、他の家に協力を依頼しないといけない。忙しいことこの上ないが、しっかりとやらないとな。

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