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物語の途中で殺される悪役貴族に転生したけど、善行に走ったら裏切り者として処刑されそう  作者: maricaみかん
13章 狙われるもの

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472話 メアリの努力

 メアリはずっと、お兄様のことが大好き。だから、離れなくちゃいけない時は悲しいの。


 マリンさんたちを連れてきた時も、なんだか忙しそうにしていたから。あんまりお話もできなくて、不満を言いたい気分の時もあったり。


 でも、仕方ない部分もあるの。お兄様にだって、お仕事がある。それをやらなきゃいけないってことくらい、メアリにも分かるんだから。


 それなら、メアリがお兄様に時間を作ってあげれば良い。お仕事を手伝って、メアリとの時間を増やしてもらえればいいの。


 だから、メアリは魔法の練習を頑張ることに決めたの。お兄様の代わりに戦えるように。その時間で、メアリを可愛がってもらうために。


「メアリ、もっと強くなりたいの。お兄様に、勝てるくらいに」


 お兄様より強くなれば、きっといっぱい敵をやっつけられるから。お兄様は、なんだかいつも敵に狙われているから。


 本当は、そんなの相手しないでメアリを可愛がってほしい。でも、分かるから。メアリを守るためにも、頑張ってくれているんだって。


 だから、お兄様の邪魔なんてできないの。それなら、メアリがお兄様のお手伝いをするしかないの。


 そんな事を考えていたら、お兄様はフィリス先生と戦う機会を用意してくれた。勝つつもりだったけど、メアリの魔法も真似されて、もっとすごい魔法を使われちゃった。


「フィリス先生には、負けちゃったの。まだ、メアリは弱いの」


 戦いが終わった後は、自分の部屋で反省会をしたの。どうすれば勝てたかなって。でも、今のメアリじゃ無理だってなった。


 本気の魔法が簡単に真似されるんだから、もっと強い魔法を覚えていなくちゃダメだったの。だからメアリは、フィリス先生の魔法を真似できるように、練習を頑張ることに決めたの。


 そうしているうちに、メアリについての噂が流れ始めたみたい。メアリの属性が増えて、そこには秘密があるんだって。お兄様にもらった力だから、本当ではあるの。


「なんか、メアリが狙われてるの? じゃあ、練習に良いかも!」


 そんな事を考えていたの。実際に人に魔法を使えたら、どれくらいがちょうど良いのかも分かるから。戦いに使うのなら、最後には戦いで試す必要があったの。


 メアリが出かけた時に、ちょうど良い相手が現れたの。新しい魔法の実験に、使ってあげたの。フィリス先生みたいに、魔力をぎゅっと固める新しい魔法のために。


 そのおかげで、いろいろなことが分かったの。魔力が集まっている時には、無理にぎゅってするだけじゃダメだって。しっかりと魔力を合わせる感覚が大事だったの。


 だから、もっと先に進めるって分かった。メアリは、まだ強くなれる。そう分かって、笑顔になれちゃった。


 家に帰ってからも、ずっと魔法について考えていたの。


「いっぱい魔法を使って、もっともっと強くなるんだから!」


 メアリが目指すのは、世界で一番だから。一度負けたからって、諦めたりしないから。


 だって、お兄様にもらった力だから。なりたかった五属性になれたから。それで弱いままなら、ウソだもん。


 メアリは、ずっと頑張っていくの。新しい魔法を覚えて、今ある魔法も強くして。


「お姉様よりも、フィリス先生よりも、どこまでも!」


 ぎゅっと手を握って、メアリは誓ったの。絶対に、誰よりも強くなるって。そのためなら、どんなことでもしてみせるって。


 何度でも戦うし、みんなみんなやっつけちゃうの。


 他の誰かの魔法だって、しっかり勉強もするの。だって、メアリは本気だから。真似でもいいから、強くなりたい。


 最強になることが、メアリの一番大事な目標なんだから。もちろん、お兄様との時間は別だけどね。


 そんな事を考えていたら、思いつくことがあったの。


「せっかくだから、お兄様の魔力も使えないかなあ?」


 それができれば、もっと強くお兄様を感じることもできる。今でも体にお兄様の魔力がいっぱいだけど、もっともっと。


 だから、すぐに試してみたの。いつも魔力を動かすような感じで、お兄様の魔力を動かせないか。


 でも、なかなか動かせなかったの。ちょっとつながる感覚があったくらいで。


「うーん、ちょっと難しいの。今すぐは、無理なの」


 お兄様の魔法も使えれば、メアリの魔法も強くなると思ったんだけどな。ちょっとだけ、下を見ちゃったの。


 だけど、つながる感覚もあったんだから。まだ、諦めるには早いの。まだまだ、先は遠いけれど。


「でも、この調子で練習するの。メアリは最強になるんだもん」


 お兄様の魔法と、メアリの魔法。ふたつを合わせれば、ただの五属性よりもずっと強くなれるはず。そんな気持ちは、消えなかったの。


 それに、メアリとお兄様の魔力がつながる感覚も、とっても良かったから。お腹の奥がきゅーってする感じが、すっごく強かったから。


 やっぱり、お兄様はメアリを幸せにしてくれる。また、そう感じたの。


「お兄様の魔力、もっといろんなところに感じたいな」


 今は、体の表面だけだけど。お腹の奥も、頭の中も、ぜんぶぜんぶ。そうすれば、頭がビリビリするのとか、胸がドキドキするのとか、もっと強くなるはずだから。


 お兄様とメアリは、とっても深くつながっちゃうんだから。どんな恋人だって、負けないくらいに。そう考えただけで、いっぱいやる気が出てきちゃった。


「うん、やっぱり頑張るの。強くなるのも、お兄様を感じるのも」


 強くなれば、お兄様を守れる。そうすれば、もっともっとお兄様との時間も増える。きっと、魔力だっていっぱい送ってくれるの。


 お兄様をいっぱい感じていられたら、メアリはとっても幸せだから。そのために、絶対に諦めたりしないもん。


「お兄様の一番には、メアリがなるんだから」


 もっともっと、好きになってほしいの。抱きしめてほしいの。キスだって、してほしいの。


 今はまだ、お兄様はメアリを妹だって思っているけれど。いつか、特別になってみせるんだもん。女の子としても、好きになってもらうんだから。


 お兄様こそが、メアリの幸せなの。それを、もっと分かってほしいの。だから、メアリは強くなるんだ。


「守ってもらうだけじゃ、レディには足りないの。支え合ってこそ、だよね?」


 お兄様が、よく言っていることなの。メアリだって、お兄様を助けたいから。


 やっぱり、お兄様が笑顔だと嬉しい。悲しそうだと、メアリだって悲しいの。だから、メアリはお兄様を笑顔にしてみせる。


 きっと、お兄様のためじゃない。メアリのため。だけど、それでいいの。お兄様だって、喜んでくれるんだから。


 そのために、まずは強くなるの。魔法の練習だって、毎日続けているんだから。ちょっとずつ、上手になっていったんだ。


「魔力とひとつになるのも、難しいの。でも、諦めないもん」


 ただ魔力を集めるだけなら、ダメみたい。魔力をちょっと薄くして、でもつなげる感じ。とっても細かく使わなくちゃいけないの。


 それに、魔力どうしを近づけようとすると、弾かれそうになっちゃう。まだ、全然成功しない。 


「みんな、魔力とひとつになっているの。メアリだって、負けないんだから」


 お姉様も、フェリシアちゃんも、ラナちゃんも。フィリス先生も、お兄様も。みんなできているの。だから、もっともっと頑張らないと。メアリが、一番になるんだから。


「うん、魔法を使う機会が増えたら、嬉しいの」


 練習がいっぱいできれば、試せることもいっぱい。それなら、いろんな技が使えるの。魔力とひとつになるためにも、やりたいことはたくさんなんだから。


「もっともっと、敵がいっぱいこないかなあ?」


 そんな事を願いながら、魔法の練習を頑張っていたの。少しずつ成長しながら。敵で試したことを、いろいろと変えながら。


「動く的に当てる練習も、悪くないの。やっぱり、敵がいてよかったの」


 たぶん、ひとりで練習していたら、もっと時間がかかっていたの。だから、とっても運が良かったの。わざわざ噂を流してくれて、ありがとうって言いたいくらい。


 でも、お兄様が心配するのなら、それは悪いこと。やっぱり、敵はやっつけちゃわないと。


「まだまだ、先は遠いの。でも、戦いは良い練習なの」


 実際に戦いで使うと、全然感覚が違ってくるの。だから、新しい発見もいっぱいあるの。メアリ、やっぱり戦った方が良いの。


 お兄様だって、ひとりで戦うだけじゃ疲れちゃう。メアリも強くなれる。これが、一石二鳥ってやつなの。


「待っててね、お兄様。メアリ、どこまでも強くなるんだから!」


 そして、もっともっとお兄様と仲良くなるんだから。


 だから、お兄様。ずっと、メアリを見ていてね?

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