表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
物語の途中で殺される悪役貴族に転生したけど、善行に走ったら裏切り者として処刑されそう  作者: maricaみかん
9章 価値ある戦い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

293/572

292話 今後の対策

 ミーアによると、俺の首に賞金をかけた相手がいるのだとか。なら、できるだけ早く対処したいところだ。俺が狙われるだけならともかく、家族や仲間に被害が出たらマズいからな。


 とはいえ、俺の闇魔法があれば、危険があった時には探知してすぐに転移できるし、防御魔法の効果もある。よほどのことがない限りは、何も無いのが普通だろうな。


 それでも、気を抜くのはあり得ない。打てる手は全部打つくらいで、ちょうど良いだろう。それに、ミーアだって動いてくれるんだからな。こちらが適当な動きをすれば、ミーアの気持ちを裏切るだけだ。


 現状では、まだ黒幕は分からないとのこと。それなら、まずは防衛しながらミーアの調査を待つことになるだろうな。


 そんなミーアは、こちらに話があるらしい。なにか言いたげにしているのを感じるからな。とりあえず、聞いていくことにする。


「ねえ、レックス君。いつでも連絡できる手段が、何か無いかしら? それがあれば、動きやすいと思うのよね。今回だって、手紙を送らなくても良かったもの」


 そうだよな。差出人も書かれていない手紙だったし、最悪捨てられていてもおかしくなかった。おそらくは、工作の一環なのだろうが。なら、そもそも手紙が必要ない状況になれば、大きく動きやすくなるだろうな。


 なら、実現する価値はあるよな。とはいえ、どうしたものか。手紙を送るとなると、転移か? ただ、座標指定とかの問題もあるからな。どうやって俺の居場所を特定させるのかという課題もある。


 そういう状況なら、頼れる相手はすぐ傍に居る。会いに行けば、きっと答えてくれるだろう。


「どうだろうな。実際、できれば便利だよな。少し、フィリスに相談してみてもいいか?」

「もちろんよ! フィリス先生も、きっと喜んでくれると思うわ!」


 ということで、フィリスに会いに行く。顔を合わせると、ほんの少しだけ笑みを浮かべていた。いつもは無表情だから、ちょっと新鮮な気分だ。


 こうして会うのも久しぶりだが、普通に話せそうな感じがするな。接しやすさは、エルフとしての経験の賜物だろうか。


「なあ、フィリス。遠くで連絡を取り合う手段は、何があると思う? 何かを送れば良いとは思うんだが、その手段が分からなくてな」

「……質問。誰が相手でも連絡したいのか、あるいは特定の相手だけなのか」


 すぐに出てくるあたり、なにか思いついているのかもしれない。そのあたり、やはり頼りになるな。魔法の知識に関しては、誰よりもある。それは間違いないだろう。


 戦って勝ちこそしたが、今でも俺より優れている部分はいくらでもある。だから、ずっと尊敬し続けるのだろうな。素晴らしい師匠だよな。本当に、出会えて良かった。


「基本的には、ミーアが相手だな。他の相手にも使えると、嬉しくはあるが」

「……理解。なら、贈ったアクセサリーを使えば良い。そこを起点にして、音を送るのが楽なはず」


 なるほどな。贈ったアクセサリーとは、常に接続している。なら、それを利用すれば良いと。素晴らしい案だ。それなら、実現できそうだ。


「確かに、それなら今までのやり方の応用で行けそうだな。ありがとう、フィリス」

「……当然。私はレックスの師匠。頼られたのなら、答えるだけ」


 わずかにだが、口元を緩めている。俺は、間違いなく大切にされている。世界最高峰の魔法使いに。ありがたいことだよな。


 フィリスには、これまで何度も頼ってきた。きっと、これからも同じなのだろうな。だからこそ、もっと成長しなければ。フィリスの望みは、俺が最高の魔法を見せることなのだから。それは分かる。


 とにかく、魔法に興味津々って感じだからな。新しい世界を見せることで、恩返しにしたい。


「俺の師匠がフィリスだったことは、特に大きな幸運だったよ。そうじゃなきゃ、今よりは弱かっただろうからな」

「……相子。私も、レックスのおかげで満たされている。気にしなくて良い」


 穏やかな顔をしているから、本当に満足しているのだろう。嬉しいよな。俺がフィリスを満たせているのは。大切な恩人なのだから、まだ足りない気もするが。


「じゃあ、作りに動くよ。フィリスにも、後で渡すつもりだ」

「……感謝。レックスと連絡できるのなら、ありがたいこと」


 相談を抜きにしても、声を聞きたいものだ。フィリスとの時間は、とても大事なものなのだから。


 そうして、アクセサリーを作りに動いた。まずはミーアの分を作って、その次にフィリスの分を作った。約束の分は、これで終わりだな。


 ということで、渡しに向かう。ミーアは俺の顔を見て、一気に表情が華やいだ。


「できたぞ。これを受け取ってくれ。魔力を込めれば話ができるようにする」

「ええ、もちろんよ。これで、いつでも話ができるわね!」


 アクセサリーを手渡すと、すぐに身に着けていく。今回は、首飾りを贈った。目立たないものの方がいいかと悩んだが、これで正解らしい。大切そうに手にとって、嬉しそうに身に着けていたからな。


 話ができるようになれば、連絡は楽になるだろう。それなら、すぐに動けるだろうな。それに、気軽に話ができるようにもなる。良いことづくめだな。


「そうだな。また話ができるのなら、嬉しいよ」

「リーナちゃんにも渡したいわね! 他の知り合いにも! 渡してほしい相手がいるのなら、私が渡しておくわよ」


 それは確かに助かる提案だ。困ったことがあったら相談してくれればいいし、防御魔法を込めておけば、いざという時にみんなを守ってくれるだろう。


 後は、単純に話ができるだけでもありがたい。物理的に遠い場所に居るから、会いに行くだけでも一苦労なんだよな。転移があるとはいえ、むやみやたらと使えば警戒されるだろうし。


「なら、頼む。まあ、お前が知っているような相手くらいだが」

「ふふっ、そうね。レックス君と仲が良い子は、みんな知っているんじゃないかしら」

「なら、ちょっと待ってくれ。アクセサリーを用意しておく。宛名も書いておくから、確認してくれ」


 ということで、知り合いの分のアクセサリーを準備して、ミーアに渡した。明るい笑顔で受け取っていたな。


「確かに、受け取ったわ! 必ず渡しておくから、安心してね!」

「ああ。みんなで話もできると、楽しそうだな」


 ふたりだけで話をせず、例えば王女姉妹の両方と話をするとか。そういう事ができれば、とても良い時間になるだろう。


 まあ、何時間も話をすることは難しいだろうが。それでも、ハードルが下がったのはありがたい。


「それも良いわね! 今回の事件を抜きにしても、連絡は取り合いましょうね!」

「ああ、そうだな。お前達と話せるのなら、良い時間になるだろう」

「そうね! 私達なら、きっと素敵な話ができるはずよ! だから、こんな事件はすぐに終わらせないとね!」


 ミーアは、決意を込めたような真剣な目をしている。本当に、さっさと解決しないとな。つまらない事件に時間を取られていては、楽しい時間は遠ざかるだけなのだから。


 それに何より、家族や仲間に危険が及ぶ可能性がある。すぐにでも排除したいところだよな。


「ああ。どんな相手だろうとも、打ち破るだけだ。そうしないと、前に進めない」

「私も、全力で調査するからね! その後には、いっぱいお喋りしましょうね!」


 こちらの手を握って言うミーアを見て、明るい未来を思い描くことができた。それを現実にできるように、頑張らないとな。気合いが入るのを実感できた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ