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物語の途中で殺される悪役貴族に転生したけど、善行に走ったら裏切り者として処刑されそう  作者: maricaみかん
6章 ブラック家の未来

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182話 次なる課題

 ブラック家の大きな問題、父を殺すという計画が終わった。その関係もあり、王宮に来ていた。


 参加しているのは、計画に関わっていた人間達。俺とカミラは当然として、直接計画に参加したジュリア、大きな影響を受けたフェリシアとラナ、そして命令を出した側である王女姉妹だ。


 まあ、他にも関わった人間は居るのだろうが。とはいえ、俺はそれを知らない。そして、国王は知る必要がないと判断したようだな。まあ、理解はできる。今回の計画に関わっていて、俺が関わっていない人間は、つまり隠しておきたい手札だろうからな。


 それがあるから、完全に信頼することはできない。ただ、お互い様だろう。俺の側にだって、隠していることはある。その上で、どこまで信じるか。今後は大事になってくることだ。


 とにかく、信じられるための行動は必要だろう。そして、信じるという姿勢を示すことも。誰も信じない人間は、誰からも信じられない。それは当たり前の事実なのだから。


 まあ、今の俺にできることは少ない。ブラック家には傷がある。その状況で主導権を握るのは難しいだろうからな。


 ということで、まずは国王の話を聞くことからだ。俺はひざまずきながら、国王の言葉を待つ。


「皆のもの、よくぞ来てくれたな。今回は、ブラック家についての裁定を話そうではないか」


 まあ、そうなるよな。当主が死んだことで、これから先どうするかを決めるのは必要なことだ。できることならば、悪い方向には進んでほしくない。とはいえ、相手次第だ。こちらから望みを言ったところで、国王の意志ひとつで決まるだけだろう。


 ただ、カミラやメアリ、ジャンに被害が及びそうなら、絶対に抵抗はするだろうが。そこは決まっている。


「かしこまりました。どんなご命令でも、承ります」

「あまり緊張するな。レックスにとっては、そこまで悪い提案ではないはずだ」


 国王は柔らかい表情で語る。まあ、表情などいくらでも作れる人間ではあるのだろうが。とはいえ、こちらに対する友好的な姿勢は感じる。だから、大きな不安はない。


「それでは、期待させていただきます」

「ああ。とは言っても、単純なものだがな。レックスよ。お前を、ブラック家の当主に任命する」


 そう来たか。まあ、代わりも居ないからな。ブラック家を取り潰しにしないのなら、他に道はないだろう。可能性としては、ブラック家が無くなる方向性も想定していた。知り合いさえ無事なら、それで十分だとも思っていた。


 ただ、安心している俺がいる。やはり、家に愛着はあったのだな。まあ、俺という人間がどんな性格かを考えれば、当たり前だ。なにせ、極悪人の父にすら情を抱くのが俺なのだから。


 まあ、それはいい。重要なのは、今後どうしていくかだよな。当主としての仕事を、きちんとこなせるだろうか。少なくとも、俺ひとりでは無理だ。誰かの協力がなければ。ただ、努力することだけは決まっている。カミラやメアリ、ジャンのような家族の今後に関わるのだから。


 それに、アリアやウェス、ミルラのようにブラック家で仕事をしている人間にも。だから、手を抜くのは論外だよな。


「陛下のお望みのままに」

「私達からも、サポートはしますからね。安心してくださいね、レックス君」


 ミーアはよそ行きの敬語を使っている。なんというか、むずむずする。いつもの明るいミーアの方が、好きなんだよな。太陽みたいな印象を受けるときの方が。いや、仕方のないことではあるのだが。


「ということだ。いったんアストラ学園は休学し、ブラック家の安定に努めるが良い」


 まあ、それしかないよな。俺がアストラ学園に通っている間に、ブラック家が潰れては意味がない。そうなると、当然の判断だろう。だが、少し心配でもある。原作の事件はまだ先のことだが、そもそも原作が崩壊しているのだから。


 とはいえ、優先順位を決めるのは大事なことだ。何もかもをこなそうとすれば、どれも失敗するだろう。今回は、ブラック家を安定させる。そこが大事になるだろう。


「つまり、僕達はレックス様を支えればいいんですね」

「ああ、その通りだ。カミラも、ラナも、フェリシアも、手を貸してやってくれ」

「仕方ないですね。弟のことですから。ちゃんと、助けますよ」


 いつもはツンケンしているカミラも、今回ばかりは敬語だ。前は違ったような気がするから、成長したのか、俺の立場に気を使ってくれているのか。


 どちらにせよ、カミラの行動を無意味にしないためにも、俺がちゃんとやらないとな。もちろん、手を借りるべき場面では借りたいが。


「わたくしも、最大限に力を貸しますわ」

「あたしもです。レックス様には、たくさんのご恩がありますから」

「とのことだ。お前は、慕われているな。それは、大切な財産だ。ゆめゆめ、忘れることのないように」

「もちろんでございます」

「そうだな。レックス、お前は自分で見出した人材を、アストラ学園に入学させていたな。その者たちも、使うと良い。本来、そのためのものだろう」


 実際、そのために集めた。とはいえ、あまり大変なことに巻き込みたくはない。今となっては、大切な人達なのだから。


 だが、ブラック家が潰れて困るのは、学校もどきも同じか。そうなると、俺ひとりの問題ではない。しっかりと、相手の意見も聞かないとな。


「かしこまりました。できる限り、力を借りたいと思います。本人次第ではありますが」

「きっと、レックス様の頼みなら、みんな喜んで受けると思うよ」

「同感ですね。レックスさんは、自分で想像しているより、大事にされていますよ」

「そうですね。レックス君のこれまでが、しっかり評価されている証です」

「こうして、我が娘にも大事にされていることだからな。だからこそ、お前には目をかけているのだ」


 リーナもミーアも、俺を大事に思ってくれているのだろうな。だからこそ、任された仕事はちゃんとこなさないと。心配も迷惑も、かけたくないのだから。


「ありがたき幸せです」

「レックス君には、これまで何度も助けられてきましたからね。今度は、私達が力になる番です」

「そうですね。レックスさんのおかげで、今の私達がありますから」

「どうしてもというのなら、付き合ってあげますよ。弟なんですから」

「わたくしだって、レックスさんが望むのならば、いかようにも」

「あたしは、何でもしますよ。レックス様が命じてくださるのなら」

「僕だって、頑張るよ! 今度こそ、本当に力になってみせるから!」

「今回とて、難題ではあるだろう。だが、お前達ならば乗り越えられる。そう信じているぞ」


 俺だって、みんなとなら乗り越えられると思う。だから、まずは突き進む。取りこぼしが少ないように、振り返りながら。


「ありがとうございます。その期待に添えるように、全力を尽くします」

「その意気だ。失敗したとて、こちらで援助はする。だが、まずは全力で。その姿勢があってこそなのだから」


 そうだよな。国王の言葉は正しい。まずは、俺が努力する。手を借りるにしても、避けては通れないところだ。


 よし、頑張っていこう。みんなとの幸福を、絶対に手放さないために。

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