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物語の途中で殺される悪役貴族に転生したけど、善行に走ったら裏切り者として処刑されそう  作者: maricaみかん
4章 信じ続ける誓い

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144話 ミュスカ・ステラ・アッシュの野望

 私は、レックス君に信じてもらうために、いろんな努力をしたよ。最近のものだと、彼の部屋での会話だと思う。


 あれには、私の本心も多く混ざっていたよ。だから、きっと効果があったんだと思う。


 とにかく、私を信じてもらえないことには、何も始まらない。だから、必死だったんだよね。


 レックス君を好きなのは、きっと本当のこと。そうじゃなきゃダメなんだよ。だって、ウソをついたままじゃ、信じてもらえないんだから。


 どこかで、私のことを疑っている。そんな彼に、単純なウソが通じるはずもないんだから。


 だから、頑張ったよ。レックス君の良いところを、何度も頭で繰り返した。助けてくれた瞬間のカッコよさを、頭に刻みつけた。


 その感情を叩きつけたことで、うまくいったはずなんだよ。


「レックス君は、きっと私を本気で信じてくれたよね」


 私の涙は、本物だって。私の好きって気持ちは、心からのものなんだって。正解だよ。感情があふれるくらいの想いを、私は持っているんだから。


 それに、私を泣かせたくないって考えてくれた。やっぱり、優しい人だよね。そこは絶対、レックス君の良いところだよ。


 特に、本当に誰にでも優しい訳じゃないところが。私を特別に想ってくれているのを、理解できるからね。


「うん、嬉しいよ。レックス君の気持ちは、とっても」


 私をもっと好きになってほしい。それは間違いのない本心だから。もっと素敵だって思ってほしいし、可愛いって思ってほしいよ。


 だからこそ、レックス君に伝わらないのは、苦しかった。その想いが、あの涙なんだよ。


「泣いていたのがどうしてかって、故意なんだけどね」


 恋でもあるけれど。私は、レックス君に嫌われる未来を想像し続けた。私の本心に気づかれて。悪人だって思われて。下位互換の闇魔法なんていらないって思われて。


 思いつく限りの、様々な別れを考えたよ。レックス君と過ごす、楽しい時間の最中にね。だから、悲しさがあふれたんだ。


 狙い通りに涙を流して、それでレックス君は私を心配してくれた。何よりも、私を信じるって約束してくれた。


 とっても嬉しくて、幸せだったよ。だって、レックス君が私を大好きで居てくれるって証なんだもん。


「本当に、隙だらけだよ。そんなところも、好きなんだけどね」


 きっと彼は、私を疑うことに罪悪感を覚えてくれる。私を、もっと好きになってくれる。心の底から、私を大事にしてくれる。


 なんて可愛いんだろう。私を悪人だって疑っていた人の行動じゃないよね。


「これから、何をしようかな? またデートも良いよね。今度は本当にキスしちゃおうかな」


 抱きついちゃっても良い。以前より、ずっと激しく。心と心がつながるくらいに。その上で、体までつながっちゃったら。きっと良い思い出になるよね。


 私にとっても、レックス君にとっても、最高の瞬間のはずだよ。運命のふたりが結ばれるんだから。


「あー、楽しみでいっぱいだよ。レックス君は、素敵だね」


 何をするか考えているだけで、ドキドキできるんだ。いろいろな未来が、想像できるから。


「一緒に居ても楽しいし、これから先に裏切っても良い。最高だよね」


 レックス君は、間違いなく私を大切にしてくれる人だもん。きっと、私の本性を知ってもね。というか、もう知っているのかもしれない。


 そんな人、今までには居なかったよ。私の外面に騙されて、振り回されるだけの人しかね。


 だから、私にとってもレックス君は特別なんだ。いろんな意味でね。だから、もっとずっと好きになってほしいよ。それは、心からの気持ちなんだよ。


「もっと役に立って、信じてもらって、楽しい時間も過ごす。うん、良い感じだよ」


 レックス君の心の中で、私が大きくなっていくように。私を、誰よりも好きになってもらえるように。


 そうなれば、お互いに幸せだよね。レックス君は、私に尽くされて嬉しい。私は、レックス君に想われて嬉しい。


「私が居なくちゃ生きていけないレックス君とか、絶対可愛いよね」


 私に依存しつくして、私を失ったら死んじゃうくらいの。そんな未来を想像するだけで、胸が暖かくなるんだ。


 だって、レックス君ほど強くて素敵な人を、私のものにできるんだから。


「うん、裏切ることだけがすべてじゃない。道が開けた気分だよ」


 そうだよね。ひとつの手段にこだわらなくて良い。大切なことだよ。今後、どんな風に未来が変わるのかなんて分からない。だからこそ、選択肢は多い方が良いんだ。


 裏切ってもいい。依存させてもいい。体におぼれさせてもいい。執着させてもいい。いろんな道があるんだよね。


「とにかく、私をレックス君の人生にできれば、それで勝ちなんだから」


 レックス君に勝つ。そのために、裏切るつもりだったんだからね。私より強くて、慕われていて、恵まれている人に勝つために。


 でも、どの手段でも同じことだってあるよ。それは、レックス君には、もっと私を好きになってもらうべきだってこと。


「どんな道を選ぶにしても、もっと仲良くして、いっぱい思い出を作る。そこからだよ」


 レックス君の日常には私が居て、私の日常にはレックス君が居る。そうすることが、大事なんだ。とにかく、お互いに楽しい時間を過ごして、幸せになって。その先に、思い描いた未来があるんだから。


「うん、頑張っていこう。いろんなこと、したいよね」


 授業で協力したり、一緒に敵を倒したり。ふたりだけの魔法を作ったり、ふたりだけの時間を過ごしたり。


「まずはレックス君に、私を好きになってもらうんだ。そのために、一歩ずつ」


 好きになってもらうには、努力しないとね。可愛いって思ってもらえるように。優しいって感じてもらえるように。魅力的な女の子だって、認識してもらえるように。


 何よりも、ふたりの時間を楽しんでくれるように。


「もっと料理の勉強をしようかな。それとも、手を繋ぐ練習でもしようかな」


 やりたいことが多くて、ワクワクしちゃう。今の私は、きっと誰よりも人生を楽しんでいる。


「レックス君のおかげで、とっても幸せだよ。ありがとう」


 私の、本当の感謝の気持ち。どんな未来を選んでも、きっと変わらないこと。裏切るとしても、依存させるとしても。他の道だとしても。


「だから、レックス君を奪う人間は、絶対に許さないよ」


 それだけは、決まりきっているんだ。レックス君と私は、いつまでも一緒に居るべきなんだから。


 だから、これから先もずっと、よろしくね、レックス君。

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