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物語の途中で殺される悪役貴族に転生したけど、善行に走ったら裏切り者として処刑されそう  作者: maricaみかん
4章 信じ続ける誓い

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134話 確かな成果

 フィリスとの戦いでは、大きな成果を手に入れられたと言って良い。自分の本心とも向き合えたし、実力を引き出すことにも成功した。


 機会を作ってくれたフィリスには、ものすごく感謝している。というか、俺の師としての行動には、どれだけ感謝しても足りないくらいだろうが。エリナも含めて、お礼できればいいな。


 まあ、お互いに忙しいから、時間を作ることは難しいだろうが。ものを贈るにしても、必要そうなものは、ほとんど渡したからな。


 言葉だけでは、足りない気もする。だが、言わないよりはマシか。また会うことがあったら、礼を言っておこう。


 まあ、素直な言葉を口にできないから、ひねくれたものになってしまうのだが。ただ、2人には伝わると思うんだよな。だから、言うだけでも。


 今日は休日だから、次の授業が終わった頃にでも。あるいは、始まる前にでも。いずれにせよ、今日に会うのは難しいだろう。


 なにせ、2人がどこにいるのか分からない。贈ったアクセサリーがあるから、探そうと思えば探せるが。ストーカーみたいなことをするほどの要件ではないと思う。


 ということで、広場みたいな場所で休憩していた。今日も訓練しても良いのだが、たまには休むのもいいだろうと。


 すると、誰かが近寄ってくる気配を感じた。そちらを見ると、王女姉妹が居た。何か用だろうか。あるいは、偶然だろうか。


 どちらにせよ、手を振って歩いてくるので、これから話すことになるだろう。俺としても嬉しいので、歓迎ではあるが。


「ねえねえレックス君! 昨日の戦い、すごかったわね! 私、感動しちゃったわ!」

「姉さんは興奮しすぎですよ……。実際、影響は受けたとは思いますけど」


 まあ、間違いなく最高峰の魔法使いの戦いだからな。それは見ごたえもあるだろうさ。俺だって、なんだかんだで強いからな。フィリスにも勝つくらいなのだから。


 というか、勝てるとは思っていなかった。それこそが、俺の問題点でもあったのだろうが。自分で自分を縛っているのだから。


 まあいい。克服できたことだ。気にしすぎても仕方ない。それよりも、今後のことだよな。今なら、王女姉妹と何を話すか。それでいい。


「俺が最強という事実を証明できたわけだ。まあ、当然だがな」

「闇魔法、すごいわよね! でも私は、五属性と闇を混ぜたのが気になったわ! 光魔法でも、似たようなことができないかしら!」

「フィリス先生の本気を見ると、五属性の可能性を感じさせられましたね。もっと、検証したいです」


 やはり、向上心でいっぱいだな。そういう友達が多いからこそ、俺も頑張ろうと思える。無論、原作の事件を乗り越えたいという気持ちはある。だが、義務感だけでは限界があるからな。


 少しくらいは楽しめないと、続かない。それは正しい事実だ。そのための支えに、みんなはなってくれるだろう。


 一緒に努力するのは、間違いなく楽しいのだから。負けたくないという気持ちも、確かに力になってくれるのだから。


 フィリスやエリナが師匠として優秀だったのは間違いない。だが、友達の存在もあったからこそ、今くらいに強くなれた。これからも強くなれる。

 

 だから、実利の面でも、みんなは大事にするべきなんだよな。俺にとって大切だからというだけではなく。


「お前達も、立ち止まるつもりはないということだな。それができないならば、あきれるところではあるが」

「当たり前ですね。まだ、道は遠いです。私はあくまで、少し強い程度でしかないんですから」

「もっともっと、強くなりたいわよね! みんなで、最高の未来を手に入れるために!」


 ミーアの言葉には、強く同意するところだ。俺達の目標は、同じところにある。だからこそ、仲良くなれたのだろう。


 ただ、俺が未来のために強くなろうとするのは、原作知識があったおかげではある。自分だけで同じ答えにたどり着いたミーアは、とても尊敬できるよな。


 何なら、俺には前世の経験があるのだから。そう簡単に、負けていられない。


「俺だって、まだ強くならないとな。フィリスが10人いようと、勝てるように」

「めちゃくちゃなことを言いますね……。ただ、努力を続けるのは良いことです。私も、負けていられませんね」

「まずは、私達で協力する練習をしましょうよ! 虹の祝福(リーンフォースブレス)も良いけれど、2人だけでもできるようなものも、良いわよね!」

「同感です。必ず3人で一緒に居られる訳じゃないですからね。邪魔をする人も居るでしょうし」

「難しいことは後で良いわ! とにかく、試してみましょうよ!」

「そうですね。力を持っていて、損はありませんから」


 ということで、学園の訓練場へと向かう。今日は休むつもりだったが、まあ良いか。王女姉妹との時間は、間違いなく楽しいんだから。息抜きとしては、悪くないはずだ。


「まずは、私とレックス君が協力してみましょう! 私の魔力、奪える?」

「とりあえず、試してみないとな。光魔法の性質上、難しそうだが」

「ああ、他の魔力の影響を受けませんもんね。光魔法が五属性より上と言われる原因です。忌々しいですが、正しいのは実感しますよ」

「そんな事はいいじゃない! とにかく、試してみましょう!」


 実際に、ミーアが魔法を使い、俺がそれに侵食しようとする。だが、弾かれるような感覚があった。数度試していくものの、成功しない。


 やはり、原作で闇魔法への対抗手段とされていただけのことはある。無属性ともども、相性が悪いんだよな。


 闇魔法は、基本の五属性に対しては無類の強さを誇る。だが、だからといって最強ではない。改めて実感できた。これからも、油断はできない。


 まあ、ミーアを倒すための手段なら、思い浮かびはするのだが。というか、魔力量でゴリ押しするだけでいい。ただ、もっと効率のいい方法も、あるかもしれない。今後も努力を続ける、いい理由ができた。


「……やはり、難しいな。どうしても、反発しあうようだ」

「それならそれで、フィリス先生の五曜剣(チェインブレイド)みたいにしちゃいましょうよ!」

「悪くないかもな。一度、実験してみるか」


 思いついたことを試すために、お互いに魔法を放ってぶつけ合う。それを、目をあわせてタイミングを計り、反発に任せてみる。すると、お互いの魔法が大きく弾き飛ばされ、そのまま周囲が吹き飛んでいった。


 単に魔法を放つ以上に強いように見えるので、確かに意味はあるだろう。ということで、数度繰り返して、調整していく。


 すると、魔法同士がぶつかり合うタイミングで中心のものを壊し、反発で周囲を吹き飛ばす構造の魔法ができた。


「うん、うまくいったわね! とりあえず、新しい技ができたわ!」

「姉さん、次はこちらに譲ってくださいよ。試したいことが、あるんです」

「それで、どんな案なんだ?」

「単純ですよ。私の魔法の制御を、レックスさんに奪ってもらうだけ。それによって、効果を追加できないか、検証したいんです」

「いいだろう。試してみるか」


 リーナが隕石を放ち、それに闇の魔力を侵食して、操作を奪う。すると、思いのままに隕石を制御できた。上にも下にも、右にも左にも。


 これまでの隕石は、一直線に突き進むだけだった。それを制御できるだけでも、大きな成果だろう。


 だが、さらに追加で効果を発揮できないか、何度か検証していく。すると、隕石が叩きつけられた時、その破片まで制御できることが分かった。もっと言えば、隕石を爆発させることもできる。


 とにかく、様々な形で運用できる。それが分かっただけで、十分な成果だと言えるだろう。もしかしたら、もっと先もあるのかもしれないが。まあ、急いだところで結果は出ないだろう。


 ひとまずは、確かな成果をつかめた。それで満足しておこう。あまり根を詰めすぎても、疲れてしまうからな。


「ふむ。無理やり隕石の軌道を制御できるのは、悪くないな」

「同感ですね。それに、衝撃に指向性をもたせられるのも」

「良い感じじゃない! ねえ、またみんなで協力しましょうね! こんな時間は、いくらあっても良いわ!」


 楽しそうに笑うミーアと、そっぽを向きながらも満足そうなリーナ。その2人を見て、今みたいな時間を、また何度でも作りたくなった。

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