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運命の人探し

「ジュエル=ヴェリナ侯爵令嬢!クレイル・シェラザードの名のもとに婚約破棄をこの場に宣言する!」

「まあ!本当ですか?!ありがとうございます!!」

「どうだ?少しは反省したか?!、、、はっ?」

「殿下、本当にありがとうございす!殿下の婚約者になってから本当に窮屈で仕方がなくて、、、私を自由にしてくれてありがとうございます!」

「はぁ?!」

「それではこれにて失礼します!」


やった〜!!!!これでようやく自由だわ!この日をどれだけ待ちわびたことか、、、

婚約者のクレイル様、いえ、元婚約者のクレイル様は女好きでそのくせ婚約者に自由を与えない最低最悪馬鹿アホクズ男なのです。やっと別れてくれてせいせいしたわ!

さぁ、早くお家に帰ってお父様とお母様にお話しなくては!


「ただいま帰りましたわ〜!」

「ジュエル、、、今度は婚約破棄かい、、、」

「まぁ、お父様、そのように気を落とさないで。相手側が浮気しているのはわかりきっているのだからそれを突きつければ軽く1000万はふんだくれるわ」

「そういう問題ではなくてだな、、、。相変わらずお転婆すぎるんだよ、、、」

「まあまあ、これが私ですから。それにお父様もずっと前から婚約に反対していたではないですか、ねぇお母様?」

「そうねぇ、あんなクズ男と可愛い娘が結婚しなくてよかったではありませんか」

「お母様もなかなか言いますね」

「ふふっ、ではあの運命の人をもう一度探すのかしら?」


ピキッ、シーン


その場が凍る。

運命の人のことは内密にってお母様に言っていたのに、、、!!ああ、お父様から黒い覇気が漂ってきてる〜!


「ジュエルぅ?どういうことかね?詳しく聞かせてもらおうか?」

「お母様ぁ!言わないでくださいって言っていたじゃないですか!」

「あら、口が滑ってしまったわねぇ。ごめんねぇジュエル」

「ジュエル、今すぐ書斎で”お話”しようか」

「まあまあ、貴方も落ち着きなさんな。いつまで娘を手放したくないからと過保護にするのですか」

「そうよそうよ!私だっていつまでもちっちゃい子供じゃないのよ!」

「ううっ、でも可愛い娘はずっと手元においておきたいじゃないか、、、」


はぁ、全くお父様ったらいつまで経っても過保護なんだから。まあ、私がその反動でお転婆になって更に過保護になったような気もするけど。


「で、ジュエルの運命の人とは誰なんだ?!」

「右手の親指の付け根に雪だるまのような2つ繋がったほくろを持っている人よ」

「他になにか特徴はないのかい?流石にそれだけじゃあ見つけられないよ」

「きれいな白いお肌に漆黒の瞳、長身でスラリとした体型ですわ」

「その御方とはいつ出会ったのかい?」

「ええと、、確か3年前ね。執事のアクアが家に来たくらいのときですわ」

「随分前の話だな、、、それだけ時間が離れていると見つからない可能性のほうが高いぞ」

「わかっていますわ。でも他のどの殿方と会ってもあのお方が頭の中から離れないんですもの」


私の運命の人は多分魔法使い様。魔法使いは今は忌み嫌われている存在だけどあの方が使った魔法は全然禍々しい、気持ち悪いものでもなくて、優しい、暖かみの感じる魔法だったわ。

彼と出会ったのは3年前の風が吹く、薄ら寒いような日。まだ学生だった私はお昼をいつも学園の裏庭にある東屋でひとり静かに食べていました。するとクレイル様と誰だかわからない女性が私に気づかず近くの木陰でイチャイチャし始めたのです。今更クレイル様の浮気を咎める気にもなれず、気配を消して東屋に隠れていたのです。その後、お昼休みが終わり二人は教室に戻っていきましたがあの二人がいる教室に戻りたくなくてそのまま東屋でボーっとしていたのです。そして一人になった途端自分の惨めさ、窮屈さに涙が出てきました。慌てて涙を拭おうとすると横からすっとハンカチが差し出されました。色々不安定だった私は何も考えずにハンカチを受け取り、涙を拭いました。少し落ち着いてから慌ててハンカチを貸してくれた方のお礼を言おうと顔を上げると私を心配そうに見る優しい、きれいな黒い瞳がありました。彼の顔はほとんどが黒いローブで覆われていて、瞳と、はみ出ている髪がとてもつややかな黒色だということしかわかりませんでした。彼はくぐもった声で私に話しかけました。


「あの、、、大丈夫ですか?」

「ええ、ハンカチを貸してくれてありがとうございます。洗ってお返しするのでお名前をうかがっても?」

「いえいえ、そんないいですよ。名乗れる身分でもないですし」

「でも、、、」

「いいんですよ。それにあまり長居はできませんから」

「またあなたに会いたいわ」

「また会えたらいいですね。ささやかですがあなたに祝福を」

「えっ、、、わぁぁ!」


彼が祝福を、とつぶやき、右手を私にかざしたとたん、手から光が舞い、花が降ってきたのです。

驚き、見とれているうちに彼は姿を消してしまいました。右手の親指にあった雪だるまのようなほくろがやけに印象的でした。

本当にまたいつか会いたいものです。


「ジュエル?どうしたんだ、ぼーっとして」

「あのお方と出会った時のことを思い出してるだけですわ」

「そうかい、でもな、その、言いにくいんだが見つかる確率はかなり低いぞ」

「わかっていますわ。でもお願いできませんか、お父様?」

「わかった、執事のアクアにも手伝ってもらって探してみよう」

「ありがとうございます、お父様!」


お父様が私のおねだりに弱いのは知ってるんだから!これで少しは見つかりやすくなたはず!

アクアにも運命の人の話はしていなかったからあとでしなくては。アクアはすごい優秀な執事だからきっと見つけてくれるわね!さぁ、今日はもう夜も遅いし、明日の朝にアクアには話しましょう。

のぞです!よろしくお願いします!

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