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8-3 ラブに呼ばれて



 いやー、今日は食べすぎたっす。

 それにお酒を飲み過ぎでした。

 あれからも僕たちは騒ぎ通し、誕生会を解散となったのは夜の六時近くでした。

 もっと騒いでいたい気分でしたが、巡行狼車の時間がありますね。

 僕たちは帰宅し、家のベッドですぐに寝てしまいました。

 ……その後。

 僕たちは、宇宙空間に浮いていたっす。

 ――またですか?

 辺りを見ると、ヒメにイヨ、レドナーの姿があります。

 みんなパジャマ姿ですね。

「またなの?」とイヨ。

「またかニャーン」とヒメ。

「おおーい、今回はどんな用事なんだ? あの、ラブ様って言ったっけ?」とレドナー。

「とりあえず、ラブ様が来るのを待ってみよう」と僕。

 そして待つこと数十秒。

 僕たちの目の前に光の柱が立ちました。

 栗毛をお団子ヘアーにしたラブが登場したっす。

 オレンジ色のチャイナドレスを着ていますね。

 そして右手には虹色の拡声器。

 それを口元に当てたっす。

「こんばんはー! 勇者候補生のみなっさーん!」

 みんなが両手を耳に当てました。

 ヒメが目の上にしわを寄せて抗議します。

「お前、うるさいニャーン」

「あ、ごめんごめん。挨拶だけは元気いっぱいにしようと思ったんだよね」

 ラブが拡声器を下ろします。

 イヨが両手を腰に当てました。

「それで、今回はどんな用事なんですか?」

「ふっふーん、それはねー」

 ラブが左手のひらを掲げたっす。

 そこに一冊の茶色い本が出現します。

「前に約束したよね? イヨ、強くなったら、シークレットランクスキルをプレゼントするってさ」

「あ、はい! くれるんですか?」

 イヨは驚いたようで、期待に瞳を大きくしたっす。

「うんうん。僕、この宇宙からずっとイヨのこと見てたけど、最近はやけに修行熱心じゃない? だからくれることにしたんだー。はい、これ、スキルだよ。いま覚えてね」

「あ、ありがとうございます」

 イヨがスキル書を受け取りました。

 他の三人も覗き込みます。

 本の表紙にはシールドフェアリーと書かれていますね。

 イヨが質問したっす。

「あの、このシールドフェアリーはどんな効果なんですか?」

「それは使ってみてのお楽しみだよー。ただ一つ言っておくと」

 ラブが人差し指を振ります。続けて、

「イヨはもう盾を持つ必要は要らなくなるよ」

「そうなんですか?」

「うん!」

「ふ、ふええ」

「ほらほら、さっさと習得しちゃって!」

「わ、分かりました。習得」

 イヨの持つスキル書が光りを帯びて消えたっす。

 ラブは満足そうな表情で顎を二度引きました。

「俺にも何か欲しいんだが」とレドナー。

「あたしにも何かプレゼントは無いかニャン?」とヒメ。

「無いよー」

 ラブは目を細くしてにっこりと微笑みます。

「無いよー」

 大事なことなので二回言ったようです。

 二人ががっくりと肩を落としました。

 僕が尋ねたっす。

「あの、ラブ様、他に用事は無いんですか?」

「あたくしの用事なんて決まり切ってるじゃん。早くイヅキを殺してって、それだけだよー。あと魔王の封印。この宇宙から見てたけど、レドナー、君はイヅキに歯が立たないみたいだっだね」

 レドナーは痛いところを突かれたような顔で眉をひそめたっす。

「次は、勝ちます」

「できるかなー? そんな宣言しちゃって」

「じゃあどうやったら勝てるかニャン?」

「まず」

 ラブが人差し指を立てましたね。続けて、

「勇者の娘のミルフィに、合宿でもっと修行をつけてもらいなさーい。二週間に一回のペースでやって良いと思いまーす」

 合宿は今でも一ヶ月に一回はやっていますね。

 あんまりハイペースでやると疲れて身体がボロボロになるっす。

 しかしイヨは頷きました。

「分かりました」

「お! 聞き分けの良い子だ。それじゃあ、そんな感じで頑張れ勇者候補生たち!」

「待ってくれ! ラブ様。何もくれなくて良いから、せめてアドバイスをくれ」

「アドバイスゥ? レドナーは、どんなアドバイスが欲しいのー?」

「俺の剣技は、どうしてイヅキに歯が立たないんだ?」

「簡単だよ」

 ラブは口角を上げて微笑したっす。

「大精霊たちの恩恵の力の違いだねえ」

「イヅキはいくつ集めているんだ?」

「10は超えてるんじゃないかなー?」

「マジか! くそ、俺はまだ4でしかねえってのに!」

「うーん。まあこれからも旅をして、大精霊のいる村や町に行って見るといいねー!」

「そうするか」

「うんうん、じゃあ用事も済んだし。あたくしは帰るけど、他に質問のある人?」

「あたし、最近ぜんぜん強くなって無いニャーン」

「え? ヒメちゃん新しいスキル覚えてるよ?」

「本当かニャン?」

「うんうん。後ほど自分でスキル鑑定してみるといいよ。さて、それじゃねー! グッバーイ、というより、グッナーイ!」

 そして宇宙空間が白い光に包まれたっす。

 僕たちは各々の夢の中に戻っていきました。



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