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8話:呪具が誘う迷宮探索②

 冒険者のトップに立つ10人の精鋭、それが"十拳"。


 当初はギルドが定める高難易度ミッションを複数こなしたものに贈られる、ただの称号だったという。それがいつしか冒険者としての格付けの指標として扱われるようになり、名声だけでなく富も付いてくるようになった。


 ギルドにしても、彼らには利用価値があった。


 単純な広告塔として、動かしやすい駒として、はたまた冒険者との仲介役として。色々と厄介事を押し付ける分、ギルドはその実力を大いに称え、資金面や情報面で融通するギブアンドテイクの関係を築き上げたのだ。


 時には「ギルドの犬」と揶揄されることもあった彼らだが、その実力は本物。


 順位の入れ替わりはあれど、新参者がその座を脅かすことは早々あることではなかった。しかし、冒険者は短命である。その勇猛さ故に未知に飛び込み、命を落とすものも多かった。仮に命を拾ったとしても、最早トップ集団には留まれない。


 束の間の栄光の裏にあるのは、孤独に染まる影。


 そうしたものは誰に言われるでもなく、静かにその座から退いていった。言うならば下からの突き上げではなく、順当な繰り上げが行われているに過ぎなかったのである。


 しかし、時代はある少女の出現から転換期に入る。


 滅多に入れ替えがなかった"十拳"内において、番外から立て続けに順位を上げていったのだ。それこそが、現在冒険者の頂点に立つ女性、クシャーナだった。そこからの時代のうねりは凄まじいもので、まるでその新星に呼応するかのように、若き才能が次から次へと現れたのである。


 古株を数名残し、ほぼ一新された"十拳"。


 思い出と共に語られる、最強の冒険者論争は酒場での定番の話題ではあったが、今は活気と共にその話題は巡っている。そんな新星達が集ったのが『攻略済み』のダンジョン深層ともなれば、誰もが怪訝な顔をしたに違いない。


 なにせ当の本人達ですら、驚きを隠しきれていなかったのだから――。



 *



「……で、何してんだお前達」


 魔法の余波でぶっ飛んだセミテスタも合流した中で、最初に切り出したのはストリック。


「それはこちらの台詞ですわ、全くこの大事な時期に」

「あはは、エミットはクシャーナ達が心配で追いかけてきたんだよ」


 エミットと呼ばれた魔術師の女性は、肩をすくめながら小言を漏らす。


 冒険者序列:第5位、エミット=アルグレカ。【天変地異(カタストロフ)】の異名を持つ魔術師である。セミテスタと並ぶ"十拳"内の魔術師二傑であり、お互いに切磋琢磨するライバルだ。セミテスタが「守り」の魔術師ならば、エミットは「攻め」の魔術師だった。


「初手で大火球お見舞いしてきた奴の行動とは思えねぇけどな」

「ほんとだよ~、まあ私がいたから大丈夫だったけどさ!」


 なおも突っかかるストリックと何故か自慢げなセミテスタ。


「あら、あんなのほんの小手調べですのに」

「もー、突っかかってどうすんの! 急に攻撃してごめんね~」


 エミットはツンツンするばかりだが、隣の踊り子の少女が上手く間に入る。


 冒険者序列:第9位、ヤム=ソーア。【舞踊姫(マイヒメ)】と呼ばれる天性の踊り子だ。彼女の戦闘スタイルは、流麗なダンスをベースにした二刀流剣術。その動きに見惚れるものは多く、彼女が出る入れ替え戦には、冒険者以外にも熱心なファンが詰めかけるほどだった。


「その攻撃だけどさ」


 やいのやいのと盛り上がる面々だが、先ほどまでの殺伐とした雰囲気はすでにない。そんな中、ポツリと呟いたクシャーナに皆の視線が集まる。


「殺意駄々洩れだったけど、なんか機嫌悪かった?」


 クシャーナの言葉に顔を見合わせるエミット達。


「なんだなんだ、先に吹っ掛けてきたのもそっちだし、今更言い逃れすんなよ?」

「ストリックねちっこい~。でもあれは、ほんと殺る気だったもんね」

「ちょっ、ちょっと待ってよ!?」


 ストリックとセミテスタの言葉に慌てて反応するヤム。


「先に殺意撒いてきたの、そっちじゃない?」

「ええ、これに関しては譲りませんわ」

「……ああん?」


 釈明するヤムと、毅然とした態度を崩さないエミット。その姿勢に青筋を立てるストリックだったが、今度はクシャーナが間に入る。


「ストさんどうどう、これ多分私が追ってる案件だよ」

「ストさん言うな! ……なんだよ、その案件って」

「もしかして……呪具絡み?」


 セミテスタの言葉に頷きを返し、クシャーナは事の顛末を話し出すのであった。

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