使節団の到着2
一通り挨拶が終わると、私は王城を案内した。もちろん。秘密機関以外を皇帝、皇太子、三人の外交官とともに、会話しながら、案内しいていく。
「ここが、図書室です。魔族の歴史、竜神帝国、ダイアナ帝国の歴史なども記録されています。また、小説もおいています。禁書が保存しているエリアもありますが、誰も持ち出せません。唯一持ち出せるのは、直系皇族だけです。」
父様が帰ってくるまでの代理なのもあって、余計なことは言えない。それに、この時間稼ぎの方法誰が考えた?時間稼ぎ感満載。あとで、聞いてみよう。そう思いながら、皇帝のほうをちらりと見ると、意外と興味津々のようだ。目が輝いていた。
『魔の王国は我が国をなめすぎではないか。こんな子供が、皇帝の代理だなんて。』
『ほんとになぁ。うちの国の言葉をしゃべれないのに代理はないよな。』
竜神帝国の皇帝の後ろに控えていた新人らしき外交官が小声で話しているのが聞こえた。通訳の顔を見ると、伝えるべきか迷っていた。そりゃあ、皇族の悪口が聞こえたのだ。場合によっては外交問題にもなりかねない。
私は、その通訳と目を合わせて大丈夫というようにうなづいて見せた。すると、さすがは我が国の外交官兼通訳だけはあり、すっと頭をさげ一歩後ろに下がった。
後ろに下がったことを確認すると、怒りを抑えつつ、笑顔を浮かべ、口に竜神帝国の母国語をのせた。
『大変申し訳ありません。こんなこどもで。』
あの竜神帝国の外交官二人があっ、とでもいうように青ざめた。
予想外だったのか、彗も皇帝も目を目を見開いていた。
「失礼いたしました。通訳は必要なかったのですが、対等に話したかったので。」
私が、竜神帝国の言語を話していたら、魔の王国が竜神帝国の従属国とみなされる可能性がある。立場が低いことは理解しているが、そんなことまでしてしまうと表面上の地位でさえも失ってしまう。
確かに今は英語のような公用語がこの国にも存在しているから、その言葉を話せばいいという話ではある。それでもわざわざ母国語で話しているのは、国のトップが自国の言葉をしゃべらないと、国民からの支持率にもかかわってくる。そんなこともわからないのかとさっきの外交官に鋭い目を向けた。
「いやいや、我が国の屑が失礼した。.......私も魔の王国の皇帝殿がとうとう親ばかになってしまったかと、正直思ったが、姫の10歳とは思えない頭脳を理解しての人選だったのだな。」
さすがは名君鋭い中身が16歳のJKなんだもんな
なんかサラッとお父様をけなされた。
が、親ばかについては同意するという意味で聞かなかったことにする。
「そこで、一つ食料の輸送の件で貴殿の国産の穀物に関税をかけない代わりに彗と婚約してくれないか?」