使節団と皇太子1
続きです。次回の更新は時間がかかるかもです。
父様…。竜神帝国の皇帝。威圧感ヤバイし、恐ろしいのですが、いつ助けに来てくれるのでしょう?目の前に座りこちらの様子をうかがう、初老のイケメンに向かい微笑みながら心のなかでそう問いかけた。
こうなったのは、父様の命令のせいである。
3日前。私が大量の恋愛小説を自室で、ゴロゴロしながら読んでいると、父様の側近、クランが私を訪ねてきて開口一番にこう言い放った。
「姫様。至急、主のもとにおいでください。」
「ねぇ、見てわからない?お取り込み中なんだけど。.....父様に後で伺いますって言っといて。」
本を捲りながら、言うとめんどくさい側近が、そういうと思いました。と言いある興味深い提案をしてきた。
「では、姫様の好きな探偵シリーズの最新刊とサイン色紙を手に入れてきます。主の頼みを聞いてくだされば...。」
ピク。
私の長いエルフのような耳が動いた。
「分かった。勿論だけど監禁して無理やり作者様に書かせるのはダメだからね。そなたならやりかねない。」
「承知いたしております。親愛なる姫様。」
「やめて。その親愛なるとか、鳥肌がたつ。......あと着替えるから出てって。」
私はそれだけ言うと、魔法でクランを追い出した。
侍女を連れ、お父様の執務室へ行くと、お父様、兄様と父様の側近たち、クラン、レン、ロンドがいた。
「お呼びでしょうか。父様。」
「あぁ、よく来たね。その、申し訳ないんだけど、明日から、2日間父様たち、この城にいないんだ。」
「存じています。確か、ダイアナ帝国に呼ばれたんですよね。兄様の皇太子になったのを報告するついでに。」
記憶をたどりつつそう答えた。
「あぁ、ただ、2日後の天気だと今日から3日後の竜神帝国使節団の到着の時間にギリギリ間に合わない。」
「えっと、つまり私が使節団の案内役ってことですか?!」
「まぁ、そういうことです。大丈夫です。このレンもついてますし。」
「ごめん。レン。そういう問題じゃないから。.....であの、父様。私まだ、10歳ですよ。ただでさえ城を任せるだけでなく、使節団の案内役まで、失敗すれば、外交問題です。」
「10歳がそこまで、考えられていたら、十分さ。それに年齢は武器になる。所詮は10歳。10歳だから仕方がないともなる。」
「それは確かにそうですが。」
「それに、君主論がこれほど理解できていて、国の歴史や重要人物まで覚えている。10歳にしては天才だ。うちの子どもたちは天才だなぁ。それに、大きくなったら私を手伝ってくれるのだろう?その予行練習だと思えばいい。」
父様は家庭教師に提出したはずのレポートをみんなの前でユラユラと揺らす。
あっ、高校生気分で外は10歳なの忘れてた。中身は学区のなかでは上位高校に進学したもんな。あのときはまじで頑張った。それに、地理、歴史は好きな上に得意分野。仕方がないよね。
「コミュニケーション能力ないし、人見知りだし。無理ですよ??失敗しても私の責任じゃありませんからね。仕方がない、受けてたちますわ!でも、なるべく早く帰ってきてくださいね。」
可愛くかつ恐ろしさを感じるように工夫してそう言うと、父様は敬語で、はい。と言った。
こうして、私は父様の留守を守ることとなったのだ。
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