違和感1
…それにしても一つ違和感がある。
いつ、私が名前を呼び捨てにしていいって言ったっけ。まぁ、記憶にないだけかもしれないし。
確信を持てない以上、高位貴族の娘なのであまり刺激すると父様の立場的にもよろしくないだろう。証拠があれば別物だけどね。
「ルル。ルカは姫だ。最低限の礼は取ってもらわないと困る。」
「あ、失礼しました。アレク様。つい嬉しくって。でも、私、ルカ様を娘のように思っておりますのよ。」
礼儀正しいんだけど何か、違和感が残る。何とも言えない違和感。わからないけど、言葉の裏に何か含んでるようなそんな感覚。
「そう。それじゃあ明日からマナーを教えてね。ルル。」
とりあえず、私はそういった。
次の日、マナーの授業が再開した。今日は食事の方法である。ルルが隣で見本を見せ、それを真似て私も実践するといったものだった。
前世高校生の私にはみたこともない器具もあり、困惑したが、ルルは根気強く丁寧に教えてくれた。
「ルカ様。その調子ですわぁ。意外とできますのね。」
意外と?聞き間違ったのか。煽っているように聞こえて仕方がない。
「ありがとう。ルルの教え方が上手だからです。」
違和感はこれかと思った。綺麗な華にはトゲがあるってことかねぇ。まぁとりあえず証拠がないのに動けない。
「本日はここまでにしましょうか。」
「ありがとう御座いました。」
すっと礼をすると、彼女が少し嗤った気がした。
次の日、昨日と同じく食事のマナーレッスン。
昨日のテストをするようだ。
「それでは普通に食べてくださいませ。昨日習ったとおり。」
「うん。」
外側から順にだよね、、。
少し緊張しながらそっとフォークを持つ。
それで、音は立てないように……。
ガチャ
音が鳴ると、彼女は大きくため息をついた。
「まぁ、あの皇后陛下の御息女だからかしら。まぁ仕方がないです。貝殻のような頭をお持ちなのですから。」
(まぁ、あの皇后陛下の娘だから頭に脳みそ詰まってないから仕方がない)
って風に聞こえる…。
それを聞いた私は少し笑顔を浮かべた。無邪気な子どもを演じる。それにホッとしたのかまた彼女は言った。
「失敗しても、復習すれば問題ないですわ。コウ様にそう言われておりますし、でも不甲斐ない娘は少しよろしくないかとおもいます。」
「コウ様?」
「ふふ、ルカ様のお父様です。」
「知ってる。コウ・オリエンタが私の父様の名前。私が言いたいのはなんで高位貴族の娘…臣下である貴方が名前で呼んでるのかを聞いている。」
すると彼女はとぼけた顔をしていった。
「あら、無意識でしたわ…。申し訳ありません。学園時代の癖ですわね。」
「わかったならいい。」
「…さて、今日はこれぐらいにしましょうか。また、今日の復習をしましょう。」
父様は不甲斐ないって思わない…。きっとなんで教師にそんなことをいわれないといけないのだろう。




