彗と兄様と8
「姫様付きに、私が…ですか…?」
「うん。クランに護衛と事務官を担当してもらう。それでちゃら。」
「…かしこまりました。」
少しまんざらでもなさそうなのは、確実にシフィラ目当てだろう。まぁその辺りが楽しみなのもあって頼んだところもあるが、シンプルに仕事ができるからっていうのもある。
父様の側近だけあって、仕事ができる有能な配下だ。信用できるしね。
「姫様。竜神帝国皇太子殿下と兄君がお見えですが、いかが致しましょう?」
侍女がそう問うた。
「入ってもらって!…クランとシフィラは残って、それ以外は業務に戻りなさい。お見舞いありがと。」
私が言うと、レンとロンドは一礼して去っていった。そして入れ替わりで兄さまと彗が入室した。
「ルカ。大丈夫かい??」
「兄さま。何回聞くのです?」
「いや、だってだな。ルカが倒れたと聞いたときは本当に心の臓が止まってしまうかと思ったんだぞ?」
「それは、ごめんなさい」
彗は兄さまに気を使っているのか話しかけてこないので、彗に声をかけた。
「皇太子殿下もお見舞いありがとうございます。それからご迷惑をおかけして申し訳ございません。」
「い、いや。それより怪我のほうは大丈夫なのですか?」
「は、はい。大丈夫です。安静にしておかないといけないのは少々退屈ですが。」
実際、父様の過保護と医者によって絶対安静を言いつけられていて、正直ベッド生活もありかなんて思っていたが、三日たつと面白くなくなってきた。
「ルカ。どうせ本を読みまくっていたんだろ??本持ってこようか?軍記物語だけど」
「面白そうだけど、ベッドでは読む気がしません。兄さま、私が喜ぶ本のジャンル知ってるくせに、おちょくるのはやめてください。」
「ばれたか」と笑う兄さまに私も笑みがこぼれた。
「あ、あの本、本が好きだってこの前言ってたので、私のお気に入りの本を、持ってきたのですが、姫読みますか?
あの日約束したでしょう??スミス・ヘーレの新作を持ってきたのです。」
彗が恐る恐る話しているのが伝わる。
「兄さま。こういうことですよ。皇太子殿下を見習ってほしいです・・・・・・。お気遣いありがとうございます。殿下」
「あの、それで、そのルカ姫。」
さっきよりも頬が紅潮して見える。そんな緊張してまでなにを言おうというのだろうか。
「なんでしょう??」
「あの、その、呼び名、呼び名を変えてほしいのです。名前で呼んでください。敬語もなしで。、、、友達というものはそういうものだと聞きました。」
彗がそういった。突然だけど何かあったのかな?
それくらいのことなら問題ない。さすがに公の場で呼ぶようなことはしないはずだしね。
「いいですよ。彗、私のことも名前でよんでほしい」
「ああ。ありがとう。」
こうして私は今日本当に彗の友達になれた。




