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彗と兄様と6

話は1週間前に遡る。

戦争もあり、また先代の皇帝を退位させ、私の父(現皇帝)が皇帝になった。過程で今もなお城の人手は全て戻ったわけではない。叔父は後宮を作っていたが、父様は母様だけを今もなお思い続けているため。解体し、女性たちに仕事を与えた。

残酷な話だが子どもがいた者は女子ならば修道院に、男子なら……。

まぁ、とにかく宮殿全体の人手が足りていないということで、彗を住まわす雪の宮殿用の侍女を選別することになり、採用試験は終わったが…。

その中には彗を、いや、龍神帝国を恨むような奴がいるかもしれない。戦争は恨みや憎しみを生むからなぁ。一応戦争で身内が死んだものは省いたが恋人がなどとなるとそこまでを深く知ることは難しい。

「シフィラ。」

「はい。ここにおります。」

そう言った大好きな侍女。

「1人。雪の宮殿の侍女で信頼できる者を連れてこい。家柄が確かな者を。」

「かしこまりました。殿下」

そう言って一礼したシフィラは足早に廊下を歩いていった。









そこから、今につながるのである。

まぁ、毒が入っていなければ罰さなくていいから。やらないでほしい。そんなことを考えるがその願いはおそらく届かないだろう。

ガチャりと茶器の音がなった。

そのタイミングで私はその侍女に言った。

「なんの茶なの?」

「アールグレイです。隣国より取り寄せたものですわ。」

「ミルクをもらっていいかしら?」

「ええ。勿論です。少々お待ちくださいませ。」

「…お待たせいたしました。どうぞ。」

そう言って机にミルクを置く。

その侍女に

「2、3歩下がってくれ。」と言う。

ここからが本番だ。

「皇太子殿下。ミルクはいかがか?私のおすすめです!」

「では。いただきます。」

「私が混ぜますわ。シフィラ。銀製のスプーンはある?」

「勿論です。ルカ様のお気に入りでよろしいですか?」

「ええ。ありがとう。」

チラっと侍女の顔を見ると焦っているのか汗がつぅーっと垂れていた。

まず、彗のほうからミルクを入れる。そして混ぜずに、その侍女に一言声をかけた。

「ねぇ。そこのあなた。体調が悪いのか?汗もかいている。熱中症だったら大変だし…。あっ、皇太子殿下。このお茶侍女にあげても構わないかしら?」

「あぁ。いいが…。」

「ありがとうございます。…ではどうぞお飲みなさい?」

無理矢理、侍女の制服を引っ張っていうと、侍女がはっ、はいと言って茶器を受け取った…がなかなか飲まない。

「…ん?飲まないの?……それとも…飲めないのかな?」

その言葉を聞いた侍女がこちらを見る。目をスゥーッと薄くし微笑を浮かべる。

すると下を向いていた侍女が笑いだした。

「……はっ。知ってたんでしょう?私が今日。……皇太子を殺すつもりだったって。」

「なんで、そんなことを?」

「そいつが悪いんだ。私は恋人を失ってそのショックで体調まで崩し流産したのに。あいつは生きている。」

「…お前は、それで戦争を起こすつもりか?皇太子が殺されたとなれば、龍神帝国がこの国に攻めてくることも考えなかったのか?お前と一緒の境遇のやつが今以上に増えるってことになる。……恋人が、死んだことはおくやみ申す。だが、罪は重い…。その者を…。っ!」

捕らえなさい。そう言おうとしたとき、私の話を聞いてもなお諦めていなかったその侍女はナイフを持って彗に突っ込もうとしていた。

「ちっ。……統べる者。」

ずぅ…ん。と効果音がつきそうだ。周りの重力を一気にかけることができるもので、対象をおさえつけることができる。

練習中でこの年齢でやると危険な支配の魔法。魔族の上位(皇族)が使うことができるスキルだ。

くらっと立ち眩みと気持ち悪さがあるが、とりあえず対象のしぼりができていることに安堵する。

「……。はや…く、……そいつ…を捕らえろ…。」

そう声を掛けるとさすがは父様の側近だ。素早く捕らえ。自決を防ぐためにくちに布を噛ませた。そこを見とどけると私は意識を失った。



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