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彗と兄様と3
離宮はもともとは伯父様(前皇帝)が建てたものであり、美しい白がふんだんに使われているそうだ。別名、雪の宮殿とかなんとか呼ばれているそうだ。
そう呼ばれているのも納得だ。ろくでもないことをしまくった伯父様だけれども、芸術のセンスは持ち合わせていたようだ。
そう思っている
「ひ、姫様。。。?」
離宮の侍女が驚いたように声を上げた。前触れのない訪問だったからだろう。
「すぐに、皇太子殿下をお呼びいたします。あとそれから、お茶の用意もっ!」
「楽にしていい。急で悪いな。」
そう声をかける。その侍女は落ち着きを取り戻したのか。身なりを軽く整えて言った。
「い、いえ。今皇太子殿下を呼んでまいりますので。」
「いや、いい。どこにいるかだけ教えて。」
「もうすぐ、お茶を持ってこいと仰せでしたので、今から運ぶところです。」
「私もお茶をいただこう。皇太子殿下に一緒にお茶を飲んでも構わないか聞いてほしい。」
「かしこまりました。」
そういって、一人の愛嬌のある、おそらくインキュバス族だろう。妖艶である。国一つ傾きそうだ。
そんな感想を持ちながら侍女のあとにつづく。
この雪の宮殿の中庭には大きな杉の木が生えている。




