帰還と初めての友達4
「落ち着いた?」
「ご迷惑をおかけしました。」
ハンカチで、頬にこぼれた涙をふきつつ、彗に言った。
「いや.......迷惑なんか。」
困った顔でそういう彗の様子がおかしくて、こっそりはにかんだ。
彗からの視線を感じた。
無茶苦茶見られてる。
そのことが妙に恥ずかしくて私は話をそらした。
「殿下。とりあえずこれも見つけたことですし、戻りましょうか。」
「ああ。」
短くてそっけない感じの返事が私の胸を揺さぶって、涙が出てきそうになった。
その帰りも、私たちはたわいのない会話をした。
部屋に戻ると、父様と、陛下が、向き合って談笑していた近くには兄様もいて、少々あきれたような表情で二人の様子を見ていた。とりあえずとってきたこと言わないと。
「父様。見つけました。このチェスでしょう?」
「ああ。ありがとう。..........炎月殿一回いかがだろう?」
「チェスか。最近やっていないなぁ。いいだろう。では軽く勝ったほうが、どちらかの国に皇子か、姫を自分の国に留学という形で1年滞在させるというのは。」
「いいだろう。国民に同盟がうまくいっていることがわかるしな。」
「.....」
国にとって結構重要な内容なのにもかかわらず、軽く話す二人は、双方の子供たちがあきれていることを知らないのである。
それから、気が付いたら朝になっていた。たぶん寝落ちしたのだろう。
子どもがあんな時間まで耐えれるわけがないしね。どっちが勝ったんだろう........?
「お目覚めですか?」
「おはよう。」
メイドがカーテンを開けている後ろ姿をみながら、私は気になっていることを聞く。
「父様と皇帝殿どっちが勝ったの?」
「えーっと、確か。姫の御父上である皇帝陛下が勝ったかと。」
父様強い。でも、あの皇帝陛下わざと負けたのかも。ただただ、賭けがしたかったから.........。
あの策士の皇帝の顔を思い浮かべて私は、薄笑いを浮かべた。
「ん?ってことは彗皇太子殿下がうちに1年滞在するってこと!?」
「昨日の賭けからするとそうなりますね。これで戦争が終わったことも国民が目に見てわかるわけですし、ただはたから見れば、人質だって勘違いする国も出てくるでしょうね。皇帝殿に釘は刺していただかないと。」
「そうね。外聞は悪い。もしそこを見越していたとしたら、皇帝殿は本当の策士だ。」
窓の外には黒い雲が浮かんでいる何かが起こりそうなそんな予感が私の頭から離れなかった。




