帰還と初めての友達2
廊下にコツコツと明るい音が響く。
「そういえば、兄様。始めてのダイアナ帝国はどうでしたか?」
「ん。あぁ。魔の王国とは比べ物にならないくらい豊かだった。文明の進みがすごかった。」
「そうでしたか 私も行ってみたいです。皇族はどうでしたか?」
「第一皇子、第二皇子二人とも素晴らしかったが。あの皇女だけは、どうもな。性が合わない。それなのに、私と婚約されそうだ。...........ほかに、そうだなぁ.........あっ聖女にあったぞ。お前と同い年だそうだ。」
「同い年。私が13歳になって留学したら、会えるかな?................ん?!」
「どうした?」
聖女ってもしかしなくても、かわいそうな聖女しかいないよね。ゲームでは、家族がおかした罪ーつまり、濡れ衣なのにも関わらず、真の聖女であるヒロインと攻略対象キャラたちに断罪され、その上、家族にも裏切られるという悪役キャラのなかでも、一番残酷な運命だ。どんな子なのかな?
「あっ、そういえば、竜神帝国の皇帝に求婚されたそうだね。」
「えっ!違います。正確には、皇太子殿下です。」
「どちらも、一緒だ。」
「いえ、全然違います。」
「それと、後宮の女たちを連れてきていたそうだな。何人かは確かめたか?」
「もちろんです。”鴉”に調べさせました。」
”鴉”とは諜報機関のことである。いわゆる、忍者みたいなやつである。
「そうか。よくやったね。ルカ。」
そういって、頭をなでてくれた。
兄様はイケメンで、仕事ができるにも関わらず、女性が苦手で、他人にも厳しいひとなのに、妹にだけは甘いという悪役令嬢の兄!という感じの魔族だ。ちなみにゲームでは、ダイアナ帝国から嫁いできた皇女によって、私(悪役令嬢)のたくらみをダイアナ帝国へと流したことにより、戦いで兄様は死んでしまう。
これも防がなきゃだよね。
拳をぎゅっと握った。
「皇太子殿下および皇女殿下入場!」
門番の兵士の叫びで、晩餐の席にいた父様がこちらをみた。
「来たか。」
その向かいの席にはもう、竜神帝国の皇帝と彗が座っていて少し焦って、恐る恐る父様に小声で聞いた。
「遅かったですか?」
「いや。大丈夫だよ。」
「炎月殿。この国はいかがだっただろうか?」
「面白かった。皇女の成長も楽しみだな。.......皇女よ。また竜神帝国に来てくれるか?」
「もちろんです。」
「彗皇太子殿下は、いかがかな?」
「............興味深かったです。あと心地よかった。」
「そうか。気に入ってもらえてなによりだ。」
そして、突然お父様が言った。
「ルカ。」
「なんでしょう。父様。」
「あれを持ってきてくれないか?」
「あのチェスですか?」
「ああ。」
「わかりました。彗皇太子殿下。少しお手伝いいただいても?」
表情の読めない顔で、彗は頷いた。




