第八話 本当の理由
「それで、詳しい事情を話してもらえますか?」
シャスターは馬から降りて近くの岩場に座った。
先ほどまで感激し合っていたカリンが隣に、そして目の前にはガイムが座る。
「その前にお二人にお聞きしたいことがあります。シュトラ王国が滅んだ理由は、どのように伝わっているのでしょうか?」
ガイムの疑問は当然だった。
彼は百年もの間、外との接触はなかったからだ。周辺ではシュトラ王国が滅んだことについて、どのように伝わっているのか知りたいのだろう。
「私たちも詳しくは知らないですけど、シュトラ王国で疫病が流行って、一夜にして滅亡したと聞きました」
アンデッドになった者の前で、その原因となった不幸な過去の出来事を話すのは言いづらいものがあったが、カリンはベルの町長から聞いたことを淡々とガイムに伝えた。
「……なるほど、そのように伝わっているのですね」
話を聞き終えたガイムは納得したように大きく頷いた。
「カリンさんが話してくれたシュトラ王国が滅んだ理由ですが、半分は当たっていて、半分は外れています」
半分というのは王国が疫病で滅んだことと、一夜で滅んだこと、それぞれのことだ。
「やはり、一夜に滅んだのは誇張でしたか。いくら何でも広大な王国を一夜で滅ぼすなんてあり得ませんよね」
伝説とはそういうもので、一般的に誇張されて伝わるものだ。
「すいません。大袈裟に伝わっているようです」
カリンには全く責任がないのだが、謝ったことにガイムは笑った。
「いえいえ、カリンさんが悪いわけではありませんので」
幽霊も笑うんだ、少し意外に思ったカリンはすでに恐怖心は無くなっていた。
笑いながらガイムは話しを続ける。
「それに、半分当たっていて、半分外れていると言いましたが、一夜で滅んだことは当たっている方です」
「えっ!?」
「シュトラ王国は一夜にして滅んだのです」
カリン、そしてシャスターまでも驚愕した。
それから、ガイムはシュトラ王国滅亡の真実を話し始めた。




