表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

805/811

第百十一話 再会

「よく俺の居場所が分かったね」


「エーレヴィンから聞いた」


「あいつ、余計なことを」


 七大雄国(セフティマ・グラン)であるエースライン帝国の皇子を呼び捨てにできる者など、アスト大陸に数えるほどしかいない。

 そんな人物がここに二人も揃っている。


「そう言うな」


 シャスターと同年代である少年は軽く苦笑した。

 雪のような白髪に透き通るような白い肌、そして見る者に強い印象を与える蒼氷色の瞳が印象的な少年だ。

 金色に輝く髪とルビーのような深紅の瞳を持つシャスターとは対照的な美しさだった。


 万人が認めるであろう淡麗な容姿の少年が並んでいるのだ。二人をうっとりと眺めている客も少なくない。

 しかし、そんなことは本人たちにとってどうでも良いことだった。

 シャスターはつまらなそうに少年に尋ねる。


「それで、何しに来たの? ヴァルレイン」


 その少年は水氷魔法の最高峰、伝説の五芒星の魔法学院の一つであるシーリス魔法学院の後継者、ヴァルレイン・シーリスだった。



「氷の棺が破壊された」


 ヴァルレインは唐突に伝えた。

 氷の棺というのは魂眠状態に陥ったフローレを救うためにヴァルレインが使った魔法「凍氷の棺(アイス・コフィン)」だ。その棺のおかげでフローレの身体は朽ちることなく生きている時と同じ状態で保たれているのだ。

 しかし、それが破壊されたとなると、フローレの身体は長くは持たない。


「なぜ破壊された?」


 険しい表情でシャスターが尋ねる。

 シーリスの後継者であるヴァルレインの魔法を破壊することができる者など、そうはいないからだ。


「外から破壊されたのではない。内側から破壊されたようだ」


「内部から?」


 ヴァルレインの意外な返答にシャスターとしては意味が分からない。


「それは確かなの?」


「ああ、確かだ。俺自身が確認したからな」


 破壊されたことを知ったヴァルレインはすぐにレーシング王国に向かった。そこで破壊された氷の棺を見たのだ。

 レーシング王国の王宮内は大変な慌てようだった。それはそうだろう、絶対破壊されない氷の棺が破壊されたのだ。そこに現れたヴァルレインに国王たちは謝罪した。しかし、当然ながら国王たちに非はない。

 ヴァルレインは非は自分にあると国王たちを諭し、彼らに懇願されてシャスターを探しに出たのだ。


「それで、フローレは?」


 さらに一段とシャスターの声が険しくなった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ