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第七十八話 天真爛漫

「わぁ!」


 顔中に生クリームをつけたカリンが驚きながら振り向く。


 そこにいたのは満遍の笑みを浮かべたユーリットだった。


「ユ、ユーリット皇女殿下!?」


 カリンはユーリット皇女が現れたことへの驚きと同時にその美しさに思わず息を飲んだ。

 腰まで伸びている桜色の長い髪と同じ色の瞳がとても印象的だ。一見するとお人形のような物静かな感じに見えるが、その瞳は姉であるエルシーネ皇女とはまた違った意味で躍動的に輝いている。

 ユーリット皇女はまさに生命力に満ちた美しさだった。



「カリンちゃん、会いたかったー! 疲れていない?」


「あっ……は、はい! 大丈夫です」


 ユーリット皇女がファルス神聖国に滞在していることはカリンも知っていた。つい先日もマジックアイテムを使って話したばかりだ。しかし、ファルス神聖国に着いてこんなにも早く会えるとは思ってもいなかった。

 しかし、ユーリットにはカリンのそんな驚きは関係ないようだ。無邪気にカリンを抱きしめると、彼女自身も顔に生クリームが付いてしまった。


「も、申し訳ありません!」


「これで私もカリンちゃんとお揃いね」


 距離感がないフレンドリー過ぎる態度にカリンは唖然とした。



「ユーリット騎士団長、カリンが困惑していますよ!」


「あら?」


 呆れ顔のマレードに注意されたユーリットはやっと気付いたようだ。


「ごめんね、カリンちゃん。生クリームを顔に付けさせちゃって」


「そこではありません!」


 マレードが大声で叫ぶ。


「えっ! そうなの?」


 ユーリットは本気で驚いているようだ。

 本当に天然な少女なのだろう。逆にカリンは落ち着きを取り戻した。


「私もユーリット皇女殿下にお会いできてとても光栄です」


「良かった!」


 ユーリットはもう一度カリンを強く抱きしめた後、今度はシャスターに礼儀正しく一礼した。


「シャスター様、またお会いできて嬉しいですわ」


 ユーリットは冥々の大地中央部でシャスターたちと別れた後、ファルス神聖国へ戻ったことを伝えた。


「ファルス神聖国に戻ると言っていたけど、やはり戻っていたんだ」


「はい」


 ユーリットは屈託なく微笑んだ。



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