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第五十九話 古城へ

 深い森の中に佇む小さな古城。

 外壁にはぼんやりと明かりが灯されていて、シャスターたちを迎えているようにも見える。


 その入口にひとりの男が立っていた。



「ようこそ、お待ちしておりました」


 眼鏡を掛けた青白い顔の男であり、間違いなく吸血鬼(ヴァンパイア)だ。

 シャスターたちが今すぐにでも男を襲う可能性もあるはずなのに、男は表情を変えることなく淡々と話を始める。


「私は執事をしておりますダルと申します。主人が奥の間で皆様をお持ちしております。さぁ、こちらへ」



 扉を開けて、ダルは廊下を歩き始める。

 背後がガラ空きのまま歩くとは、この男はかなり肝が据わっているのだろう。あるいは、こちらから仕掛けることはないと思っているのか。

 いずれにせよ、先ほどの二人の吸血鬼(ヴァンパイア)とは度量も風格も明らかに違う。



「主人って、子爵のこと?」


「はい。ギース子爵と我々は呼んでおります。純血種の吸血鬼(ヴァンパイア)です」


 シャスターの質問に対してダルは隠すことなく、主人の名を明かす。それに純血種であることもだ。

 先ほどの二人は、主人が純血種であることをシャスターたちに話してしまったことを悔いていた。

 しかし、この男……ダルは違った。

 シャスターたちがすでに純血種だと知っているため隠す必要がないと思ったのか。それとも、よほどギース子爵と呼ばれる主人に信頼されているのか。

 やはり、この吸血鬼(ヴァンパイア)は一筋縄ではいかないようだ。


 しかし、それであればこちらも遠回しな言い方をする必要はない。直球に変えるだけだ。



「ふうーん。それで、その子爵が俺たちを襲うようにさっきの二人に指示したの?」


 ストレートな質問だったが、ダルは答えることはせずに静かに足を止めた。廊下がそこで終わっているからだ。



「こちらの扉の先で主人が待っております」


 ダルはゆっくりと扉を開ける。


 扉の先は全くの暗闇、ではなかった。蝋燭が灯されていて薄暗みとなっている。


 そして、その奥には豪華な椅子に座った人物が霞むように見える。


 ダルは扉の前で頭を下げている。それを横目に一行は部屋の中へ入っていった。


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