表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

288/810

第七十九話 面白い男

 シャスターはその男をチラッと見ただけで、視線を料理に戻した。

 突然現れた男に少しだけ警戒しているようだ。



「初めまして、だよね?」


「はい。ずっとシャスター様にお会いする機会に恵まれずにおりました。今、少しだけお時間を頂いてもよろしいですか?」


「……大丈夫だけど」


「それは良かったです。ありがとうございます」


 男はシャスターに頭を下げた。

 一見優男のように見えるが、その瞳の奥には鋭い光が隠れている。星華が一瞬気付くのが遅れただけのことはある。

 当然、ただの優男ではなかった。



「でもさ、俺のところに来るより、エルシーネのところに行った方がいいんじゃない?」


 シャスターのぶっきらぼうな問いかけに、男は一瞬だけ不思議そうな表情をした。


「もしかして、シャスター様もお怒りに?」


「いや、俺は全く気にしていない。無理矢理ゴブリン退治に駆り出されたから、逆に感謝しているくらいだ」


「それを聞いて安心しました」


 男は安堵した表情になるが、その表情とは裏腹に男の内心は全く違うこと考えているとシャスターは見抜いていた。

 シャスターがあの程度のことで怒るとは、最初から男は思っていないはずだ。

 そして、そのことをシャスターが見抜いていることまで、男の中では織り込み済みなのだろう。



 面白い男だと、シャスターは思った。

 もう少しだけ騙し合いを楽しむ。


「でも、エルシーネはかなり怒っていたな」


 事実、騙されたことを知った時、エルシーネはかなり怒っていた。そのことをシャスターは伝えたのだが。


「シャスター様の言葉には『誰に』が抜けているようです」


「……」


「皇女殿下がお怒りなのは俺ではなく、皇子殿下に対してだと思いますが」


 男はシャスターの嫌味に対しても全く動じずに答えた。

 その冷静さと堂々とした切り返しに、シャスターは好感を持ったようだ。



「あははは、その通りだ。エルシーネが怒っているのはエーレヴィンに対してだった」


「それは良かったです」


「それじゃ、せっかくなので食べながら話そうか? アルレート将軍」


「ありがとうございます」


 互いに笑いながら、二人はグラスを持って乾杯をした。



皆さま、いつも「五芒星の後継者」を読んで頂き、ありがとうございます!


今回の最後でシャスターの前に現れたのが、アルレート将軍だと分かりました。

ザール平原にてゴブリン本隊を殲滅し、ゴブリン・ロードを倒した将軍です。

リクスト将軍の前上司ですが、リクストからの評価はあまり良くないようです(笑)

そんなアルレート将軍は今までシャスターと直接話したことはなかったようですが、これからどうなるのでしょうか。


次回からも楽しんで貰えたら嬉しいです。

これからも「五芒星の後継者」をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ