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第十五話 カリンの宣言

「あら、カリンちゃん。シャスターくんの肩を持つの? でも、あなたも知っているでしょ。シャスターくんが軽薄で適当な男だって」


「はい。この旅でシャスターが軽薄で適当なことは散々知らされました」


「それじゃ、あなたも……」


「でも、人々ために頑張っている姿も数多く見てきました。私だって何度も助けられました。本当のシャスターは思慮深くて正義感が強いです!」


 カリンは力強く断言した。

 その隣で星華の表情が少しだけ動いた。驚いているのだ。


「レーシング王国では私が住んでいた町を助けようとしてくれたり、悪虐な国王や領主を倒してくれました。死者の森ではアンデッドとなって縛られていたシュトラ王国の人々の魂を解放してくれました。そして、アイヤール王国では幼いレーテル姫のために戦場で戦ってくれました」


 カリンは驚いているシャスターを見つめると、覚悟した表情で言葉を続けた。


「どんな時もシャスターはみんなのために頑張ってくれているんです! そんなシャスターを悪く言うなんて、たとえ皇女殿下でも私は許せません!」


 エースライン帝国の皇族に威勢よく反抗したのだ。明らかに不敬罪であり、カリンはこの場で斬られても当然のことをしてしまった。

 しかし、それでもカリンは言わずにはいられなかったのだ。


 カリンの言葉にエルシーネも驚いたようだった。

 しかし、不敬罪には触れることなく、エルシーネは話を進める。


「カリンちゃんの気持ちは分かったわ。でも、実際のところシャスターくんはゴブリン・ロードの知識がなくて役に立てない状況よ」


「シャスターは役に立ちます!」


 さらにカリンは言葉を続けようとしたが、慌ててシャスターが遮る。


「ちょ、ちょっと、カリン、それ以上はいいから!」


「何でよ!?」


 カリンはシャスターが不当な評価をされていることを許せないのだ。

 そこにエルシーネがさらに火に油を注ぐ。


「シャスターくんは、カリンちゃんに過大評価されるのが困るのよね? カリンちゃんが思うような役には立たないって」


 嘲笑っているエルシーネを見て、ますますカリンは白熱する。


「過大評価ではありません! シャスターは今回も役に立ちます!」


「あら、でもどうやって?」


「カリン、もうこれ以上はしゃべ……」


「そのゴブリン・ロードとかいう敵をシャスターが倒します!」


 止めようとしたシャスターを遮ってカリンは勝ち誇ったかのように宣言した。


 してしまった。



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