第一話 逸る気持ち &(職業等の説明)
第四章「魔物の王」編
初期主要人物
シャスター
主人公。
圧倒的な魔力を持つ魔法使い。
火炎系魔法の最高峰、伝説のイオ魔法学院の後継者であり、「五芒星の後継者」の一人。
金色の髪と真紅の瞳を持つ容姿端麗な少年だが、性格に少々難(?)あり。
カリン
レーシング王国西領土にあったフェルド町の町長の孫娘。
真っ直ぐな性格で、責任感が強い。
フローレの魂眠を治す方法を探す為、シャスターと共に旅をしている。
神官見習いの経験があり、神聖魔法の使い手でもある。
死者の森で、神官長アークスから「信力の核」を貰い受ける。
星華
シャスターと旅を続けている少女。
稀有な職業クラスである忍者、さらにその中でも「くノ一」の称号を持つ実力者であり、最上位マスター。
シャスターとは強い絆で結ばれた主従関係。基本、無口。
フローレ
レーシング王国の領主デニムに殺されるところをシャスターに助けられた少女。シャスターを心から慕っている。
小さい頃から隣町のカリンをよく知っていて、カリンからは「フローレ姉さん」と呼ばれている。
レーシング王国の決戦時、カリンを守るためにオイト国王の攻撃魔法を受けてしまい、死は免れたものの、魂と身体が分離したままの状態、魂眠に陥ってしまう。
現在レーシング王国王宮にて、シーリス魔法学院の後継者ヴァルレインがつくった氷の棺の中で眠りについている。
エルシーネ
七大雄国の一角、エースライン帝国の第二皇女。ペガサス騎士団の騎士団長。
シャスター、カリン、そして星華の三人は、エースライン帝国に向けて街道を進んでいた。
まだ太陽は上り始めたばかりで、夏のこの時間帯は気持ち良い陽気だ。
「ふぁー」
あくびをしながらシャスターは馬に乗っている。
彼としてはもっとゆっくり寝ていたかったのだが、同行している少女に急かされて、昨夜泊まった町を朝早くに出発したのだった。
ロストンを発ったのが一昨日だ。ちょうどまる二日間、街道を進んでいることになる。
シャスターはゆっくりと右手側を見た。間近に迫るように山脈が北へ向かう街道と並行して南北に延びている。
フェルノン山脈だ。
フェルノン山脈はアイヤール王国の東側を南北に延びている山脈であり、山脈の北はエースライン帝国東部まで延びていて、南はアイヤール王国の南端まで続いている。
さらに、もう一つの山脈が彼らの目の前に広がっていた。
レーシング王国、旧シュトラ王国、そしてアイヤール王国の北側を東西に長く延びるゲンマーク山脈だ。
ゲンマーク山脈の東端はアイヤール王国の北東部で終わっていた。ちょうど、ゲンマーク山脈がフェルノン山脈にぶつかっている形となっている。
そして三人が進んでいる街道は、ゲンマーク山脈とフェルノン山脈の境の峠を通ることになる。峠を越えた先はエースライン帝国だ。
視界に広がる二つの雄大な山脈の景色を楽しみながらシャスターは馬を進めていた。
そんなシャスターにカリンはやきもきしている。
「ねぇ、シャスター。もう少し急がない?」
「そんなに急がなくてもエースライン帝国は逃げないよ」
「それはそうだけど……」
「それに明日は山越えだ。今のうちからあまり馬に無理させるのは良くない」
確かにシャスターの言う通りだ。しかし、焦っているカリンは、つい愚痴ってしまう。
「シャスターもエルシーネ皇女殿下のようにペガサスを持っていればいいのに」
ペガサスだったら、エルシーネのように空を飛んですぐに帝国に行けるのにと思ったからだ。
しかし、シャスターはカリンの愚痴を鼻で笑った。
「つまらない」
「ん、なにが!?」
「そんな情緒のない旅なんてつまらない。旅はさ、こうやって景色を楽しむものだよ」
もちろん、普通はそうだろう。
しかし、今はそんなのんきなことを言っている場合ではない。なぜなら、フローレを助ける方法がエースライン帝国にあることが明白になったからだ。
「早く着きたい」その一心で、カリンは焦っているのだ。
「でも、今は少しでも早くフローレ姉さんを……」
「だからこそだよ。急いでも意味がない」
シャスターはカリンより先に馬を進めると、相変わらずのんびりと景色を眺めている。これ以上、カリンと話すつもりもないようだ。
「カリンさん」
後ろから小さな声で星華が声を掛けてきた。
「星華さん……」
カリンは少し後ろを進んでいる星華の隣に馬を合わせた。
「シャスター様はフローレさんのことをしっかりと考えていらっしゃるはずです」
シャスターを心から信頼している星華の表情を見て、カリンはハッとした。
「……確かにそうね。ありがとう、星華さん!」
カリンは星華に感謝した。
星華の言う通りだと思ったからだ。フローレのことで一番責任を感じているのはシャスターなのだ。
そして、反省もした。
自分だけが焦っても仕方がないからだ。
幸いなことに、シーリス魔法学院の後継者であるヴァルレインのおかげで、フローレの身体は半永久的に凍ったままの状態を保っている。それなのに焦っているのは、自分が早くフローレに会いたいからだ。
それは自分勝手なワガママだと、カリンは星華の言葉で気付くことができた。
ふと、カリンは空を見上げた。
シャスターが言ったように雄大な景色はとても美しい。
少しだけ気持ちが楽になったカリンは、そのまま星華の横で会話を楽しむことにした。
ほとんど一方的にカリンが話すだけはあったが。
職業、レベル&階級、スキルについての説明
○戦闘系職業
大きく分けると、以下の三つ(戦士系、魔法使い系、神聖魔法の使い手)に分類される。
戦士系
戦闘系職業の中でも職業の種類が多く、人数も圧倒的に多い。
基本、武器を使う職業。
その中でも主だった職業は騎士、剣士、闘士など。また、弓使いや盗賊なども戦士系に含まれる。
同じ武器を扱う者でも職業が違う場合も多い。(ex.片手剣を使う職業は騎士や剣士等)
魔法使い系
自分の魔力を使って、魔法を扱う職業。
体系化された五つの属性(五大属性)がある。ただし、魔女のように当人しか扱えないような例外的な属性もある。
属性ごとにレベルがあり、さらに魔法使いのレベルは上げるのが難しい為、通常一つの属性しか覚えることができない。
生まれ持った才能(魔力)が必要な為、戦闘系職業の中では最も少ない職種。
五つの属性の中で、シャスターは火炎系属性の頂点であり、ヴァルレインは水氷系属性の頂点。
神聖魔法の使い手系
自分の信力を媒体にして神々の神聖なる力を使う魔法。
神々からの授かった力を信力と呼び、信力が高いほど神聖魔法の使い手のレベルも高くなる。
信仰する神々によって職業が神官や巫女、僧侶などと呼び名が異なり使える神聖魔法も異なるが、同じ神聖魔法の使い手であり、職業レベルと神聖魔法の使い手レベルは同等である。
例えば、カリンは神官レベル3であり、神聖魔法の使い手レベルも3である。
魔法使い同様、生まれ持った才能(信力)が必要な職種。
物語に出てくるファルス神教は大陸で最も広まっている神々であり、今までの国々(レーシング王国、シュトラ王国、アイヤール王国)は全てファルス神教である。
カリンの職業は正式には「ファルス神教の神官見習い」となる。
○レベルと階級
戦闘系職業には強さを示すレベルがあり、レベルが十上がるごとに階級が上がる。
レベル1〜9 初級
各職業で一番下の階級となるが、魔法使いにおいては、最も多いレベル帯であり、同じ初級の戦士系よりも強い。
レベル10〜19 中級
各職業では中堅に当たるが、魔法使いにおいては、かなり強力な魔法を使えるレベルとなる。
レベル20〜29 上級
各職業では上位職。魔法使いにおいては、一人いるだけで戦闘を左右するほど。
レベル30〜39 超上級
各職業でも一握りしかいない階級。魔法使いにおいては、一人いるだけで小さな戦争の戦況を左右するほど。
レベル40〜49 勇者級
高難易度ダンジョンの攻略やレアクラスの魔物を討伐するほどの階級。
勇者級からは人間の領域を超えているレベルといわれている。
レベル50〜59 英雄級
高難易度ダンジョンの攻略やレアクラスの魔物を討伐するほどの階級。
レベル60〜69 聖人級
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○スキル
各個人が持っている能力。スキルは戦闘系だけでなく生産系などもある。
様々なスキルが無数に存在していて、人々は複数のスキルを持っている。
スキルは上達に応じてレベルが上がっていく。
そして、保有するスキルの中で一番高いスキルのレベルが、職業レベルとなる。
(ex.A騎士の片手剣スキルのレベルが五、腕力スキルのレベルが三の場合、Aの騎士レベルは五となる。B騎士の片手剣スキルのレベルが五、腕力スキルのレベルが八の場合、Bの騎士レベルは八となる。)
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皆さま、いつも読んで頂き、ありがとうございます!
第四章が始まりました。
なんとか、ここまで辿り着けることができました。
皆さまが読んでくれているお陰です。本当にありがとうございます!
さて、第四章は今まで以上に多くの人物が登場する予定です。
彼ら彼女たちが、どのように活躍してくれるのか、私自身も今からとても楽しみです。
皆さまにも楽しく読んでもらえたら嬉しいです。
今回、用語説明として、職業、レベル&階級、スキルについて後書きに追加しました。
それでは、これからも「五芒星の後継者」をよろしくお願いします!




