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第三十話 輝く火炎球  &(魔法使い階級、レベル等解説)

「うおぉー!」


 男よりもかなり後ろにいたブレガが、吹き飛ばされそうになる。辺り一面は猛吹雪となった。

 レーテル姫たちも激しい風雪で、目を開けているのがやっとだ。


「あれはレベル三十台、超上級魔法です」


 フォーゲンは猛吹雪からレーテル姫とカリンを守る盾となりながら叫んだ。

 超上級の二人が本気を出し合って戦っているのだ。


 しかし、そんなフォーゲンの目から見ても、敵であるシーリス魔法学院の後継者が勝っていることは明白だった。

 猛吹雪の中で、シャスターの火炎球(ファイア・ボール)は全て消えてしまっているからだ。



「あははは! 見ろ、これが俺の最大魔法暴れる吹雪(ブリザード・フォース)だ! この猛吹雪の中では、お前の火炎球(ファイア・ボール)も役に立つまい」


 男は高らかに笑った。

 少年にはもう為す術がないからだ。


暴れる吹雪(ブリザード・フォース)


 男はもう一度、自身の最大魔法を放った。

 さらに広範囲を吹雪が襲い掛かり、ハルテ国王陣営の兵士たちを巻き込んでいく。


防御壁プロテクション・バリア


 カリンは最大限の信力で大きなバリアを張って、周囲の人々を吹雪から守ったが、それも限界がある。もって、数分だろう。

 それほどまでに、シーリス魔法学院の後継者の魔法の威力は強烈だった。



「ふん、ガキのくせに調子に乗るからだ。自分の生意気さを後悔しながら死ね! 暴れる吹雪(ブリザード・フォース)


 男は最後のトドメの一撃として、視界の先に見える少年に向けて魔法を放った。


 暴れる吹雪(ブリザード・フォース)火炎球(ファイア・ボール)を全て蹴散らしながら少年に襲い掛かる。

 直撃を受けた少年は一瞬で凍りつき、さらに身体がバラバラになって四散する。


 はずだった。



 しかし、実際にはシャスターが新たに放った火炎球(ファイア・ボール)が、暴れる吹雪(ブリザード・フォース)の猛吹雪の中を突き抜けて、こちらに向かって飛んできている。


「ば、ばかな……」


 男は慌てて火炎球(ファイア・ボール)を避けたが、その表情は狼狽を隠せない。

 レベル三十八の男が放つ暴れる吹雪(ブリザード・フォース)なら、レベル三十の火炎球(ファイア・ボール)+3(プラススリー)は効かず、吹雪の嵐が少年を襲うはずだ。


 それなのに、なぜだ?

 なぜ、逆にこちらに火炎球(ファイア・ボール)が飛んできているのだ?


 男の背中に嫌な汗が流れた。



「ま、まさか……あれは+4(プラスフォー)!? い、いや、そんなはずが……」


 信じたくはない

 しかし、それでなければ猛吹雪の中を炎が飛んでくるはずがない。


 レベル三十台が効かない魔法……レベル四十の勇者級の魔法ということだ。


「……あり得ない」


 少年が勇者級の魔法を放っている。男としては到底信じられなかった。

 自分よりも一回り以上も歳下の少年が自分よりも上の魔法を使っている。しかも、勇者級の魔法だ。


 勇者級の魔法使い(ウィザード)とはその名の通り、多くの人々を守ることができる存在。

 たった一人で国を守ることができる、一国の戦力と同程度の実力者といわれている。

 常人のレベルの限界を超えたクラス、それが勇者級なのだ。



 まさか、あんなガキが勇者級の魔法使い(ウィザード)だとは。

 しかし、それと同時に男は改めて自分の言葉を思い返した。

 魔法使い(ウィザード)の実力に年齢は関係ない。あるのは才能なのだ。



 さらに、火炎球(ファイア・ボール)が吹雪を消し去っていくため、男の直線上には少年の姿がハッキリと見えた。

 少年は笑みを浮かべながら、口を動かしているのが分かる。


火炎球(ファイア・ボール)+5(プラスファイブ)


 少年の口元の動きがはっきりと見えた男は、心の底から恐怖を感じた。

 信じられないことに、少年は+4(プラスフォー)のさらに上、+5(プラスファイブ)を唱えたのだ。


 +5(プラスファイブ)は五十台魔法、勇者級のさらに上をいく英雄級の魔法だ。

 アスト大陸広さといえども、限られた一部の者しか扱うことが出来ない魔法。



 男は両膝をついて、崩れ落ちるかのように、その場に倒れ込んだ。


(こんなバケモノに敵うはずがない……)



 シャスターの手に浮かんでいる火炎球(ファイア・ボール)はたった一つだ。

 しかし、今までとは比べものにならないほど、一際眩く輝いている。猛吹雪の中でも、その存在が分かるほどの輝きだった。


 その火炎球(ファイア・ボール)に、カリン、レーテル姫、フォーゲン、そしてハルテ国王やブレガたちの多くの視線が集まる。



 その炎の球はシャスターの元を離れて、荒れ狂っている吹雪に向かって静かに飛んでいく。



 そして、吹雪の中で大爆発を起こした。



 あまりにも大きな爆発の輝きと爆風で、誰もが思わず目を閉じてしまったが、次に目を開いた時には炎の球も猛吹雪も跡形もなく消えていた。


 空には今までの悪天候がまるで嘘だったかのように、穏やかな晴天が広がっていた。




「五芒星の後継者」

魔法使い(ウィザード)階級とレベル そして今まで登場した魔法一覧です。

(火炎系魔法と水氷系魔法を載せています。)


初級(レベル1〜9)

火炎球(ファイア・ボール)



中級(レベル10〜19)

火炎の竜巻(ファイア・トルネード)

(第1章魔法部隊、2章一万のアンデッドを倒した魔法)

火炎の嵐(ファイア・ストーム)

(第2章最初の町でアンデッドを倒した魔法)

火炎針(ファイア・ニードル)

(第2章ボーンドラゴンの核を壊した魔法)

火炎の壁(ファイア・ウォール)

火炎球+1ファイア・ボール・プラスワン


凍氷の剣(アイス・ブレイド)

凍氷の壁(アイス・ウォール)

流水の竜巻ウォーター・トルネード 



上級(レベル20〜29)

火炎球+2ファイア・ボール・プラスツー



超上級(レベル30〜39)

火炎球+3ファイア・ボール・プラススリー 


凍氷の硬壁アイス・ハイ・ウォール

暴れる吹雪(ブリザード・フォース)



勇者級(レベル40〜49)

火炎球+4ファイア・ボール・プラスフォー

月光の波動(ルナ・ラディウス)

(第1章オイト国王を倒した魔法)

地獄の業火インフェルノ・フレイム

(第2章10万のアンデッドを倒した魔法)



英雄級(レベル50〜59)

火炎球+5ファイア・ボール・プラスファイブ



??級(レベル60〜?)



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