第十九話 カリンの不安 &(戦闘系職業説明)
「カリン様、ごめんなさい」
国王のもとから戻ってきたレーテル姫に突然謝られて、カリンは驚いた。
「えっ、どうしたのですか?」
「実は……」
レーテル姫はハルテ国王との経緯を話した。
そして、シャスターが魔法使い部隊に送られてしまったことを詫びたのだ。
「そんなことで謝る必要はないですよ」
カリンはあっけらかんとしている。
「それに、どうせ昨日のシャスターの生意気な態度が今回のことを起こさせたのですから、自業自得です」
「でも、もしシャスター様の身に何かありましたら……」
「大丈夫ですよ」
心から心配してくれているレーテル姫に申し訳なかったが、カリンは心の中で笑ってしまった。
カリンはレーシング王国と死者の森で、シャスターの常識外強さを目の当たりに見てきている。だから全く心配などしていなかったのだが、レーテル姫やフォーゲンにはそれが分からない。
伝説の魔法学院の後継者といえども、両軍が激突する最前線に送られてしまっては、危険だと思っているのだ。
「それよりも、私たちは自分たちの準備をしましょう」
カリンはレーテル姫を安心させるために微笑んだ。
「分かりました」
まだ不安は消えたわけではないが、レーテル姫はフォーゲンと共に国王の隣に陣を展開する準備のため、カリンのもとを離れて行った。
そんなレーテル姫たちを見送りながら、カリンはふとあることに気付いた。
それは今回の戦いは、今までの戦いとは全く違うということだ。
敵側には同じ伝説の魔法学院、水氷系魔法の総本山であるシーリス魔法学院の後継者、「五芒星の後継者」がいるのだ。
二人が戦ったらどうなるのか。
「大丈夫よね……」
急に不安に襲われたカリンは、シャスターがいる前方を不安そうに見つめた。
「五芒星の後継者」
職業についての説明
○戦闘系職業
大きく分けると、以下の三つ(戦士系、魔法使い系、神聖魔法の使い手)に分類される。
戦士系
戦闘系職業の中でも職業の種類が多く、人数も圧倒的に多い。
基本、武器を使う職業。
その中でも主だった職業は騎士、剣士、闘士など。また、弓使いや盗賊なども戦士系に含まれる。
同じ武器を扱う者でも職業が違う場合も多い。(ex. 片手剣を使う職業は騎士や剣士等)
魔法使い系
自分の魔力を使って、魔法を扱う職業。
体系化された五つの属性(五大属性)がある。ただし、魔女のように当人しか扱えないような例外的な属性もある。
属性ごとにレベルがあり、さらに魔法使いのレベルは上げるのが難しい為、通常一つの属性しか覚えることができない。
生まれ持った才能(魔力)が必要な為、戦闘系職業の中では最も少ない職種。
五つの属性の中で、シャスターは火炎系属性の総本山であるイオ魔法学院の後継者である。
神聖魔法の使い手系
自分の信力を媒体にして神々の神聖なる力を使う魔法。
神々からの授かった力を信力と呼び、信力が高いほど神聖魔法の使い手のレベルも高くなる。
信仰する神々によって職業が神官や巫女、僧侶などと呼び名が異なり使える神聖魔法も異なるが、全て同じ神聖魔法の使い手であり、職業レベルと神聖魔法の使い手レベルは同等である。
例えば、カリンは神官レベル3であり、神聖魔法の使い手レベルも3である。
魔法使い同様、生まれ持った才能(信力)が必要な職種。
今までの国々(レーシング王国、シュトラ王国、アイヤール王国)は、大陸で一番信仰されているファルス神教を国教としており、カリンの職業は正式には「ファルス神教の神官見習い」となる。




