鬼の血をひく少年は日本人初のバロンドールを取る予定ですが、試合でハットトリックした後に場外でもハットトリック決めるそうです(意味深)
※「なろうラジオ大賞3」の参加作品の為、合計1000文字しかありませんご了承ください。使用キーワード『ハットトリック』
「――うわ。記者に囲まれちゃってる……」
クリスティーナは【カルチョ】――イタリアでのサッカーの呼び方――がそれほど好きではない。
〝男たちが人生の大半を無駄にしている球を蹴り合う遊び〟という認識だった。
つい先ほどまでは。
「クリス……」
取材陣に取り囲まれ、困り顔の日本人の少年。
日本人少年は先の試合が初登場。
観客はもちろん試合の解説者も、この新人選手の情報を全く持ってなかった。
ところが初出場ハットトリックだ。
最後のバイシクルシュートは、カルチョ嫌いなクリスでも感動した。
妙な縁で引き受けた少年の通訳の仕事を思うクリス。
「すぐに辞めさせてもらうつもりだったんだけどなー……」
あんなプレーを見せられたら素人でも分かる。
この後、記者の群れから少年を救い出したクリス。
彼の下宿先に届けるまでが彼女の仕事である。
――この日クリスはさらに度肝を抜かれることになる。
◇
まだ定宿が決まっていない少年は監督の家に居候している。
何だかんだでそこまで徒歩で移動するしかない2人だったが――
「おう。俺らファミリーの者だけどやってくれたな」
途中、突然カタギでない雰囲気の男3人に囲まれてしまった。
しかも1人が銃を向けている。
(――マフィアだわ)
「相手チームに賭けてたこっちは大損害なんだわ」
(不味ッ)
女の身ながら「この子を逃がそう」そう考えたその時だった。
「助けてー!」
偶々近くで起きた火事の現場から女性の助けを求める声が響いた。
アパートの4階付近で赤子を抱えている。
すると少年はマフィアを置いて助けに向かおうとするではないか。
「無視すんなガキ、死ねや!」
ドォォン!
クリスの目前であっさりと引き金がひかれてしまう。
「やめてーーーっ」
顔面蒼白のクリス。
しかし。
「――っ!?」
「「「な、何ィーっ!?」」」
日本人少年の右足が――
「……弾丸は友だちだから」
なんと拳銃の弾丸を足でトラップしていた。
「東洋の神秘――!? ていうかタマの字が違うし言い方も違うから」
日本語の分からないマフィアたちの代わりに、元ネタも分かっているクリスがツッコミを入れる。
その時だった。
「あたしのベイビーが!」
炎に追い詰められた母親が赤子を下に落としてしまう――
「「「「!!?」」」」
その場にいた皆が地面に叩きつけられたと思ったその時、
少年の左足が赤子を受け止めた。
間に合った――
「命は友だちだから」
「じ、字が違う――」
クリスの心にもゴールが決まった瞬間だった。
最後までお読みくださりありがとうございます。
もしよければご指摘、ご感想など頂けますと成長に繋がります。
■試合後のハットトリックについて
・1点目 → マフィアの弾丸を足で受け止めた
・2点目 → 赤ちゃんの命を足で受け止めた
・3点目 → クリスティーナの心をつかんだ
――という、健全なハットトリックでした!
Hなハットトリックを期待した皆さん、タイトルサギ大変申し訳ありませんです・゜・(つД`)・゜・
■クリスの言う「元ネタ」について
世界中で大人気、もちろんイタリアでも有名な日本の少年サッカー漫画のセリフですw
こちらの短編のイメージイラストをなんと初の《有償依頼》で描いていただきました。
このイメージで長編書く予定ですっ><*
イラスト作者:かなさん
SKIMA→https://skima.jp/profile?id=126704