哲学
「哲学とは何か」と言う問いに対する答えの一つは、「哲学は何かの役に立つか」と言う問いを考えることで理解できる。ではまず初めに、役に立つということの意味を確認したい。例えばこう言えるだろう。「役に立つとは、初めに目的を設定し、それに対して有用であることを意味する」と。ここで役に立つモノやコトを手段と呼ぶ。
こうすることで目的と手段の関係は明らかになった。初めに目的を設定して、この目的を達成するための有用なファクター、つまり手段を決定する。こうした手続きは人間活動のあらゆる場面で見ることができる。例えば国家の存在目的が決定することで政策やその優先順位が決まる。また経営方針やビジョンを設定することでそれに即した経営方法が決まる。すべての学問、人間行動は何らかの目的や前提を設置しなくては、手段の決定と実行を、つまりそれらの活動を始めることができないのである。
では哲学は目的と手段の関係においてどちらを考える活動であろうか。ここまでの議論をもとにすればその答えは明らかである。哲学は手段が奉仕すべき目的を、何かを考え始める前提を、活動を行う理由を説明する何か究極のものを設定するためにある。つまり哲学は何かの役に立つのではなく、役に立たせるべきその何かを探求するのであって、「哲学は何かの役に立つか」と言う問いはナンセンスなのである。