第一話 始まりの風
過去の自分に笑いがでます^^
今のにも^^wwww
何年も経ってみるとお前黙れって感じですね
何でだよ?可笑しいだろ?何で好き勝手やっている人間に殺されそうにならなくちゃいけないんだ?
俺は別に何もやっていないじゃないか。勝手に俺がやったと思い込んでいるだけだろう。
どうしようもなく笑える話だ。笑いすぎて涙さえ出てこないような。
俺の目の前には、さっき部屋に入ってきた男が一人だけ残っていた。
他に何人居たかはもう既に忘れてしまった。なぜなら、死んでいるから。
そんな可哀想で滑稽な一人きりの自称勇者は、涙目でこちらを睨め付けていた。
人間とは、醜く脆いものなのだな。所詮一人では何も出来ない。
下等生物。
「覚悟しろ!魔王!」
勇者は大剣を持つ手に力を込める。その剣の大きさが、身の丈に合わない正義を振りかざしているように見えた。
「この聖剣で貴様を!!よくもッ!よくもぉぉぉぉおッ!」
勇者の声がする。今更勝てるわけないのに、躍起になったか。
大剣を持ちながら、憎くてたまらない俺に向かって走ってくる。走る速度は遅くないのできっと鍛錬はしたのであろうか。
確かに目の前で仲間を殺しはしたかもしれないが、それ以外のことに対しては勝手に濡れ衣を着せないでほしい。
「俺は魔王ではない、カイルだ。覚えておけ」
俺は口の端をつり上げた笑顔を消さないままそう言い放つ。死にゆくこいつにはどうでもいいことかもしれないが、生きているこっちとしてみればこのまま魔王と呼ばれ続けるのも些か気分が悪い。
心の底から、今すぐ殺してやりたいと思う。
俺が町を破壊するよう命令したって?俺は全ての魔物に命令する権限を持ってるわけじゃない。
俺だって知らない魔物もいるし、そうなると当然俺に従わない魔物もいる。
人間とは、何処までも愚かな物だな。全てを知ってると思い込み、その中でしか生きようとしない。
そして、自分にも半分人間の血が流れているのかと思うと嫌になる。人間なんかに恋をした父が憎くて憎くて堪らない。
俺がそんなことを考えていると、何かが風を切る音がした。見れば、振りかぶられた大剣が今まさに俺の首を撥ねようとしていた。
甘い過ぎる。隙があるとでも思ったのか。
鋭い切っ先が皮を破る寸前、音もなく降り立つ影を捉えた。ガーゴイルだ。
黒い、羽の生えた魔物。元は銅像だったらしい。
「カイル様……」
「いい。その必要はない」
目を合わせるだけで流れ込んできた心に対して短く返事をする。
そして、口の中で言葉を転がすように短い呪文、通称呪歌を唱えた。
呼応するように空気が振動したのを感じる。恐らく、大剣に魔法が掛かった。
ホントに、甘いな。
こんなやつで態々ガーゴイルの手を借りることもない。
「これじゃあ、ないな」
一人呟く。
この間抜けな勇者は、こんな物を聖剣と信じ込んでいたのか。愚かで可哀想で苛々して虫唾が走る。
こんなのに大事な部下を殺されたのかと思うと腹が立って仕方がなかった。
作り物の笑顔を消して、相手を睨め付ける。
「死んで貰うぞ」
そう言ってそのまま大剣を操るのに意識を集中する。
その中には一辺の魔法も感じられなかった。
その上、意味が分からないほどに切れ味が悪い。
「うわぁっ!」
勇者が奇声を上げた。
自分の物が言うことを聞かない事に驚いているのか、俺に歯が立たなかった事に驚いてるのか、ただ単に自分の死に恐怖してるのか。
もはや、どうでもよかった。早く死んでくれ。
「――っ!」
誰も仲間がいない所で助けを求める。
よかったじゃないか。人間とはプライドが高いのだろう?
今でも勇者はあれを聖剣だと信じているのだろうか?ただのガラクタがピンチの時に助けてくれると信じているのだろうか?
愚かさもここまで来ると道場すら芽生えてくる。
そう思いながら、この剣が俺に向けられていた時にそのままされなかった事をした。
切れ味が悪すぎるせいで叩き切るようになってしまったのは仕方のないことだろう。
鮮血があちこちに飛び散る。
薄汚い下等な血で、カーペットが汚れてしまった。
それに、叩き切ったせいで肉片もそこらに飛び散っていた。どうやら筋肉の筋も飛んでいるようだ。
苛々する。気持ちが悪い。
「死ね―――――――――っ!」
苛々する。苛々する。
死んでいるのは知っているが、それでも消化されない。苛々する。
薄汚い血で汚れた大剣で切る、叩く、刺す、潰す――――。
その度に下等な血が部屋中を汚していく。そこら辺に飛び散る。
幾分か離れていたはずなのに、薄汚い血が俺の頬に触れた。
「随分やりましたね」
ガーゴイルは丁寧な口調で言う。慣れたように肉片を片付けながら俺を見て話すのを、器用だなどと思った。
「苛ついたからな」
俺が答える事は分かってるとでも言いたげな目で、それでも「何処がですか?」などと聞いてきた。
「自分が一番強いと思っているところ」
俺がそう言うとガーゴイルが笑った、やはりとでも言いたげに。
心の中で、あなたもそうですよなんて聞こえた気がするが気にはしない。こいつはそういうやつだ。
「ふっ」
「何がおかしい」
きっと俺の顔が赤くでもなっているのだろう。
ガーゴイルはもう笑ってこそいないが、俺を楽しそうにに見ながら言った。
「では、残りの片付けもありますので。カイル様」
「ああ。頼む」
何でだ?何で俺らの村が。俺らの村がこんなになってるんだ?
燃えている、破壊されている、何もかも。
「お、い」
誰かが苦しげな声で言った。少し低めの声、恐らくシャガのものだろうか。
俺らの村は崩れて、燃えて、焼け焦げていた。
どの家も跡形などない。村だったかどうかもパッと見ただけでは分からないくらいの火の海。
「どうして?なんで私たちの村が」
いつもは元気なコスモスが悲しげに呟く。
声に当てられたのか、炎の熱気からかは分からないが、皆一様に涙を浮かべていた。
当たり前だろう。生まれてからずっといた場所で死ぬまで居るはずだった所が、今ではただの火の海なのだから。
ついさっきまであったはずなのに。
なのに、なんでだよ?なんで俺は泣けないんだよ?
涙の一滴さえ、出てこないじゃないか。
「静かに」
比較的冷静なムギが、何かに気づいたように口に人差し指を当てるジェスチャーをして、一点を指し示した。
呼びかける声は震えていた。悲しみか怒りかは分からないけれども。
「……なんだよ」
「まあ良いから。キキョウさ、見ろよあれ」
ムッとするキキョウに向かってムギが言う。彼の指の先には幼い女の子が居た。
泣いて、必死に何かを探しているように見えた。少し走ってはしきりに辺りを見渡している。
「パパ!ママ!何処行ったの?一人はやだよ!」
俺たちと同様に、この村に住んでいるスミレだ。彼女と同い年の子はいなかったから、俺らが一緒に遊んであげていた子だった。
声が震えている。それに、泣いていた。
このままでは危ないと思いスミレの所に掛けだそうとするも、横から伸びてきた手がそれを阻んだ。
ムギのもの。そしてムギを見れば、俺の方を向いて口に人差し指を当てていた。
行くなという事だろう。それに問うような目で見つめ返せばムギは緩く首を振った。もう助けられないとでも言いたいのだろうか。
「多分殺されたんだろうな」
中断していた会話を再開させるようにムギがキキョウに向かって言う。
「親が、か?」
「恐らく。だけど、俺が言いたいのはそこじゃないんだ」
そう言ってキキョウから目を離して、一言。
「来るぞ」
「何が――」
来るのか、恐らくキキョウはそう問おうとしたはずだった。
不自然に切れた言葉を疑問に思いつつ視線をスミレに向ける。
爆発でもしたのか?急に倒れたのか?それとも――――。
「おい。チビ」
結論から言えば、スミレの後ろには何かが立っていた。人間のような、何かが。
そして、その何かが俺の否俺たちの予想を裏切る事はなかった。
ぐはっ!
下手すぎて修正時間がかかるっ!
多分修正終わりましたぁーっ!!
た・ぶ・ん
今思うとこのレベルで何が修正かと