金に目がくらんで気を揺らすと蜂に刺される。
八ページ、少し内容増やして。試験の話を九ページに回そうかなと思います。
明後日。28の、夜にはあげると思いますが一度読んでくれたかたは申し訳ありません。
「はあ、今回もこうなるのね…」
シャルロッテの憂いを帯びた声と共にほっそりとした指がソフィの両手を包む。繋がれた手から赤い光がソフィの体を回り、傷を癒していく様子にホッと息をつく。
「ソフィが本気で嫌がってくれれば俺も止められるんだけど。」
ジュール兄さんとの戦いは事実俺も楽しんでしまっている節がある。基本的に戦いには手を抜かずにやっているつもりだけどソフィとやるとすると互いに無意識に手加減してしまって上手くいかない。
その点、ジュール兄さんは誰に対しても手加減なしで叩きのめしに来るのでこちらも本気でやらなければ一発で気絶させられて終わりだ。ジュール兄さん曰く人を選んでやってはいるらしいが。
そのせいか、ソフィはいつも楽しそうにジュール兄さんの宣戦布告を高々に受け取る。
本人は決して“シャルロッテが避けないから仕方がなく”と言ってきかないが、それも聞こえは悪いがシャルロッテを見捨てればいい事だ。ソフィもジュール兄さんの攻撃がシャルロッテに当たっても支障がない事は承知の上だろうに。
シャルロッテは人魚の末裔だ。
正確にはジュール兄さんもそうなのだが、人魚の能力が、血が濃く表れたのは今の世代ではシャルロッテだけだ。所謂先祖返りというやつになる。
回復魔法だけに異様に特化したのが人魚の魔法でありシャルロッテ特有の魔法になる。人魚の魔法を持つものは魔力が尽きない限り、どんな攻撃も受けた直後人魚の加護で一瞬で回復する、人魚の加護の回復速度を超える程の攻撃は今の所発見されてはいないし基本的に人間の体から魔力が減る事があっても尽きる事はまずない。それゆえ、シャルロッテは不死身と言っていいだろう。
ただ、攻撃系に魔法が使えないという欠点はあるが回復となればシャルロッテ右に出る物は居ない。
…ソフィが魔物に襲われたあの日に近くに居ればと何度思った事か。
人魚の魔法が治せるのはあくまで人魚の魔法が体に害をなしていると判断した怪我や病だけ。シャルロッテの魔法をしった時にはソフィの傷は痕が残っているだけで傷自体は完全に癒えていた。
それに、それを知ったのもソフィの傷を知ったシャルロッテが意味が無いと分かって居ながらも魔法をごめんなさいと泣きながらソフィの傷に手を当てていたのを見てしまったからだ。
人魚の魔法を持つことを世間に知られればシャルロッテの身にどんな悪意が襲うかなど想像したくもない。有り余る回復の力を持ちながらも我が身可愛さに力を使わない事をどうか許して欲しいと泣くシャルロッテは記憶に新しい。
シャルロッテは知ってしまったのだ戦争時人魚の魔法を保有している、保有している疑いがあると知られた人間が敵国に真っ先に殺されたのを。
戦争時に殺された一族はシャルロッテやジュール兄さんの一族では無かったが明日は我が身だ。
「アーサー?兄様がごめんなさいね、あなたも私が治すとはいえソフィが毎度ボロボロになるのは許せるものではないでしょう。」
「え?ああ。まあね。でも、俺はソフィを何も籠に閉じ込めたいとは思ってないから。最後に俺の所に戻って来てくれるならそれでいい。」
「ふふ。そのうち戻るのが貴方の所じゃなくて別の人になるかも知れなくてよ?」
早めに妹離れしとくのねと残しシャルロッテが部屋を出る。ジュール兄さんも今回ばかりは気絶したから様子を見に行くのだろう。
妹離れ、か…
お前と違ってこんなに愛おしく思えるのに
「今回は妹なんだな、泉」
前世で殺した女とは似ても似つかない可愛い妹の頬をそっと撫でる。
◆
「…兄さん?」
名前を呼ばれた気がして重たい瞼を開けるとそこには私の頬に手を当てる兄がいた。
呼ばれた兄は少しビクっと体を揺らし、手を離してしまった。
「聞いてた?今の」
「え?なにか言ってたの?」
「…いや、何も。それにしても今回はいい戦いだったなー遂にジュール兄さんがソフィに跪いたぞ!」
いや、跪いては居ないけどね?
「負けたけどね。兄さんはどうだったの?私の前にやってたんでしょ?」
「ん?勝ったよ?」
「え、勝ったの?あんなにボロボロだったのに?何やったの?」
あれは、完全に負けた側のボロボロさだったと思うのだけど。
「泥落とし穴作戦。」
「うわっ。」
もう一回やったらボコボコにされたけど、一回勝ったは勝ったから。と自信満々にいう兄だがそれは、もうほぼ反則じゃないかと思わずにはいられないが兄が勝ちと言うからにはジュール兄さんも負けを認めはしたんだろう。
兎に使った作戦をジュール兄さんに使うのは兄さんくらいだろうなと思うがそのために魔法で泥の落とし穴を作る兄を想像するとシュールだしちょっとダサいなと思ってわらってしまった。
「あははっ兄さんわざわざそれ作ったの?」
「まるで、子供遊びのようですわね」
「ジュール兄さんにも同じ事言われた。抜けないようにって結構深めに作ってたからはまったジュール兄さん結構面白かったぞ。」
「腰まで埋まったよ」
「え、なにそれ見たい。」
「今度、またやるか。」
「あら、わたくしもお手伝いしても良くて?」
「じゃあ、僕も手伝おうかな。」
「え?」
「お?」
「あら?」
「ん?」
「え、いつからいたの?」
「お、ほんとだ。いつ?」
「あら、気づいてらっしゃらなかったの?」
「ん?泥落とし穴作戦辺りかな?」
うわ、びっくりした。いつ入って来たのか気づかなったな。
私が腰かけるベッドの脇に座る兄の向こうには優雅に紅茶を飲むシャルロッテとジュール兄さんが居た。
「ジュール兄さん看病しに行ったからしばらく戻ってこないと思っていたけど案外早い戻りだな。」
「あら、わたくしもそのつもりでしてよ。ただ、兄様がけろっとしてソフィに会いに行くなんて言いますから。」
「そう、あの最後の魔法良かったなと思ってー。最後安心してとどめ刺しに来なかったのはやっぱり甘かったけど。」
「え、だってあの電撃受けて立ってられるとは思わないでしょ!?」
今もそうだが普段どこか抜けていそうな空気のジュール兄さんが戦闘になるとあんな化け物じみた戦い方するなんてギャップもいい所だ。
それが動けるんだなーなんて間延びした声で笑うジュール兄さんを若干引き眼で見ながらも最後のジュール兄さんを思い出した寒気で肩をぶるっと震わせる。
「それにしても窓から落ちるのは流石にどうかと思いますわ、ソフィだから対応できましたけど。そのまま落ちて頭を打って即死になんて事になったらいくらわたくしでも何も出来なくてよ。」
「まあ、そこはダメそうだったら受け止めに行こうと思っていたし。」
窓開けた後落としに来ていたしね。満を持して落としに来ていたのね。
「そうだよねー。何もしないで落ちればよかった。」
「悪かったよ。ほら、ウェンズリー家の室内でやる訳にもいかなかったんだ。」
「そんな所配慮するなら最初から外に行くように誘えばよかったんじゃないか?」
「いや、その前に誘う所からやめて欲しいんだけど。」
「兄様も少しは自重を覚える事ですわね。」
散々な言われようにジュール兄さんが善処するよと罰が悪そうに頬をかく。
治らないんだろうな。毎度毎度同じような会話をしている気がする。
「ところで、兄様はいつまで此方に居られるのですか?」
「んー、20日程かな。休みと言っても学園でやりたい事もあるしね。王都で騎士団の演習に誘われたんだ。入る事は出来ないけれど剣の相手をしてくれないかって。」
「わあお。凄いなあジュール兄さんは。今、騎士団に居るのは戦争で生き残った人達なんでしょ?」
「そうだね、でも僕が相手をするのは研修組。流石に本物の隊員相手は僕じゃ務まらないよ。」
それでも、凄いんだけどな
シャルロッテや兄さんは余り驚いていないみたいだけどシャルロッテなんかは内心小躍りしていると思う。兄さんは…何考えてるかわからないな。
一年たっても兄の考えてる事は分からない。だからと言って他の人の考えが分かる訳でもないのだけど。口を開けば的はずれな事ばかり発する兄の脳内を把握するにはルアーの兄さんに頭開いて説明してもらうしかないんじゃないかと常々思う。
それに対してジュール兄さんは分かりやすい。と、行っても常日頃戦闘の事しか考えて無いからだけれど。
ジュール兄さんが言っていた通り騎士団に入る事は出来ない。領主の家の次男ならまだしもジュール兄さんは長男だ、シャルロッテは自身の兄は自由な人だからこの土地に無理やり引き留めるような事をしたくないと自分が領主になる事も考えているみたいだけど。
女性が領主になるのは少し難しい、というか歴代があまり居ないと言うだけだけどシャルロッテは領民にも評判はいいみたいだしいける気がするけど、シャルロッテの両親もジュール兄さんもこの話をした時にいい顔はしなかったと言っていたから私が思っている以上に大変な事なのかもしれない。
因みにウェンズリー家の領主となるのはもちろんルアーノ兄さんだ。私や兄も一応相続権的なものをもってはいるけど、正式な跡継ぎはルアーノ兄さんだけだし私や兄が領主を立派に勤め上げられるとは思えない。それこそ、領民も伯父も伯母でさえもいい顔をなどできやしない位には。
まあ、その点兄は騎士団に入れるというメリットがある。戦争があった頃は常に死と隣合わせではあったが今は、その点それなりにはあるけどそれ程でもないという感じ。
騎士団に入れば賃金も住むところも保証されている。辺境の地にでも飛ばされなければ将来安泰とのことで貴族の次男や平民に大人気の職業だし、実力さえあれば馬鹿でも入れるので変わり者も多いと聞く。
現に国境という隅っこに居る辺り辺境の地とかは全くもって気にする必要はないから気が楽でもある。
私はというと無理に嫁ぐ程にウェンズリー家は弱小と言う訳でもないし戦争が終わり権力争いに火花が散るこの時代においても伯父さん頭いいしルアーノも才覚溢れる人材だから上がる事はあっても下がる事は無いでしょうというのがアリシア伯母さんやシャルロッテの両親の意見みたいだから、自由気ままに職を探そうというのが今後のプランになっている。
まあ、そのためにもまずは学園に入らない事には話にならないのだけど。
「ん、待って。私ジュール兄さんに勝ちかけたんだから騎士団入れるんじゃない?」
職見つかっちゃたよ。
「え、ソフィが入るなら俺も入る。」
「そこは止める所では無くて?」
私もそう思うよ。自分で言っといてなんだけど可愛い妹が危ない職に就こうとしてるんだから少しは心配しろよ。
「いいんじゃないかなー。ソフィやアーサーが居るなら僕も遊びに行きやすいよ。」
笑顔で怖い事を放つジュール兄さんに兄と私は、表情を固め明後日の方向を見やる。
騎士団に入ってもジュール兄さんの襲撃を受けるなんていやだ、遊びが相手が多いから本気で定期的に遊びという名の襲撃で被害者が増える事になる。
「やめてくれ。」
「…私コンビニの店長になるのが夢だったの。」
「こんびにとは何ですの?」
「あらゆる店を簡易凝縮した一日中営業しているお店。」
「じゃあ、俺は店員になるよ。」
「そこ、剣も売ってる?」
「売ってないよっ」
なんで、話を物騒な方に持ってくかな!?
兄が珍しく真面目な顔して言っているがそれはジュール兄さんにとって来てくださいと同意語であるし、話逸らすのにコンビニとか言っちゃたよ、なんでそこを選んだ私。
シャルロッテ凄いキョトンとしてるよソフィに休みは無いのですねとかそんな純粋に言われてもっ。流石にシフト制だよっ兄さんと分けてやるよっ。いや、やんないけどっ。
「もうっ、とにかくジュール兄さんはじちゅうね!じちゅう!戦うのはもう無し!」
「自重、でしてよソフィ」
「善処するよ。」
「あ、俺それしってる。そう言ってしないんだろ?」
「…やだなあ。アーサーもう一回やりたかったなら。そう言ってよ」
え、なんでそうなったの?と焦り交じりに余計な事をいった事を自覚しないまま困惑する兄をよそにジュール兄さんがゆらっと立ち上がる。
このままだと私も巻き込み事故を食らいそうなので窓の方へ兄をぐいぐいと押してジュール兄さんへと差し出す。
シャルロッテも呆れた顔で紅茶を飲み干すとなぜか侍女に湯あみの準備を頼んできますわと残して部屋を出る。今日は泊まっていくのだろうか。
「ソ、ソフィッ」
兄の助ける求める声と共に腕を引っ張られ体がふわっと浮き上がる。
「えっ、ちょ兄さん離して!?ジュール兄さんは無駄に高度な魔法で何をやろうとしてるの!?」
片手で私達を浮かせながらも悩むように声を上げ、窓を開ける。
「うーん。巻き込むつもりは無かったけど、まあ兄妹だし連帯責任だよね。二人で行ってきなよ。
泥落とし穴作戦。
またやるんだろう?」
「「あっ」」
浮遊感と窓から落ちるデジャヴュを感じながら根っこは心優しいシャルロッテが侍女に湯あみを頼んだ理由がようやくわかった。
「兄さんの馬鹿―!!!」
落ちた先の泥穴が予想外に深く、頭まで埋まった私達の頭上で聞いた事が無いようなジュール兄さんの笑い声が響いた。
****
穴に埋まって動けなくなった私達を助けてくれたのは帰って来たルアーノ兄さんで、ものすごく疲れた顔をして全く君たちはから入りくどくどと説教を受けた。
ジュール兄さんはと言うとよほどツボにはまったらしく泥を落として部屋に戻ると肩を震わせてベッドに蹲っているものだから蹴とばして落としてやった。
「つっかれたー。」
「全く、仮にも領主の娘なのですから着替えもせずに倒れ込むなんてはしたない事するのはどうかと思いますわ。」
ルアーノ兄さんの説教と湯あみを経てシャルロッテと客間ではなく自室へと戻る。
珍しく明日も空きがあるというシャルロッテをお泊りに誘うと快く了承を得られたので夕食まで少し休息だ。
そもそも、今日は安息日だったはずなのに、ジュール兄さんがきて慌ただしく動き回る事になってしまったからもうクタクタだ。
「そう、思うなら少しは止めてよね。」
「そんな、勿体無い事できませんわ。」
私の白けた視線を解せずにはあ、兄様今日も素敵でしたわと呆けた声を上げるシャルロッテ。
さて、彼女はやはりというべきか何というべきか良くも悪くもジュール兄さんと同じ血が通っている。戦闘時に回復役として物怖じしないというのは美点ではあるのだが突き詰めればこの子の場合はただの戦闘好きだ。
ジュール兄さんと違ってやる方ではなく見る方だが。どちらかと言えば剣のたしなみはあれど攻撃魔法が出来ないシャルロッテは戦闘向きではない。そこで、ジュール兄さんの登場である。ジュール兄さんの戦う姿を見て戦闘好きになったのか、もともとの戦闘好きによって戦うジュール兄さんが素敵に?見えたのかは卵が先か鶏が先かを考えるのと同じ事らしい。
つまりは、わざわざ自分の見たいものを見せてくれるのだから止める理由は何処にもないのだと初回の手合わせの後に力説されて何言ってるんだコイツと思った私は悪く無い。
大和撫子な見た目をしときながら祭り事中でも戦闘を好むシャルロッテ。
自分でも見た目と中身が合わない事を自覚しているのか、普段は争いごとに関して我関せずの態度をとる事にしているようだけど事情知ってからその態度を見ると内心はライブでファンサをしてもらったファン並に荒れてるんだろうなと思うとなんだか、可哀想になってくるのが現状だ。
それでも、バレた。というかばらしてしまった私と二人の時はジュール兄さんの戦いをたびたび思い出してはうかうかふわふわしている。その上、次はいつやりますの?と次がある前提で来るものだからそのうちシャルロッテからジュール兄さんをけしかける日が来るのでは無いかとヒヤヒヤしている。
ジュール兄さんとて挨拶の用に手合わせを要求してくるが一回やれば次会うまでは落ち着いているというのにこれ以上機会が増えてはたまらない。
仰向けに転がったベッドの上で夢見る乙女のような顔して今日の事を思い出しているシャルロッテを眺める。
「あら、そんなに熱い視線をよこされても戦う能力はわたくしにはありませんでしてよ?」
「シャルロッテまで戦う様になったら私の体力が持たないから、全力でやめてほしい。」
ふと、私が見ている事に気付いたのかそんな事を言うシャルロッテに苦笑いで返す。
そっと、私の隣に横たわるシャルロッテに寝る時間以外はベッドに乗る事をしない彼女にしては珍しい物だなと感想を抱きながらも体を横にずらしどうしたの?と声を掛ける。
体を横にしたまま、普段少し上を見ないと合わない視線が何もしなくとも合う違和感を持ちつつシャルロッテの言葉を待つ。
「あと、一年でしてよ。」
一年?一年後と言えば
「学園?」
これしかないよなと考えつつ一応他にも無いかと考えを巡らす。考えるように視線を落とす私にふふっと上品に笑うとあっていますわと一言落として言葉を続ける。
「学園に入れば、夢が広がりますわね。
ある程度の将来は決まっているとは言え学べる事は今以上に膨大な物となりますし、新たな出会いもありますわ。
もしかしたら、わたくしと同じ趣味を持つ方にもお会いできるかもしれませんし。
貴族が6割を占めるとはいえ平民も4割もいるのですから、少々奇特な方だってそう少なくはないはずだわ。兄様が学園に入ってから今日初めて帰って来て私とてもワクワクしていますのよ。だって、どんな戦闘訓練をしただとか、どんな魔法を学んだ、どんな先生がいたか、どんな生徒がいたか、一年後自分が学園の試験に落ちるなんて思って無いけれど気になってしょうがないの、変かもしれないわね。
どんな所にも汚い部分はあるものよ。学園が夢と希望だけで出来ているなんてそんな馬鹿みたいな事思っていないけどそれだって一つの魅力だと思えば楽しめるわ。
それに、ソフィと一緒に通えるならどんな些細な事でも楽しめると思うのよ。
ねえ、ソフィ貴方は何が楽しみ?アーサーやルアーノだってもちろん一緒よ。兄様は一つ上の学年があまり会えないかもしれないけれどお昼くらいならご一緒できるかもしれないわ。それに、知っていまして?私たちが無事に合格出来たら一緒の別荘に住ませてしまおうってお父様たちが話あっているそうよ。ますます、ソフィ合格しないといけなくなりましたわね?
ソフィ?あなたの未来の旦那様との出会いもあるかもしれないのよ?わたくしたちと同じ学年に第二王子がいるとお母様が言ってらしたの。王族の方は皆優秀と聞きますわ。国を代表するのですから当然と言えば当然ですけれど剣や魔法の方は才覚の問題も少なからずある訳ですから、流石と言える様な方だと嬉しいのだけれど。
ねえ、ソフィ?ソフィ?楽しみね?」
えっ、ああ。
「うん。楽しみだね。」
... 半分寝ちゃってた。何言ってたんだ。
油断するとすぐシリアスに走るので注意してくださいまし。