揃いそうで揃わないラッキーセブン。
暴走する前に決めとこうと思いまして...
植物系統―土、水、植物
重力系統―風、温度、重力
太陽系統―火、光(日)、雷
参考程度に、あんまり何も考えていないので流してください。流してください。
さて、兄は余裕だ三年を二年でやればいいのだとかほいほい言っていたが実際はそんな事はあるはずは無かった。
朝食すら食べていない朝、ルアーノ兄さんが持っていた計画表を私ぐしゃっと潰す。
「…ルアーノ兄さん。この非人道的スケジュールは誰のもので?」
「もちろん、ソフィだよ。」
「良かったな!ソフィこれで大丈夫だ!」
なにが大丈夫なんだ兄よ。一つも大丈夫じゃない。 それも、そうだ。私はここ数週間は怠けに怠けていたのだ、というかその前にその数週間以前の記憶を無くしているのだから三年を二年に縮めるどころでは無い。
ルアーノ兄さんが私が潰した紙を広げ今日の日程を説明をしているが何も頭に入って気やしない。
ルアーノ兄さんも何、ノリノリで日程なんか作ってるんだよ。目の下隈できてるよ?徹夜?徹夜だったの?ルアーノ兄さん。一人オールナイトにっ…アルミリオンしていたの?
兄さんもそんなキラキラした目でルアーノ兄さんを見るなよ。ああ、ほら調子乗ってまた項目ふやしてるじゃんか。
あ、そんな事より昨日入った侍女見てないや。
本人そっちのけで話を進める兄ぃsを見なかった事に…
「ソフィどこ行くの?」
「えっと...ミリアの所に」
クソッ、日本の忍び足が通用しなかった。
兄が逃げる私の肩をつかむ。痛くない程度に加減されているのが今は腹が立つ。
振り払いにくいなあ…
「兄さん、心のじゅん」
「あっはっはー。お兄ちゃんもう待てないや」
わあお、いやだなお兄ちゃん顔が怖いぜ。
そうして、私の地獄の二年間がはじめ…
「たくなんてなんてなかったのにー!もう、いーやーだー。あ、揃った」
「そんな手足をバタバタとはしたないですわよ、ソフィ。わたくしと同じ学年に入るのがそんなに嫌でして?それは、二人になったのだからそうでしょう」
「いやいや。そこは嬉しいですよ!?シャルロッテ様と一緒に通えるなんてもー恐れ多くて行きたくなくなりそうだわあ。あ、そうか」
我が家の客間で、お手製トランプでのババ抜きをしながらあと、一年後迫った受験とその後の事に思いを馳せるが気持ちが重くなるばかりだ。
ああ、なんでこうなったんだ。
学園、学校、そんなものに言い思い出など無いのに、と傍から聞けばまだ行ってもいないのに何を言っているんだと言われるだろう思考を、巡らせる。
ルアーノ兄さんの計画表を実行しはじめて丁度一年程になった。
その一環のマナー講習としてお隣さんの領主の娘、シャルロッテとの交流を行っている。
なんでも、お隣さん同士代々親しくしているらしく伯父さんがシャルロッテの父親と話をしていたところ家にも同じ年頃のが居るんだし一緒にやらないかと言う事だそうな。
私に友人が見当たらないのを心配していたらしい伯父は大いに喜び是非にとその話を持って来た次の日には私がシャルロッテの家に行っていた。毎回と言う訳にもいかないので月に二回、一回ずつ互いの家を行き来している。
当初、予定に無かった事をされたルアーノ兄さんはしかめっ面をしていたが、私が同性のお友達が欲しい(ちょっとくらい休ませろ)と懇願すると兄にも押される形でしかたないなあと計画表を練り直していた。
私はと言うと兄たちの目が届かないシャルロッテとの時間をいかに緩く実質無いものにさせるかを考えていたのだが。行ってみたらシャルロッテもたまには息抜きを、と言う事だったのでマナー講習兼お茶会という事で親と兄たちを納得させ、こうしてシャルロッテとグダグダとおしゃべりをしている。
シャルロッテは黒目黒髪ロングストレートで親近感湧く、顔はかわいいというより冷たい美人なのだが。毎回、私がこの地獄の計画表を破棄したいという願いを彼女は毎回違うニュアンスでへし折ってくるものだから彼女の優しさと語彙力には感動している。
そんなsっ気溢れるシャルロッテ嬢は私とは違い聡明でそれをしってかルアーノ兄さんがせっかくそんな聡明な女性と会うなら何か得て帰って来いと小一時間程のテーブルマナーやパーティーでのダンス、立ち振る舞い等々を講師に習ったのちに私にシャルロッテ嬢に勝負を仕掛けさせるのだ。
それで今日は前世で言うとというか私が広めたので、正真正銘ババ抜きだ。前回は紅茶の銘柄当てだった。
そして、私は全敗中だ。シャルロッテは私が一度ルール等を説明するとすぐさま理解して初回で勝つ。これならば運勝負だろうとババ抜きを提案してみたものの負けそうだ。
ババ抜きは流石に二人じゃつまらないだろうと近くを通った侍女を誘ったが早々に勝ち上がって仕事に戻ってしまった。わたくしより先に上がるとはとやりますわねと悔しそうにしていた。そうだろう我が家が誇る侍女ミリアちゃんは優秀なのだ。客にも主人の娘にも勝利という華をもたせない辺り負けず嫌いで遠慮もないのだが、今回は運がよかったという事なのだろう。まあ、ミリアと勝負事をして勝ったことは無いのだが。
「さあ、これで私がクイーンを引いたら勝ちでしてよ。」
「うん。だから凄い混ぜたでしょ?」
「そんなに、シャッフルしてもそう意味は無くてよ?だって…」
「だって?」
「ソフィ、顔に出るもの。」
ガッテムッ‼‼‼‼
「くそっ負けたー。ババ引けよっ」
「だから、顔に出ると言ったでしょう。それと、時々でるその言葉遣い早めに治さないとまた、ルアーノが飛んで来ましてよ?」
「まっさかあ、ルアーノ兄さんは今日は伯父さんの仕事に同行中の筈だよ。」
「うん。だから僕達が来たよ。」
「あ、ソフィ朝ぶりだな」
「ひぇっ。」
「あら、兄様いつこちらに?」
出るタイミング伺っていたとしか思えないベストタイミング、否、バットタイミングで顔を出したのはなぜかボロボロの兄とシャルロッテの兄、ジュールだった。
シャルロッテの兄とは思えない天使のようなほんわかさを振りまきながらシャルロッテと同じ黒目黒髪のジュール兄さんと目が合う。
「夏休みでシャルとすれ違いに家に帰ったんだけどウェンズリー家に行ったというから僕も来てみたんだ。また、皆と戦いたいなあと思って。ソフィもこの後久しぶりにどう?アーサーとは一回やって来たから。」
それで、そんなに兄がボロボロなのか。
「ジュール兄さんの糸目を開かせたくないから遠慮したいな。」
初めてジュール兄さんに会った時に魔力の高さを感知され強制的に手合わせをさせられてフルボッコにされたのは懐かしい思い出だ。思い出したくもない。
普段糸目の笑顔でどう考えても戦闘とは無縁そうな空気を振りまきながらいざ、戦いとなると女にも手加減なし、いや、ちょっとはしているのだろうが強すぎて手加減になっていないジュール兄さんは初見の手合わせで私が魔力にもの言わせて反撃すると「僕に当てるなんてすごいなあ」と一言いうと糸目を開き狂気的な顔で迫って来た、あれはもう化け物だ。
そんな、こんなで私はフルボッコにされた挙句合うと毎度手合わせをさせられ毎度フルボッコにされている。
私の3つ上兄やシャルロッテ達よりも2つ上のジュール兄さんは、今はもう学園に入っているのだが時たまこうして帰ってくると皆に手合わせを願って(奇襲をかけて)成長したなあといってやっと落ち着く。
とどのつまりどういうことかと言うと
「表出ようかソフィ」
ビュンッ
先手必勝と言わんばかりにジュールにいさんがどこから出したのか模擬用の片手剣を投げてくる、勿論刃先はこっちに向いている訳で。私は、咄嗟に横に避けるがその先にはシャルロッテがいて、避ける気の無いシャルロッテにクッソと悪態をつきながらもジュール兄さんに背を向けシャルロッテをかばう形になりながらもぎりぎりの所で剣の柄を掴む。
これは、ジュール兄さんにおける手合わせ承諾の合図だ。そうなるようにジュール兄さんは仕向けてくるのだし、シャルロッテもそれをわかっていて避けずに飄々としているのだから腹がたつ。
剣の柄を掴んだそのままの勢いで後ろに振り切る、するとジュール兄さんの剣に当たる。
武器渡しがてら二連続攻撃の相手が武器を持ってない時のジュール兄さんの一連の流れだ。
「シャルっ!毎度、毎度少しは避けてよっ!」
「焦るとシャルって呼んでくれるのがつい嬉しくて。それに兄様の剣を避けられるのなんてアーサーかソフィくらいよ?」
「ルアーノ兄さんみたいにシールド貼るとかあるでしょ!」
「おしゃべりなんて余裕だね?ソフィ」
「ぎゃああああ。糸目が開いたっ。」
って、なんで窓開けてるの!
ジュール兄さんの追撃に押されるようにして窓枠に乗りジュール兄さんの剣を拮抗させながらもシャルロッテに文句を言っているとジュール兄さんが窓を開き剣を一度ぐっと押す
少なからずも私を支えてくれていた窓がなくなり後押しされるように剣を押され体が後ろへと落ちる。
兄とシャルロッテの少し驚いた顔を見送りながらも重力系統の風魔法と重力魔力を発動させ体の落下速度を落とす。
「バードッ」
「へえ、同時発動なんてすごいなあ。バードって何?」
「壁つたってくるジュール兄さんに言われたくないっ。イメージだよっ鳥!」
動いているときの同時発動は同系統でも難しくその時々で適当にイメージする言葉を媒介とする。もっとも兄たちはそんな事しなくてもできるようだが、いかんせん不器用な私には出来なかった。
重力に伴って落ちたジュール兄さんは私より早く地面についておりのんびり構えているので私はそのまま逃げようかと落下方向をずらすが直ぐに土魔法で足場を伸ばしたジュール兄さんが追って来て剣を振りかざす、反射的に剣を構えるが押し負け地面に着く前に吹っ飛ばされ予定より早く地面へと転がる。
「容赦ないしっ。なんで落ちた所が狙ったように演習場なのっ!?」
「たまたまだよっ」
体勢を持ち直しジュール兄さんと今度は足を使って少し距離を作りお返しにと同じ方法で足場を伸ばし今度はこっちから仕掛ける。
さっきとは違い上に上がるためではなく横に勢いを付けるためだが、半ば突くような形の剣を振る、ジュール兄さんはスッテプを踏むようにして軽々とよけ私が体勢を治す暇なく横っ腹に回し蹴りを放つ、咄嗟に自身の周りにドーム状のシールドを張り体勢を直し一歩下がるがそのシールドをジュール兄さんが剣で叩き割る。
「あっ、割っちゃった。ごめんね?ソフィ」
「欠片もそんなこと思って無いよね!?」
その証拠に割った勢いそのままに切りかかってくるジュール兄さんに防戦一方だ。
完全にモードが剣に移ったので双方が魔力を筋力強化に移行し戦いの勢いと重みがます。
とは、いってもやりすぎると体に負担が大きいのでやはり地の筋力や体力で差が出てくるため魔力に余裕のある私は水や炎や雷、土の塊を投げて手数の多さで勝負する。
筋力強化はいわば、ただ魔力を込めて動きすべてに力こぶを作っている状態なので環境云々は無いが、他の魔法は魔力ある限り魔法は出せるとはいえまわりの環境によって威力が大きく左右される。いま、有効なのは植物系統の土魔法と、環境に影響されにくい重力系統だ。
もっとも、塊投げるぐらいならば魔力が少ない訳でもなければあまり関係は無いが。
塊をなげ、薙ぎ払われ、切り込み、いなされ剣を押さえられる。
「ソフィは力技で解決しようとするよね、アーサーの方がまだ戦い繊細だよ?」
「うっ、そっちの方が楽だしかっこいいだもん。」
「まあね。でも、それで勝つには少し剣の方が幼いかな。」
「んーじゃあ。これにしよう。スモーク…イン」
「イン?」
VAREトリックの要領でジュール兄さんの体に雲を纏わせる。
動けなくなる訳じゃないのでジュール兄さんは剣を振りきりながら言葉の節に疑問を浮かべる。そんなジュール兄さんの剣を受け止めにこーっと満面の笑みを浮かべて見たりする。
そして、
「かみなり」
雷撃を流す、雷を増力させる水魔法に纏われているジュール兄さんは目を見開き瞬時に下がろうとするがもう遅い。威力を増した雷魔法がジュール兄さんを襲い倒れ…ないの?
「えっ、嘘でしょ!?」
「ったく、詰めが甘いなあっ‼」
「っひぃ」
魔法は今も纏っているのに一瞬ぐらついただけで足を一歩後ろにへ…瞳孔開くジュール兄さんの化け物じみた顔はその足に力を籠め瞬発的に迫って来た。
怯え雷を強めるが止まらないジュール兄さんに剣も投げ捨てて逃げようと後ずさるがそれこそもう遅い。雷を纏ったままのジュール兄さんに押し倒されのど元に剣を当てられる。
ザシュッ
「っひぇ」
「はあ。俺の勝ち。」
それは、もう嬉しそうに剣をのど元から顔の横に刺し勝利宣言をしたジュール兄さんは「成長した…ねぇ…」と息絶え絶えに言うといつもの糸目で優しく笑い落ちて来た。
まあ、落ちる先には当然負けた私が居る訳で強めた雷はそう瞬時に解けるもんでも無くて…
私は自分が放った雷で気絶した。
異世界(恋愛)とは...