兎がもちをつくのもきっと三回が限界。
ちょっとね。兎さんぱっくりのグロシーンがありますので自己防衛お願いいたします。
「いた!兄さん!ルアーノ兄さん速く!奥に逃げちゃう!」
「今行く!アーサー、僕は左から回るっ」
「じゃあ、俺はそっちに追い込むよ!」
餌をポイントにばら撒きながら歩くこと三十分後初めにばらまいたポイントに戻ると優雅に餌を貪るナーデ兎。見た目は可愛らしい普通の兎だが中々に賢くそして臆病な生き物だけに逃げ回る可愛い兎を追いかけまわし殺すのに抵抗を持つものも少なくないらしいがこれは試験であり何より美味しいのだ。
まあ、これらの情報はルアーノ兄さんの言葉まるパクリなのだがおいしいのは先日栄養を付けろと夕食に出て来たので知っていた。食べた後に兎の肉だと知った時は驚いたが前世でも兎の肉を食べる習慣は一般的ではないだけで無い訳ではないのですぐに受け入れられたが…というが只、美味しさにあらがえなかっただけである。
私は見つけても手を出せないので兄たちが兎を狩るのを見まもるばかりだ。
兄が追い込んでルアーノ兄さんが捕まえる予定だと思っていたがそれを許すほどおいしい兎は甘くはなくルアーノ兄さんを感知したとたん兄の方に逆戻りする。
まさか、追っていた獲物が自分に向かってくるとは思わなかった兄が一瞬うろたえた隙に二人の中間距離からあさっての方向へと向かって逃げていく。ナーデ兎を臆病な生き物だといったのは誰だ、バリバリたくましく生きているではないか。
と、まあ兄さんとルアーノ兄さんで埋められない合い間があるのは分かっていたのでそこに落とし穴を作っておいた所に見事にはまってくれた。前回もこの方法でルアーノ兄さんが行った時はあからさまな穴を作って居たら兎に避けられたと呟いたのをきっかけに兄がじゃあ、泥でも入れとけばと何も考えずに作った泥の落とし穴だったが役に立ったようだった。因みに泥は兄が魔法で生成した水をそこら辺の土とわちゃわちゃと混ぜて作った者だ、前世での無駄にかっこいい戦闘で使うような魔法のイメージがあっただけに泥を作る為に魔法を使った兄になんて事をしてるんだと唖然としたがこの世界ではこういった小規模で簡易な魔法は日常的に使われているのだから慣れなければならない。
そんな事を考えている内に落とし穴に先についた兄が泥にはまった兎の首根っこを掴み引っ張り出す。
「うわあ。泥だらけだな」
「そりゃそうでしょ。早く仕留めておきなよ、また逃げられるぞ。」
「ん、そうだな」
追い付いたルアーノ兄さんの進言に兄が頷き私の着用している伝統服の男性用バージョンの腰から短剣を取り出しの兎のハラワタを縦一文に切り裂き血抜きをまで行う。兎はピクリとも動かなくなり真っ赤な血だけがどくどくと流れ出ている。
兄はそれを泥を作った時同様に水魔法でわちゃわちゃと洗い流している。
落とし穴が居た場所の近くにあったため兄と同時位に落とし穴についていた私はそれを間近で見る事になりえぐいな、とは思いつつもそれを自分は食べる事になるのだと思い直すと生き物に感謝だ。感謝。前世で中学生の時に流行ったグロ動画を見て置いてよかったあれを思えば食物連鎖における尊い命の尽きる瞬間はまだ見れるという物だし目をそらしてはいけないと思える瞬間であった。
「ソフィ、見ていても平気?」
「平気…ではないけど私もあと三年たったらやるんだから。大丈夫。」
まだ見れるとはいっても、無意識に顔を歪ませていたのかルアーノ兄さんがこっちを心配そうな顔で伺ってくる。
これをみた影響で前世でみたグロ動画が夢に出てこないかという方が私は心配である。
「ん。終わったぞ。どうする?これで一応試験は大丈夫だけどポイントは回っておくか?」
「そうだね。せっかくソフィが餌撒いてくれたんだし回るだけ回って見つけたら仕留めよう。ただ、試験ではないとはいえソフィは一応病み上がりみたいなもんだから狩りには参加したり走ったしちゃいけないよ。」
「ルアーノ兄さん流石に走るくらいは大丈夫だよ。」
「そうだぞ、ソフィがいくら微妙におつむが弱いとは言え走るぐらいはできるさ。」
兄さん?
遠まわしどころか完全に傷を付けに来ているでしょうこの人。
それは、アーサーもでしょと私の傷口に塩を塗り兄には新たな傷を作ったルアーノ兄さんはこの世界でルアーノ兄さんのデフォルトとなりつつある私達兄妹を残念な物を見る目で呆れたとばかりに傷口に塩をねじ込んでくる。
「それに、君たち雨の日も似たよう事言って出て行ったよね。それで事故った上に記憶までなくしたのは誰だっけ?」
「「うっ…」」
一つ言いたいのはそれは確かに私なのだがソフィかもしれないからっと傍から聞けばソフィだけどソフィかもしれないからと言ってるのと同じにしか聞こえないが私にしか通じない言い訳を私は自身の心で思う。
私同様ルアーノ兄さんに精神的に攻撃を受けた兄は胸を抱えまるで重傷を負ったかのように膝をつきルアーノ兄さんに「心に深い傷を負った。ナーデ兎を狩るのもいいが、ソフィを愛でないとこの傷は埋まらないっ!」と馬鹿なことを言い叩かれていた。
私は私で兄とは形式状呼んではいるが忘れてはいけない私からすればクラスメイトの面影が見れば見るほど濃くなっていく只の異国の池照さんに変わりないのだ。そりゃ照れもするだろう。顔に熱が集まり真っ赤になってしまう。
「はあ、ソフィ。アーサーのこれは治らないんだから君が慣れなきゃ。僕たちしか居ないからいいけど他の人の前ではあんまりそういう顔をしちゃ駄目だ。分かったね?」
分かっている。十歳に諭される私も私だが。前世からカウントすると精神年齢は18近くという事になるのだ。ただ、どうしても周りの自分に対する接し方や自分の容姿に引っ張られてどうにも精神年齢も低下している気がするのだ。それに、私は恋だの愛だのに関しては前世を含めてもまだバブーの領域だ。よちよち歩きすらできていない。首すら座っては居ないのだろうか。
アーサー…兄が家族愛での感情で言っているのはわかってはいるのだが私はそういった言葉にめっぽう弱い。兄や従兄であるルアーノ兄さんに対してそうなのだから、他の人に言われたら私はコロッと恋に落ちて今うのでは無いかと自分の事ながら心配になる。
「うっ。分かってるよルアーノ兄さん気を付ける。」
「なら、いいんだよソフィ。さあ、せっかく朝早くから来ているんだ日が落ちない内にポイントを回って帰ろう。」
「うん!私が撒いたんだものきっと次もナーデ兎が呑気に餌を食べいてるよね!早く行こう!」
「ほんとに居そうだから怖いなあ。」
そうでしょう、そうでしょうと満足げに笑う私をみてか兄も復活し三人そろって次のポイントへ向かう。
一度狩ったことで何か掴んだのかその後兄とルアーノ兄さんは一人でも難なく狩れるようになっていた。
「兄さーん。こっちにもいたよー。」
「いまルアーノも俺も手が空いていないから見張っていてくれ!見逃してもいいからおいかけるなよー。」
「おっけー」
私の餌撒く技術凄くないかと自分に感心しながらも兎に気付かれない距離を保ちながら慎重に見張る。
かわいいなあ。でも、どうしようだんだん美味しそうに見えてきちゃったよ。
あんまりにも狙った目で見ていたのが悪かったのか兎が何かを察知したようにして逃げてしまう。
「あっ。逃げちゃう。」
兄とルアーノ兄さんを見やるが別の兎を丁度狩る詰めと言ったところで邪魔はしない方がいいように見えた。
もう、結構狩っているけど伯父さんもナーデ兎を多く狩った奴は同じ世代の中でも憧れの的だったなあとしみじみと語っていたし私も後三年もすれば試験として狩るのだ今は狩りはせずとも追いつけるくらいはなっといた方がいいのかな。
…よし、追いかけよう。私も立派な精神年齢18歳近くなのだあんなもふもふした奴にまけてたまるか。なに、追いかけるぐらいなら兄たちもそこまで怒らないだろう。
…と、そんな浅はかな前世のゆとり思考と言われても仕方がないような考えを持った自分を恨みたい。
魔獣は森の奥深くにしか出ないが極まれに危険区域と浅瀬の境目付近をうろついているから一人にはなるなと教えてくれたのは誰だったか。
ただ、今度から人のいう事はしっかり頭に入れようと誓う。ただ、今はその今度も無事に迎えられるか分かったものでは無い。
なぜなら…
「こ、これはちょっとまずいのかもしれない…」
私がそう呟くも周囲からの返答は無い。あるのは真っ黒な体で牙をむき出しに呻る声だけなのだから。
いや、中学のグロ動画実話でしてあれ調べろと言ってきた友人は覚えてないですが今でも恨んでますね。
ところで一ページの文字数少なくないですかね?どうでしょう。