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R15.  作者: 頭巾の子
2/9

朝のアラームは二度目が最終通達。

実は半年前位に書き出したものなのです。

更新です。


「…ー…ソフィー!」


っん、ソフィ?

ソフィ、ソフィ、ソフィ......あ、それ、私だ。



「起きような!今日はルアーノとフェルナーデの森にリベンジだ!」


 ...その森で記憶をなくした妹を目にしてこの世の終わりの様な目していたくせに、案外切り替えの早いタイプのようだ。

現世での私の兄であるアーサーは、私を覆っていた毛布を無慈悲にもベリッとはがしながら窓の外の森に指を指す。


 私がフェルナーデの森の事故から目を覚まして五日後、私は現世の名であるソフィというその名にいまだ馴染めずにいた。

 ルアーノ、従兄でありアーサーと同じ齢10歳という幼い年齢にも関わらずあの場で唯一、と言っても子供三人の中での話だか、冷静に対応し大人たちを呼びに行ってくれた彼のお陰で私は今の自分の状況をしっかりと把握することができた。


 まず、私はソフィという名でアーサーの1つ下の妹であると言うこと。


ベットに寝ているときは分からなかったがベットから降りたって見ても確かに視線が低く窓の外を覗くにも背伸びをしてぎりぎりという一応前世会わせると20過ぎの私からしてみれば何とも残念な状況に陥っていた。


 そして、両親は私が4歳になった頃つまりは5年前に隣国であるウィークレイ帝国からの帰りの馬車で土砂崩れに巻き込まれなくなっていた。

 私たち兄妹を守るようにして亡くなったらしい両親に救われた私たちの身を引き取ってくれたのは亡くなった父の兄の一家である、ウェンズリー家。因みにウェンズリー家はウィークレイ帝国と今、私たちが住んでいるアルミリオン王国の国境付近の田舎の領主の家系である。

 

 あと、この世界では一般的に魔法が発展しており前世での科学的な技術の大まかな現象を魔法で補っている事。つい、5年前まで起こっていたウィーククレイ帝国との戦争の名残りからか剣術、魔術などが身を守る術として6歳になってからの各家庭間ではあるが学ぶことがあたりまえとなっていた。

 いわゆるこの世界は剣と魔法の世界なのだ。当然のように魔物は存在するらしいが森の奥深くやあらゆる所に点々と広がるダンジョンの中にしかおらず人間への被害はそう多くないそうだ。


 追伸としては、私が森で頭を打つ前はソフィという人物、言うなれば私なのだが。ソフィはこの世界特融の言語や読み書き、歴史に関しては覚えが悪いながらも数学などの前世にもつ通ずるものがある教科に関しては教わらずとも出来たりやけに魔法に興味をもったりと少し変わった所のある少女だったらしい。

 遠まわしにだがルアーノやその父でありウェンズリー家当主であり私たちに伯父にあたるその人からもお前は変わっていたよと言われた。

 

 私からすればそれはきっとこの世界の記憶を失う前も前世の記憶があった。つまりは森で頭を打って前世を思い出した等ではなく、死んで転生後。頭を打って前世の記憶だけを残して打つ前の記憶をすっぽりなくしてしまったという事になる。

 まあ、頭を打つ前は私とソフィがいて打ってソフィが抜けてしまったという可能性の無きにしも非ずだが人の人生を乗っ取ってしまったという考えにはなりたくないし、死人に口なしではないが、その真実だけは周りの反応からしてもきっと記憶のなくなる前の私とソフィにしかわからないのだから心にしまっておこうと思う。


 因みに、一番に身近にいたであろう兄からの記憶喪失前の評価は「いつも、変わらず俺の妹であったよ?」との評価であった。

 いや、そうなんだけど。聞きたかったのはそれではないだろうという何とも的を得ない言葉に私は苦笑いであったしルアーノや伯父さんは呆れた顔でため息をついていた。


 そして、そんな兄に今度は私も苦笑いを通り越して呆れ顔せざるを得ない。





「そう、そうだね。私はソフィだし今日は森に行く日だけれども…


 ちょっと朝が早くなくて?兄さん。」



そう、兄がリベンジを果たしに行こうと行動したのは使用人も起きる前。朝日昇る前の事である。

朝チュンどころではない。あと、三時間たってようやっと朝チュンの早朝バージョンができる具合だ。



やっぱり?と少し困ったように笑いながらも布団を返さない兄から布団を奪い取り黙って元の体制に戻り眠りについた私は悪く無い。





きっちり三時間後再び起こしにきた兄に急かされ森に行く準備をさせられる。

とはいえ、ここの領地に伝わる伝統服のワンピース型の服に着替えるだけなので数分で準備を終えた。

記憶がないと何かと不自由だろうということで慣れるまでの間だが身の回りの事をお世話してもらっているウェンズリー家の侍女に今回は着させて貰ったが、森に入るのにこんな格好で大丈夫なのかと不安に思ったが動き回ってみたら意外と機動性が良く、腰回りはコルセットのようなもので絞められていて後ろのホルダーには短剣が差し込めるようになっており、瞳の色と同じ銀朱色のワンピースの首元やスカートの裾に白い刺繍と首の中心に一か所と腰のコルセットの中心に二か所この領地の紋章であるらしい兎が彫り込まれた金色のボタンがついていた。


記憶がなくなる前までは私も扱えていたらしい剣術は、体が覚えているとはいえ頭の認識が追い付かなく、教えられるがままに振り回してみたが一度手からすっぽ抜け天井に刺さって以来鍛錬して上手く扱えるようになるまでは私用での持ち出しは禁止となっていた。


「ソフィ準備できた?」


着替えのため侍女に部屋を追い出されていた兄が後ろにまだ眠たそうにしたルアーノ兄さんを連れ部屋に入ってくる。入って来たということは準備を終えた事を侍女に聞いてきたからなのだろうがそれでも、そう聞いてくれる兄にその言葉には心の準備も含まれているのだろうかと思い、私もその意味も含めて返事をする。


「うん。もう大丈夫だよ。」


「やっぱり、ソフィはその服が良く似あうなぁ。」


部屋に入ってきて一番にそんな感想を述べる兄に私が着る服のテイストが似たり寄ったりなのは兄のせいではないのかと疑いたくなる。

領地の人間はこの伝統服を着ている者が多いので一概にそうとも言えないが医者に外出許可をもらった次の日に街に出てみたがどの世界にも流行りはあるという物で若い子たちは色合いといいコルセットや首元など絞まっている伝統服とは違い王都で流行っているもっとゆったりとした淡い色合いのものを着用している人が多かった。そうはいいってもこの世界の女の人は総じてワンピースの型を着る物が多くたいした違いではないのだが。

ただ、剣や武に秀でた女性も少なからずおりそういった職業の人たちは好んでタイトなパンツを着用していた。


さて、話は戻るが今日は記憶をなくしたフェルナーデという森に行く。奥深くには魔物もいるのですぐに戻れる範囲での行動とはなるが森は森だ。それなりに足場は悪く先日のように雨の日に入った時には危険も潜んでいる。

何故、そんな森に子供三人で臨むのかと言うと…



「今日は見つかるといいなナーデ兎。」


これである。


 アルミリオン王国では所謂小学校のような教育機関は無く12歳までは各家庭での自主学習となり、私と兄、ルアーノ兄さんはその期間に属しウェンズリー家で基礎学的な読み書きや算数の範囲内の計算、簡単な地図や歴史を大まかにだが週五日、3時間ほど学び他の時間は剣技や魔術を磨く。

 その中間試験のようなものの中にフェルナーデの森でナーデ兎を捕まえてくるという物がある。記憶なくす一週間ほど前には十歳という規定の年齢に達していた兄とアーサーはそれを行ってもいいという許可を得ており私は十歳になった時のための予習として狩りに手出しはしないという条件で付いて行かせてもらっている状況だ。

 


 「ルアーノは前に一度見つけているだろ。」

 「狩り損ねているけどね。」


 そう、私たち兄妹が雨の日に無理して森に入ったのもルアーノ兄さんに負けていられないという思いが先走っていたからである。その日に森に入ろうと言ったのは何を血迷ったのか記憶をなくす前の私、ソフィであり事故にあったのは自業自得としか言えないなんとも残念な兄妹であった。

 

 「今度は、大丈夫よ!雨も降っていないしナーデ兎をおびき寄せるための餌をばらまくのは私に任せて!」


 前世でこういった体験をしてこなかった私は妙にテンションが上がっており医者に許可をらった三日目から二日間いろんな事をしてみたが物を投げる事に関して、私は抜群のコントロールと力強さを放っていた。そこで森に入っても狩りは参加できずとも餌を投げるという参加しているのかどうなのかというグレーゾーンではあるが役に立つ事を見つけた私は眠気も醒めたいまドーパミンが出まくっていた。


 ルアーノ兄さんに呆れた顔でどこから来るんだその自信はをため息をつかれたがそんな事は気にしない。

 たった五日間での認識ではあるが基本的にルアーノ兄さんは私たち兄妹には物凄く残念な物を見る目で見てくる。記憶なくした直後優しく心配してくれた王子のようなルアーノ兄さんはもういないのだ。



 「それじゃあ、行きましょう!」


 ナーデ兎を狩りに!


 


それだけ。

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