聖夜の奇跡
皆さん、メリークリスマス! 今回はクリスマスを記念して、短編小説を書きました。
今回は別にハーレム物でもありませんし、主人公がチートという訳でもありません。
当然、舞台は異世界ではありません、何でも無い主人公が偶然にサンタさんになるお話しです。
ぜひ、ご覧下さいね
クリスマスの聖なる夜、俺はこんな日でも結局ぼっちだった。
折角雪が降っていても、俺には彼女も居ないし友達も居ない。
必死に仕事をして、いつも通りに家に帰っている。
全くさ、無駄に騒ぎまくりやがって・・・俺みたいな彼女も居ない。
そんな奴からしてみれば、こんな日は、ない方が良い・・・
畜生が、なんで顔も見たこともない、あまり何をやったかも分からない奴の誕生日でこんなに騒ぐんだよ。
俺にはその気持ちが理解できないね・・・どうせ、何かと理由付けて騒ぎたいだけだろうが。
俺がそんな事を思いながら家に帰ると、そこにはサンタクロースの様な服を着た女の子が居た。
髪の毛は白く、目の色も青く見える・・・この子・・・外国人か?
「あ・・・」
「あ?」
その女の子は俺の顔を見るなり、顔を真っ赤にしていった・・・。
いやいや、それは良い・・・え? あれ? ここ、俺の部屋だよな? 何あの女の子、え?
「し、しまったです! 見つかってしまったです!」
そう言うと、女の子は背中にしょっていた大きな袋を抱えて、急いで立ち上がろうとした。
「あう!」
素早く立ち上がろうとしたせいなのか、女の子は少し立ち上がると同時にビクッと反応し
ヘナヘナと地面に寝転んだ・・・あれ? 何だ、何があった!?
「あ・・・うぅ・・・こ、腰がぁ・・・この袋、重すぎですぅ・・・」
その女の子は床にへたれ込み、少しだけ小刻みに震えていた。
あれだな、ぎっくり腰だな、急いであんな重たそうな物を持ち上げようとするから・・・
「おい、大丈夫かよ」
俺は女の子に近寄り、背中を軽くさすってみた。
「ひゃう! 止めてくださいです! 今凄くいたいんですよ!」
「まぁ、それはお前のその苦悶そうな表情をみれば分かるがな」
その女の子は顔を真っ赤にして、もの凄く痛そうに背中をさすっている。
絶対に相当居たいだろうな、あれは。
それにしても、この袋、どんだけ重いんだろうか。
俺はその事を疑問に思い、その箱を持ってみることにした。
「あぁ! そ、その袋わぁ!」
「ん?」
女の子が俺を制止するのは1歩遅く、俺はその袋に手を触れた。
すると、触れた場所から、まるで何かが流れ込んでくるような感覚を覚えた。
「うわ! な、何だ!」
「あぁ、遅かったです!」
そして、その手元に何かが流れ込んでくるような感覚が止まり、俺はその袋から手を離した。
はぁ、あの流れ込んできている間、手は離せれ無かったのに・・・な、何がどうなってんだよ・・・
「おい、お前、この袋は何だ!?」
「この袋は、夢が詰まった袋です・・・私達サンタクロースの大切な道具なんですよ」
「た、大切な道具?」
「はい、その家の人が1番欲しいものを勝手に認識して、それを出してくれるって言う優れものです」
何だか、便利な道具だな・・・それにしてもだ、あの時のまるで何かが流れ込んでくるような感覚は何だ?
今は何も感じなかったが、あの一瞬、俺は確かにそんな不思議な感覚を覚えた。
「その袋が便利道具なのは分かった・・・だが、俺が触ったとき、なんかが流れ込んでくるような
そんな感覚を覚えたんだけど・・・あれは何だ?」
「その袋は・・・触った人にサンタクロースの力を授ける効果もありまして・・・
だから、その、あの袋に触れちゃった地点で・・・もう、あなたもサンタクロースになったんですよ」
「は、はぁ!? 何それどういうことだよ!? 俺がサンタだと!?」
「はい、聖なる夜の間だけ、あなたはサンタクロースの力を使えるんですよ」
せ、聖なる夜の間だけ? つまり、クリスマスの夜の間だけ俺はサンタの力を扱えるのか?
いやいや、そんな馬鹿な、あり得ないって、あり得ない、きっと、あの袋に電流を流す道具があるんだ。
「あ、あはは、冗談キツいぜ、あれだろ? これはドッキリだろ? 何処かにカメラがあるんだろ?」
「いやいや、そんなわけ無いじゃないですか・・・それにしても、袋に触れちゃったら
サンタクロースをしないと駄目なんですよ? 本来はあなたはサンタクロースではありませんが
ですけど、触れてしまったので、仕方ありません、それに、私は腰が痛いですし・・・」
「お、おいおい、どうするってんだよ・・・」
「あなた! 私の代わりにサンタクロースをやってください!」
急な意味の分からない申し出・・・サンタクロースをやってくれと言っても
俺はこんな話を信じては居ない。
「いやいや、あり得ないって、サンタの能力なんて無いって」
「ありますよ! えっとですね、サンタクロースはテレポートみたいな魔法が使えるんですよ!」
「て、テレポート? 無い無い、そんな漫画やアニメの世界じゃ無いんだからさ」
「あるんですよ! そうですね、あなた、そこの時計に触ってください」
「え? こ、こうか?」
俺はサンタコスプレの女の子に言われたとおり、近くにあった時計に触れた。
「はい、そして、この場所に移動しろーって思ってください」
「あぁ? わ、分かった」
俺は言われたとおり、この場所に移動しろと心の中で思ってみた。
すると、その時計は一瞬で姿を消し、俺が移動しろと思った場所に現われた。
それも、一切の物音も立てずに、最も安定する立ち方だ。
「な、なんじゃぁ!?」
「どうですか!? 信じてくれました?」
「いや、え? は? 何これ、はぁ!?」
俺の頭は今目の前で起こったことに対しての理解が追いつかなかった。
何だあれ、え? 馬鹿なそんな馬鹿な・・・あり得ないって!
「そして、サンタクロースには自分たちにしか見えない相棒のトナカイとソリもあります!」
「は? そんなのあるわけ無いじゃないか・・・」
「ほら、カーテンを開けてみてくださいよ」
俺は彼女の指示通りに部屋のカーテンを開けてみた、そこにはトナカイが2匹と大きなソリがあった!
「なんじゃぁ!?」
「トナカイちゃんとトナカイ君です、可愛いでしょ?」
「え? トナカイ? え? ここ、5階なんだけど!?」
「トナカイ君とトナカイちゃんは空を飛べます! どうですか!? これがサンタさんですよ!」
彼女は地面に寝転んだ姿で、そう言っているが、その様ではあまり迫力は無い。
「いや、確かに凄いが、それを力説しているのがギックリ腰で倒れたサンタさんじゃな」
「酷いです!? で、でも、良いですよ! もうそれで! さぁ! 速くサンタさん衣装を着て下さい!」
「はぁ!? いや、俺はやるなんて一言も!」
「可愛い子供が私達を待っているんです! 急いで下さい! 夜が明けてしまいます!」
彼女は必死に俺を説得しようと頑張っているようだ・・・
し、しかしな・・・俺は今日は疲れたから寝ようと思ったんだけどな・・・
「俺、眠いんだけど?」
「小さな可愛い子供達が泣いちゃっても良いんですか!? 今のあなたはサンタさんですよ!
さぁ、眠るのなんて良いんです! なっちゃった以上はしっかりとやって下さい!」
彼女は一切退くような気配を見せない・・・このままだと、俺は眠ることが出来ないな・・・
うぅ・・・眠たいけど・・・仕方ない・・・いや待て、もしかしたら俺はもう寝てるのかもな。
その可能性はある、そうだ、これはきっと夢だ、きっと頬をつねれば目を覚ますさ。
俺はそんな事を思いながら、自分のほっぺを思いっきりつねった。
「痛・・・あ、あれ? 目が覚めないぞ?」
「当然ですよ! 夢じゃ無いんですから! さぁ! 一緒に行きましょう!」
ゆ、夢じゃ無い・・・だと・・・じゃあ、これは現実?
受け止めきれない・・・こんな事があるのかよ・・・
だぁもう! こうなりゃやけだ! もう、この波に乗るしか無い!
あぁ、もう良いよ! やってやるよ! 現実を忘れてやってやるよ!
「やりゃあ良いんだろ! やりゃあ!」
「おぉ! やっとやる気になりましたね! じゃあ、私をソリまで運んで下さい!」
「分かったって・・・」
俺はぎっくり腰で動けない彼女を抱き、ソリに乗せた。
そして、その後大きな袋を持って、ソリに乗っかってみた。
「じゃあ、トナカイちゃん! トナカイ君! 出発です!」
「了解だぜ、2人のサンタさんよぉ!」
「あまり乱暴に喋らないでよ」
・・・これまた、俺の理解を超越した事態が起こった・・・何でこのトナカイは当然の様に喋ってんだ?
いや、馬鹿な・・・トナカイが人間の言葉を話すなんて・・・あ、あり得ないだろうが!
「しゃぁ! 行くぜ!」
「おわぁ!」
そのトナカイが再び喋ると、今度はソリが宙に浮いた、もう、何か驚かなくなったな・・・
不思議なことが起こりすぎると、その不思議なことを受け入れてしまうんだな・・・人間ってスゲーや。
「あ、そうだ、あなたのお名前を聞いていませんでした、あなたのお名前を教えて下さい」
「俺は真北 清樹だ・・・お前は?」
「私は芦尾田 百音です」
日本人か見た目は外国人なのに、名前は日本だな。
それにしても、サンタクロースは日本人とかも居るんだな。
「自己紹介はすんだかい? ほら、目的地だぜ!」
「おぉ、やっぱり速いね」
「お任せって奴だぜ」
「じゃあ、清樹さん、袋からこの家の子が欲しいものを出してあげて下さい」
「あぁ、分かった」
俺はプレゼント用の袋に手を突っ込んで、その中から大きめのゲームの本体を出した。
あぁ、ここの子はゲームを欲しがっていたのか。
「取りだしたが、これからどうするんだ?」
「それを、テレポートで移動させて下さい」
「あぁ、分かった・・・」
と言っても、どこら辺にいるか分からないんだよな・・・
じゃあ、ここはこの家でこのプレゼントを欲しがっている子の枕元に移動しろと
そういう風に思ってみた、すると、手元にあったゲーム機が消えた。
「消えた・・・これで大丈夫なのか?」
「はい、大丈夫ですよ・・・さぁ、次です」
俺は再びソリに乗り込み、移動した、さて、今度は一体何処に行くんだ?
しかし、トナカイってのは随分と速いスピードで移動できるんだな、ほんまスゲーや。
そして、今度はかなり大きな超高層ビルの一室に移動した。
「随分と高いな・・・こりゃぁ、相当な金持ちが住んでいそうだな」
「そうですね、でも、なんでここに来たんでしょう? ここならプレゼントなんて願わないでしょうに」
「どういうことだ?」
「ほら、こんなに大きなビルの高い場所に住めるって事は、ご両親にお願いすれば良いでしょうに」
確かに、こんな高級ビルのかなり上の方に住むくらいだしな。
「それに、同じ部屋でお願い事を感じますしね」
「ん? まさかサンタってのは願い事の場所も分かるのか?」
「勿論です、そうじゃないと、こんな正確に移動できませんしね」
なるほどな、結構な能力だ、お願い事がある場所が分かって、その場所に素早く移動できるトナカイ。
そして、その願い事の物を取り出すことが出来る袋・・・凄いな、これがサンタって奴か。
「まぁ、その能力は良いですから、お願い事の物を出して下さい」
「あぁ、分かった」
俺はプレゼントが入っている袋の中に手を突っ込んだ。
そして、取りだした物は、子どもが2人、そして、両親が映っている写真だった。
「なんですか? 写真? 何でこんな変わった物が?」
俺はその写真を少し見た後に、その家の方をみてみた、そして、理解した。
あの家には両親が居ない、あんな高級なマンションに住んでいるのに両親が居ないわけはない。
と言う事はだ、この子達のお願い事は、両親と過したい・・・だろうな。
「なるほどな、そういうことか」
「分かったんですか?」
「あぁ、あの子達は両親と過したがってる・・・何とかする方法は無いのか?」
「・・・そうですね、難しいですけど、大丈夫です、出来ます!」
「出来るのか!?」
「はい、きっとあれですね、あの子達のご両親はお仕事で居ないんでしょうね」
こんな時間にいないとなると、まぁ、それしか考えられないだろうな。
「そうだろうが、どうする気だ?」
「簡単な事です、えっと、清樹さん、その写真が私によく見えるようにして下さい」
「あぁ、分かった」
俺は百音の言うとおりに、彼女がこの写真をしっかりと見える場所に制止させた。
すると、彼女は今までに無いくらい集中をして、少ししてふぅ、と一息吐いた。
「どうだったんだ?」
「はい、ちゃんとこれであの子達のご両親も戻ってくるでしょう」
「そうなのか?」
「はい、それじゃあ、次に行きましょう」
「あぁ、分かった」
そして、再びトナカイはもの凄い速度で移動を始めた。
今度の目的地はさっきとは正反対で、かなり貧乏そうな家だった。
屋根はボロボロ、窓ガラスもかなり割れている。
「次はここですね」
「ここの子は何を願っているんだろうな」
「それは、そのプレゼントの袋で見てくださいよ」
俺は百音に言われたとおりに、再びプレゼント袋の中に手を入れてみた。
そして、今度出てきたのは、かなり分厚い本だった。
えっと、漫画本か、でも、この本は多分漫画で勉強できるって言うタイプの漫画だな。
しかし、かなり分厚いな・・・本当に漫画か?
「それじゃあ、それを移動させてください」
「分かってるよ」
俺は最初のゲーム機の時と同じ様に、この家でこの本を欲しがっている子の枕元にと思うと
その漫画本は消えた、やっぱり、凄いな、すぐに消えるなんてな。
「よし、これで完了だな」
「はい、じゃあ、次ですね」
それから俺達は色んな場所を行ったり来たりと結構な大忙しだった。
それにしても、漫画本や歴史書、大きなフライパンとかさ
最近の子どもは結構変わった物が多いんだな。
「結構変わった物を欲しがるんだな、最近の子は」
「はい、でも、何だか今年は今まで以上に両親と過したいって願う子が多いですね」
「最近は共働きの家が多いからな、そうなるんだろう」
「なるほど、でも、私達が頑張ったから、きっとそんな子達も幸せなクリスマスを過ごせたはずですよね」
「あぁ、そうだな」
俺はそんな事を思いながら、プレゼントを配って回った。
このプレゼントを受け取った子が、どんな反応をするか、それが分からないのは少し寂しいな。
でも、きっと喜んでくれる、そう信じてプレゼントを配った。
それにしても・・・サンタクロースってのは、意外と楽しいかも知れないな。
「あぁ、そろそろ夜が明けますね」
「あぁ、そうだな・・・全員に配れたか?」
「そうですね・・・・・・はい、配れています!」
「そうか、そいつは良かった」
「それじゃあ、清樹さんの家に戻りましょう」
「了解だぜ!」
百音そう言うと、トナカイ2頭はもの凄い速度で俺の家まで移動した。
これで、聖なる夜の、サンタさん体験は終わりか・・・何かさみしさを感じるな。
「さて・・・これでお別れか」
「そうですね、寂しくなります」
「あぁ、そうだな」
「では、最後に良い物を見せてあげますよ」
そう言うと、百音はプレゼントの袋から大きなテレビを出した。
「何だ? このテレビは」
「まぁ、見ていてください」
百音はそう言うと、テレビの電源を着けた、そして、そこに映ったのは
プレゼントをみて、大喜びしている子ども達の姿だった。
{ゲーム! よっしゃぁ!}
最初にプレゼントを届けた少年はそのゲーム機をみて、最高の笑顔で大暴れをしている。
喜んでくれているのは嬉しいが、壊さないか少し心配だな。
{ただいま、遅くなって悪かったね}
{お父さん!? お母さん!? 遅くなるんじゃ無いの!?}
{いやね、何だか早く帰りたくなっちゃってね}
{あぁ、不思議なもんだ、おぉ、そうだ、ケーキを買ってきたぞ、一緒に食べよう}
{うん・・・うん!}
そして、両親と一緒に過したいと願っていた兄妹は無事に両親が帰ってきて
もの凄く幸せそうな表情で、一緒にケーキを食べている・・・本当に、よかったな。
{これ、僕が欲しかった本・・・凄い! 色んな事が書いてる!}
{どうしたの?}
{お母さん! この本みて!}
{まぁ! 凄く大きいわね! どうしたの!?}
{サンタさんからのプレゼントだよ! これで頑張って勉強するよ!}
{そう、でも、その本、漫画の本でしょ? それでお勉強なんて出来るの?}
{大丈夫だよ! 漫画の本でも、しっかりと読んだらちゃんとお勉強できるって!}
{ふふ、そうね}
あの少年は勉強がしたいが為に、あの本を願ったのか・・・
まぁ、漫画本の方が続くからな、あの中で興味を引く物があれば良いな。
その他にも色んな子ども達がプレゼントを受け取って、嬉しそうにしている。
「どうでした?」
「あぁ、最高だよ・・・頑張った甲斐があった」
「どうでしょ?」
「所で、なんでお前は俺の部屋にいたんだ?」
「え? い、一体どういう意味でしょう・・・」
「俺は大人だし、サンタに願い事何てしていない、仮に無意識に願っていたとしても
サンタはテレポートに似た能力でプレゼントを届けられる、なのに、お前が俺の部屋にいた理由は何だ」
その言葉を聞き、百音は少し動揺を見せた。
「・・・そうですね・・・あなたはクリスマスなんて無くなっちゃえって思ってましたよね?」
「あぁ、そうだ、今までずっとそうだった」
「だけど、その反面、このクリスマスを楽しみたいって、そも思っていました」
「あまり自覚は無いが・・・多分、そうなんだろう」
「だから、私はあなたに最高のクリスマスを楽しんで貰うためにやって来たサンタさん
でも、あなたもサンタさんになっちゃったのは予想外でしたけどね」
そう言うと、百音はかなり盛大に笑った。
そして、その後少しだけ顔を背けた。
「そう・・・あなたのお陰で・・・私は少し嫌になっていたサンタさんを頑張ろうって、思えました」
「どういうことだ?」
「私は、サンタさんの中で、1番駄目な子なんですよ、子どもの本当の心も分からなくって
能力だけは少し優れていたんですけど、誰かの心を真剣に考えたことは無かった
だから、落ちこぼれで、サンタさんなんて止めたいな、何て思っていたりしたんです
でも、あなたのお陰で、今年のクリスマスは楽しかった・・・だから、あなたは私のサンタクロースです」
百音はそう言うと、再び最高の微笑みを俺にプレゼントしてくれた。
「それでは・・・奇跡の夜は終わりです・・・」
百音は最後にそう言い残すと、朝日の中に消えていった。
これが・・・最後か・・・嫌々だったけど、サンタってのも楽しかったな。
聖なる夜の奇跡・・・意外と、良い物かも知れない。
それから、再び1年が経過した、今年は去年よりも雪が強いな。
去年だったな、あの日から俺の人生は激変した、自分の事よりも人の事を思う、そういう風に生きていく
そんな手段が、心の中で確立した、だから、今では友人は多い。
しかし、クリスマスの夜に、俺はパーティーには参加しない事にした。
この日には・・・あのドジな奇跡の使者がやってくる、そんな気がして・・・
「きゃぁ!」
「おっと、大丈夫か?」
「はい・・・すみません」
俺にぶつかってきた少女が、ゆっくりと顔をあげた、その子は少しだけ青い瞳で髪の毛は白い
そして、いつぞやのドジな奇跡の使者のような体型をしている・・・
「あの、どうかしましたか?」
「あ、い、いや、知り合いに似ている様に見えてな」
「そうなんですか・・・奇遇ですね、私もあなたみたいな方を何処かでみましたよ・・・」
「「も、もしかして・・・」」
「百音?」「清樹さん?」
「「なんで名前を!」」
そして、少しの間の沈黙・・・俺は彼女の顔から視線を背けることは出来なかった。
それは彼女も同じ様で、ジッと俺の顔を見ている・・・
そして、同時に笑い始めた・・・そして、俺達は同時に同じ言葉を喋った。
これが、聖夜の奇跡なんだ。
その後、俺は彼女と付き合うことになった、聖夜の奇跡が、まさか2年連続とはな。
そして、来年のクリスマスに、結婚することになった、ここまで縁があるんだからな。
どうせなら、クリスマスに結婚したいしな。
これにて、彼のお話は終わります、聖なる夜に起きた奇跡。
彼と彼女はきっと幸せになるでしょう。
地味に小ネタですが、あの2人の名前は何かのアナグラムになっています。
かなり強引なので、気が付くかどうかは分かりませんけどね。
それでは、皆さんに聖夜の奇跡が起こりますように!




