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間違った事は言っていない

「とっととぶっ壊してやるわ!!」

  


 ハンマーを構えたまま、サラはノーマルゴーレムへと突っ込む。

 おいおい、そんな勝手に......。

  


「あんまり一人で突っ走ると危ないぞ」

「死になさい!!」



 俺の忠告なんて聞こえてないようで、サラはハンマーを全力で振りかぶる。   

 それに対して、ノーマルゴーレムは拳で対抗し、拳とハンマーがぶつかり合う。

 ぶつかった瞬間、サラのハンマーからドォォォン!!と爆発が起き、ノーマルゴーレムの拳が吹き飛ぶ。



「ふん!大した事ないじゃない!!」



 ノーマルゴーレムの右手が吹き飛んだのを見て、サラは若干のどや顔を見せる。

 だが、その最中に既にもう片方の手で、ノーマルゴーレムはサラを殴りにきていた。

 


 迫り来るノーマルゴーレムの手にサラは気づいていない。

 やれやれ、言わんこっちゃない。

 俺はサラを助けようと、サラに迫る拳を手首から蹴る。



「よっ」



 手首から蹴られた左手は折れる様にして砕け、左手が地面に落ちる。

 まさか攻撃されてると思ってなかったのか、サラは落ちた左手を見て驚いていた。



「だから一人で突っ走るなって言ったろ」

 

 

 呆れながらも俺は注意する。 

 人の話はちゃんと聞いて欲しいもんだな。

 俺の注意が勘に触ったのか、サラは驚いた表情から一変、むっとした表情に変わった。



「別にいいでしょ!私は私のやりたいようにやる!」

「そんなんじゃ、さっきの二の舞になるだけだぞ。ここは協力をしてだなーーー」

「だったらあんたが私に合わせればいいじゃない!!」



 協力とはいったい何なんだろうか。

 無茶なサラの要求に俺は困り果てる。  

 こんなんじゃ、何時まで経ってもあれを倒せない。どうやってこいつを扱うか。

 俺はサラの扱い方を考えていると、メルが俺達の様子を見て不思議そうにしていた。



「仲間割れ、ですか?」

「仲間じゃない!」

「何処を見たらこれを仲間と思ったんだよ」



 メルの言葉にサラは怒りの声で即答する。

 さっきから言い合いしかしてないのに、これの何処が仲間なんだろうか。

 ずっと一人で居たメルには何が違うのかよく分かっていなかったが、これはこれでチャンスだと感じ、次なる行動に出た。



「仲間割れしている、今がチャンス、です」

「だから仲間じゃない!!」



 未だ分かっていないメルの言葉にサラは異議を申し立てるが、無意味だった。

 サラの言葉を無視し、メルはノーマルゴーレムの操作に集中する。

 


 ノーマルゴーレムは右手を振り上げ、殴る時と同じ体勢をとる。  

 またそれか。芸がないな。

 軽々と避けれるだろうパンチに俺は少しつまらなさそうな顔をするが、次のノーマルゴーレムの攻撃に目を開く。



「発射、です」



 振り上げた右手が一気に降り下ろされると、指先の石が同時に二つこちらに飛んできた。

  


「飛ぶのかよ!?」

 

    

 まさか飛ばせるとは思いもよらず、俺は驚きながらも飛んでくる石を紙一重で避ける。

 飛ばされた石は勢いよく飛び、地面にめり込む。器用な真似をするな。

 めり込む地面を見ながら俺は思う。

 


「まだまだいく、です」



 メルはノーマルゴーレムに指示を出し、連続で指先の石を投げつける。

 右、左、右、左、と交互に手を回転させノーマルゴーレムは石を飛ばす。 

 


「何よ、こんな石!!」



 正面から飛んでくる石にサラはハンマーを構え、砕く。

 砕かれた石は粉々になり、土煙と化してサラを包み込む。

 それは悪手だ。土煙で包まれたサラを見て俺はそう思った。

 


 土煙のせいで視界が見えなくなっている。

 これじゃあ次の攻撃に対応出来ない。

 俺の嫌な予感は案の定当たり、ノーマルゴーレムは指先がなくなると、なくなった手でサラを殴りにかかってきた。



 土煙のせいで前が見えていない。

 このままじゃ直撃する。

 これはやばいな。



「くそ!」



 俺は急いでサラの前に行き、サラを庇う様にして手を構え、ノーマルゴーレムの手が俺に直撃する。



「あ、あんた......」

「ぐっ...お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛.....」



 土煙が晴れ、庇う俺の姿にサラは目を見開かせる。

 体が重い。いったい何キロあるか分からない超重量の石が俺の体にのし掛かり、俺は呻き声にも似た気合いの声を出す。



 いけるとは思っていたんだが、これはきついな。砕くのとは違い、受け止めるのは全身の力を使う。

 骨がミシミシと音を建て、足が地面に埋まっていく。



「そのまま押し潰せ、です」



 メルの号令でノーマルゴーレムは更に力を加える。



「あ゛っ.....ごの゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛.....」



 力の強さに比例して俺の声の強さも増す。

 体がミシミシと悲鳴をあげている。

 このままじゃやばい。

 八方塞がりの中、俺はこの状況の打開策を考えていると、突如襲われていた重圧感が消えた。



「この!!」



 見ると、先程庇っていたサラが、俺が受け止めていた手を横からハンマーで破壊していた。

 破壊された手は手首から砕け、地面に落ちる。

 手を破壊した後、今度は目眩ましに地面にハンマーを叩きつけた。



「むん!!」



 地面にハンマーを叩きつけ爆発を起こし、土煙を上げ、メルとノーマルゴーレムを包み込む。

 のしかかっていた重圧感が消え、俺は少しよろけたが、サラが手を貸してくれた。



「こっちよ」



 サラに手を引かれ、俺はそれに素直に付いていく。ある程度ノーマルゴーレムから距離を置くと、サラはそこで立ち止まった。



「ここまで来ればいいわね」

「あぁ、お陰で助かった」



 俺はサラにお礼を言うと、サラは分からないとばかりに顔を歪める。 



「あんた、何で私を助けたの。さっきまであんなこと言ってたのに.....」



 少しは罪悪感を感じてるのか、サラは小声気味に言う。

 助けた理由なんて、お前がいなきゃあれを倒せないからに決まってるだろ。

 何を分かりきった事を言ってるんだこいつは。



「そんなの、お前が必要だからに決まってるだろ」



 何のためにお前に共闘を頼んだと思ってるんだ。当たり前の様に言う俺を見て、サラは「そう....」とだけ応えると、暫く目を瞑り考え込み、やがて何か決めたのか目を開いた。



「........みなさい」

「はい?」

「だから言ってみなさい!あんたの作戦!協力とか言ってるんだから何かあるんでしょ!!」

 


 少し恥ずかしげに言うサラに俺は顔を固まらせる。

 今な何て言った?協力って言ったのか?



「え?やってくれるのか?」

「こっちだってあれを倒したいんだから。やれるんならやるわよ」



 いったいどういう風の吹き回しなのだろうか。

 急に態度を変え出したサラに俺は首を傾げるが、協力してくれるなら話が早い。

 


「あぁ、あるぜ。とびっきりの秘策がな」


  

 

おまけ


 【アート】


「あの超巨大ノーマルゴーレムって石で出来てるんだよな?」

「はい、ゴーレム種は皆同じ鉱石を纏う事により自分を強化出来る、です」

「それって鉄とか銅とかも?」

「そう、です。ですからゴーレムを使ってアートを作る人もいます、です」

「アート?」

「石をくっつけ一種の彫刻を造る、です」 

「異世界アートか」



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