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どんな時でも俺は寝る

「へ?何、今の音?」



 突然の事に釜石さんは混乱していた。

 おいおい本当に来る奴があるかよ。

 いったいどんな確率だ。 

 俺はこの事態に悪態ついていた。



「ねぇ、神谷君。今のって...........」

「銃声だな」 

「えぇ!?銃声って....何で.....」

「恐らくは朝ニュースでやってたテロ組織の奴等だろう」

「テ、テロ組織!?」



 俺の言葉に釜石さんは驚きながら言った。



「な、何でここに......」

「さあな。ただまぁ、運が悪かったとしか言いようがない」

「そ、そんなぁ........」



 正直本当に運が悪いな。

 俺のスキルに巻き込まれ体質何てないよな。

 すると何か、スキル持ちは皆そうなるのか?

 だとしたら今すぐこのスキルを捨て去りたくなるな。そんなんより俺は安らかに眠る方を取るぞ。



「ど、どうしよう。神谷君」 

「取り敢えずここにいた方がいいだろうな。幸い、屋上なら来ないだろう」 



 俺はそう言って体をベンチの背もたれに背中を預け目を瞑った。



「え、神谷君何してるの?」

「取り敢えず暇なんで寝る」

「寝るの!?」



 俺の行動に釜石さんは驚いていた。

 だって暫く何もすることないし、暇なら寝るのに限る。いや待て、その前にあれを習得しておこう。   



 そう思い俺は意識を周囲に張り巡らせる様なイメージを数十秒続けた。



“スキル、【気配察知】を習得しました”



 これでよし。これなら寝ながらでも大丈夫だな。俺は気配察知を発動させ再び眠りにつこうとした。   

  


「いや、待って!寝ないで!お願いだから!私を一人にしないで!!」



 眠りに就こうとする俺を釜石さんが体を揺すりながら止めに入った。

 騒がしいな。気配察知があるから大丈夫なんだが。

 まぁ、言うわけにもいかないが。



 俺は釜石さんに眠りを妨害され仕方なく目を開けると、グラウンドの方から沢山の人の悲鳴が聞こえてきた。



 見るとグラウンドに沢山の生徒が駆け足で悲鳴を上げながら走っている。



「え、どういうこと?何で皆........」

「恐らくテロ組織達は人質の範囲を狭めたんだな。だから他の生徒達には用はないから逃がされたって所か」

「じゃ、じゃあ私達も早く行こう!」


  

 そう言って釜石さんは屋上のドアの所に急いだが、俺は待ったをかけた。

 


「今行くのはおすすめしない」

「え、何で?」 

「今下に降りてテロ組織と鉢合わせ何てしてみろ。何されるか分からんぞ」



 特に釜石さんが見つかったら体育館倉庫に連れられて薄い本事項が確定するな。



「そ、それは確かに..........」

「だから今下に降りるよりここで待った方が安全だろ」

「そ、そうだね............」



 そう言って釜石さんはトボトボとこちらに帰ってきた。しかし、これからどうするか。寝るのは釜石さんが居るから出来ないし、ここで待つのも暇すぎる。



 俺はう~んと考えてると、ある人の事を思い出した。そうだ、一応あの人に連絡しとくか。

 俺はそう思い携帯を取り出して、電話を掛けた。



「神谷君、誰に電話してるの?」

「ちょっとした俺の知り合い」



 俺はそう言うと電話が繋がり、電話越しから渋い声が聞こえた。



『もしもし?』

「おいっすおっさん。今暇か」

『何だお前か。悪いが今忙しいんだ。お前に構っている暇はない。ていうかお前学校はどうした?』

「その事で話がある。実は学校にニュースでやっていたテロ組織が来た」

『何!!!それは本当か!!!!』


  

 俺の言葉におっさんは耳がキーンとなるくらいの声で叫んだ。耳が痛いな。釜石さんもこの声に若干驚いている。


 

「煩いぞおっさん」

『あ、あぁ、悪い。つい驚いてな。それにしても本当か。実は丁度こっちもその事で頭を悩ませてな。テロ組織がこの地域に入り込んだという情報が入ってこっちは大慌てだ』

「そうか。それなら直ぐこっちに来れるか?」

『あぁ、待ってろ直ぐに行く。確かお前の高校は神南(かんなみ)高校だったよな。それじゃあまた後で連絡する』



 そう言っておっさんは電話を切った。

 取り敢えずこれでいいか。



「ねぇ神谷君。今の人って誰?」

「知り合いの刑事」

「刑事!?神谷君刑事の知り合いがいたの!?」

「昔色々あってな」



 さっき俺が通話していた相手の名前は石田哲二(いしだてつじ)。通称おっさんは俺以外が異世界召喚された時に色々と世話になった人だ。顔が少し厳つく声も渋いが悪い奴じゃない。



「これで警察も呼んだ事だし暫くは様子を見るか」

「う、うん。そうだね」


    

 俺の提案に釜石さんは同意し、一緒に警察が来るのを待った。



 待っている最中俺はふと校舎の中の様子が気になり、【空間魔法】を使い中の様子を探った。

 【空間魔法】はその名の通り空間を操る魔法だ。その空間を支配すれば中の様子何て簡単に探れる。



 俺は【空間魔法】を使うと、頭の中に銃を持った武装集団と怯えきっている生徒達の姿があった。






ーーーーーーーーーーーーーーー






 テロ組織に襲われ人質となった教室では、壁際に追いやられ人質として捕まっている男女数十人の生徒に、ドクロのマスクを被った全身黒の武装をしたテロリスト三人がいた。 



 三人の中のテロリストは一人は図体がでかく、一人は細身、もう一人は床に倒れている。



「あぁ、だりぃな。何時までこんなことやってんだよ」

「そういきり立つな。ここでは逃走用のヘリを確保するために交渉材料として占拠したんだ。大人しく待ってろ」

「つってもよう。待つだけじゃ退屈だよなぁ。ここにいるガキ共で遊んでいいなら別だがよぅ」



 そう言って図体のでかい男は教室の隅で怯えている生徒達を見た。その視線に生徒達はビクッと震え顔が青ざめる。



「止めておけ。ボスに手は出すなと言われただろ。こいつみたいになるぞ」



 こいつというのは先程の突撃の際に無断で発砲し、人質の生徒の肩を撃ち抜いてボスにボコボコにされた奴の事だ。因みに今そいつというのは勿論床に倒れている男の事である。



「わぁってるよ。流石にあれを見た後じゃやらねぇよ」

「ならいい」



 細身の男がそう言うと外からサイレンの音が聞こえた。



「来たか」

「みたいだな」

「お前達」



 二人がそう呟くのと同時に教室にまた別のテロリストが入ってきた。その男は二人がしているドクロのマスクとは違ったドクロのマスクをしていて、明らかに二人とは違う雰囲気を纏っていた。



「ボス、警察が来ました」

「分かってる。大方逃がした奴等が呼んだんだろ。これから交渉に入る」

「なぁボス、交渉が済んだら警察何人か撃ち殺していいか?暇すぎて退屈なんだ」

「我慢しろ。無闇に警察を刺激するな。ヘリを持ってこさせればそれで十分だ」



 そう言ってボスは窓の外を見た。

 外にはパトカーや車が何台も止まっていて、完全に包囲されていた。



「ふん、日本の警察はどれほどやるか、楽しみだな」



 ボスは不適に笑うとさっと後ろに振り返り歩きだした。



「お前達はこのまま見張りを続けていろ」

「はっ!」

「まじかよ。俺もそっちに行きてぇよ」

 


 ボスの言葉に細身の男は元気よく返事をし、図体のでかい男は不満げに言った。



「安心しろ。ヘリで逃走途中に追いかけて来るようなら好きなだけ撃たせてやる」



 そう言ってボスは教室を出た。

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