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このやり取り前にもあった気がする

「全く、酷い目にあったな」



 さやと夏蓮からお叱りを受け、俺は足の痺れを感じながら疲れた表情をする。

 あんな長い時間正座したのなんて生まれて初めてだな。



「夜兎君が悪いんだからね」

「自業自得」



 まだ怒ってるのか二人は不機嫌な顔をしながら言う。 

 それを言われたら確かにそうなんだけどな。 

 珍しい光景だったからつい見いっていたのがいけなかった。

 次は気を付けよう。

 反省する俺に、ロウガは心配しながら俺に駆け寄ってきた。

  


“主ー、大丈夫ー?”

「あぁ、大丈夫だ。さっきはよく動いたな。偉いぞ」



 心配するロウガに俺は微笑みながら頭を撫でる。今回ロウガはリーナ達を助け出したヒーローだ。ヒーローには労いの言葉を掛けよう。

 ロウガの頭を一頻り撫で終わると、俺はさっき聞こえた声について三人に聞いた。

 


「なぁ、お前らさっきタコに襲われる前、声が聞こえなかったか?」

「声?あぁ、聞こえたぞ」

「女の子の声だったのよね?」

「しかも幼女」



 あの声はリーナ達も聞こえていた様で三人共不思議そうに言った。

 どうやら俺の幻聴ではないみたいだな。

 幻聴でないことが分かると、俺は少しさっき声が言っていた事を思い出す。

 『侵入者は排除する、です』確かに声はそう言っていた。  

 これって完全にあのクソガキが造った物に関係してるよな。



「あのタコはさっきの声の主がやったという事か」



 リーナも気付いたのか思い出す様に言った。



「恐らくそうだろうな」

「でも何でタコ?」



 肯定する俺にさやは不思議とばかりに首を傾げ、その疑問にリーナが答えた。



「この島はメトロン様が面白半分で改造したと言っていた。大方遊び半分で設置していたんだろう」



 遊び半分でタコを設置か。

 クソガキにしてはお約束を分かってるなと言いたいが、問題はそこじゃない。



「リーナ、メトロンがこの島について他に何か言ってなかったか。例えば、防衛装置を造ったとか」



 俺は確認するが、特に思い当たらないのかリーナは頭を捻りながらうねっていた。  

  


「私が聞いたのはこの島の場所と色々と遊び半分で改造したと言っていた位だから、特にこれといってないな」



 思い当たる事がなくリーナは首を横に振る。

 何も分からないか。

 だがそれでもあの声があのクソガキと関係してるのは明らかだ。

 あのタコも見た目が絶対地球の物じゃない。

 絶対あの声が仕組んだことだな。



「それじゃあどうするか。このままじゃ海で遊ぶのは無理だよな。てなるとーーー」

「あの声の主を止めるしかないな」



 俺の言葉の続きを言う様にリーナが言った。

 それしかないよな。

 俺は海とは反対の鬱蒼(うっそう)と茂る木々に目をやる。この広大な島を探すのか。

 俺やリーナは兎も角、夏蓮とさやは一緒に連れていくのはどうなんだろうか。 



 俺はチラッとさやと夏蓮を見ながら考えるが、俺の視線で察したのか、二人は俺に申し出た。



「私達も行くよ、夜兎君」 

「あのタコを仕向けた幼女にお仕置きする」 



 さやはやる気のある様子で、夏蓮はさっきの事根に持ってるのかさやとは違う意味でやる気を出している。 

 二人はそう言うが本当に大丈夫だろうか。

 俺は更に考えたが、リーナが二人に助け船を出した。



「別に大丈夫だろう。貴様と私がいれば二人位守る事なんて容易い。それにいざとなれば貴様が送ればいいだけの話だ」



 リーナにそう言われ、俺はまた少し考えたが、ここはリーナの考えに乗ることにした。



「まぁ、それでもいいか」



 リーナの言う通り俺とリーナなら大丈夫だろうし、いざとなれば転移させればいい。

 皆で行くとしよう。

 


“僕も頑張るー!” 



 俺達の話を聞いてロウガもやる気にだしたのか、元気よく声をあげた。

 戻そうかと思っていたがロウガも連れてくか。

 さや達のボディーガードにもなりそうだし。  


「さや達を守ってくれよ。ロウガ」

“うん!!”



 俺の頼みにロウガはやる気満々な念話を飛ばす。これだけやる気があれば安心だな。



「頼んだぞ」

“分かった!”



 俺はロウガに期待の声を掛けロウガはそれに了承したが、そのやり取りを見てリーナ達は何やらなんとも言えない顔をしていた。



「会話してるのは分かるが、無言の狼に話し掛けるというのは.....」

「やっぱ変」



 リーナと夏蓮は変な者を見る目でこちらを見てきた。

 このやり取り前にもあったな。

 念話だからリーナ達には俺が無言のロウガに話し掛けている様に見えているが、そこは仕方ないだろ。これしか話す方法ないし。

 こっちも念話で話せるが、口で言った方が喋りやすい。

 そんな引き気味にこちらを見ないで欲しいんだが。

 


「あ、あのほら!なつくペットに話し掛ける変わった人もいるし!全然変じゃないと思うよ!」



 だがそれに対しさやは俺を庇うかのように必死にフォローをいれてくれた。

 俺の味方はさやだけだな。

 全然フォローになってないけど。

 普通に変な人って言っちゃってるし。



「まぁ、いいか。とにかく行くぞ」

 


 さやの弁護に俺はそう思いながらも、俺達は島の鬱蒼(うっそう)とする木々の中に入っていった。

 

おまけ


 【会話】 


「ロウガちゃんと話すときって口で言わなきゃ駄目なの?」

「いや、こっちも念じれば話せるが口で言う方が楽なんだ」

「だったら一回口ではなく念じて話してみたらどうだ?その方が変に見える事がなくなるんじゃないか」 

「挑戦はした方がいい」

「.......まぁ、いいけど」


「..........」←念話中

「..........」←念話中


「何か、これはこれで......」

「ただ見つめ合ってる」

「シュールだね」



ーーーーーーーーーーーーーー


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