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まじでフラグでしたか

 入学式から三日目、俺は朝テレビを見ながらパンとコーヒーを片手に朝食を食べていた。 



『今日未明、国際指名手配中のテロ組織が日本に逃げ込んで来たという情報が世界各国に出されーーーーーーーー』



 朝から嫌なニュースに俺はまだ若干眠気が抜けずボーッとしながら聞いていると、



「嫌なニュースねぇ、夜兎も気を付けなさいよ」

「んー」



 母さんが嫌な表情をしながら俺に言ってきた。

 眠気の取れていない俺は母さんの言葉に適当に返事をしコーヒーをすする。

 テロ組織が日本に来たって何も出会う訳じゃない。気にする必要はないだろう。



「そんじゃあ、行ってきます」

「行ってきます」

「行ってらっしゃい」



 母さんに見送られ、俺と夏蓮は一緒に学校へと向かった。

 朝のコーヒーと日差しの眩しさに俺の眠気はある程度覚めやっと思考が働いてくる。

 思考が働いていき、俺はテロ組織について考え始めた。



(テロ組織か。こういうのって小説だと学校を襲ってくるのが相場だが、そんなんあるわけないよな)



 そんな現実あってたまるか。何万とある学校からうちの高校に来るなんて確率の低い事が起こる訳がない。非現実的だ。



 .......いや、異世界なんてある時点で非現実的か。

 じゃあ何か?これってもしかしてフラグか?



「それじゃあ、私こっちだから」

「ん?あ、あぁ、そうか。それじゃあな」



 夏蓮に急に話しかけられ俺は一旦考えるのを止めると、俺は夏蓮に別れを告げた。

 


(考えるだけで無駄か)



 そう思い俺は考えるの止め、そのまま学校に向かった。






ーーーーーーーーーーーーー






 学校に着き教室に入ると、教室の中は既に何人かの生徒が教室に居てそれぞれ楽しそうに話し込んでいた。

 教室の中は既にグループが出来ていて俺に話し掛ける者は誰も居ない。



「あ、神谷君おはよう」

「おはよう釜石さん」



 席に着くと前の席に座っていた釜石さんが後ろを向き直ぐに声を掛けてきた。

 声を掛けてくるといったら釜石さん位だろうな。

 ちゃんと友達がいるんだろうか?



「神谷君今日のニュース見た?」

「あぁ、あのテロ組織の事か?」

「そうそう、もう日本に居るんだよね。何処にいるのかな?」

「さあな、意外と近くに居たりしてな」

「え!?も、もう怖いこと言わないでよぅ」



 釜石さんの少し怖がっている様子に俺は軽く笑うと、釜石さんは何やら急にもじもじしだした。



「あ、あのね、もし、神谷君がよければ、また、い、一緒にお弁当を食べに、行ってもいい、かな?」

「ん?昼か?いいぞ」

「そ、そうだよね。駄目だよね........ん?いいの!?」



 断られると思っていたのか釜石さんは椅子から身を乗り出し顔をこちらに近づけてきた。近いな。



「あ、あぁ、勿論」

「ほ、本当にぃ、良かったー。お弁当作りすぎちゃったから断られたらどうしようかと思ってたの」



 俺の言葉に釜石さんはホッとしていた。成る程、だから誘ってきたのか。こちらとしてはあの弁当にありつけるのは有り難いが、ここで一つ疑問がある。



「釜石さんって友達いないのか?」

「へ?」

「いや、俺を誘うより友達誘った方が誘うのが楽だろ」

「へ、あ、そ、それは、その~」


  

 俺の疑問に釜石さんはバツが悪そうになりながら言った。 



「私、まだお友達、いないから」

「それは、何か悪い」



 どうやら地雷を踏んだようだ。途中から釜石さんの言葉が消えそうな位小さくなった。顔も段々暗くなり俺は何だか申し訳ない気持ちになる。俺も言えた義理じゃないが、早く友達が出来るといいな。



 何とも気まずい空間になったが、そのまま授業の鐘が鳴り授業に入った。

 俺は授業の最中は当然の如く寝ていて、たまに教師に起こされるが、俺の完璧解答で黙らせ昼休みまでスヤスヤと眠る。

 四時間目の授業も終わり鐘が鳴ると、俺は体を起こし体を伸ばしながらあくびをした。



「よくそんなに寝てられるよね。夜はちゃんと寝られるの?」



 釜石さんはもう俺が寝ることに関しては慣れたのか何も言わなくなった。慣れって凄いよな。


 

「夜もちゃんと寝てるぞ。まだ寝足りない位だ」

「何でそんなに寝られるんだろうね」



 正直自分でも良く分からん。不思議な事に寝ても寝ても眠気が消えないんだよな。何故だろうか。



「まあいいか、そんなことより早く行くぞ。時間がなくなる」 

「う、うん。ちょっと待って」

 


 俺がそう言うと釜石さんは慌てて弁当を二つ出した。



「それじゃあ行こうか」

  

  

 そう言って俺と釜石さんは一緒にお昼を食べに屋上に行った。

 






ーーーーーーーーーーーーーー






 屋上に着き昨日と同じベンチに座ると釜石さんは二つ持ってきた弁当の一つを差し出した。



「はい、神谷君」

「ありがとな。釜石さん」

  


 俺は貰った弁当を早速開けると豪華な弁当が広がっていた。おかずのメインであるコロッケを中心に定番の卵焼き、ウィンナー、プチトマト、ポテトサラダとこれまた旨そうなおかずが揃っていた。しかもご飯が白米ではなく、炊き込みご飯と来たもんだ。これは食欲そそるな。



「こりゃあ凄いな」

「へへ、張り切ってたら作りすぎちゃって」

「張り切ったって、何かいいことでもあったのか?」

「へ?あ、ううん、こっちの話し。ささ、どうぞ食べてみて」

「それじゃあ早速、いただきます」



 俺は先ず炊き込みご飯を箸で掴み口へと運んだ。



「どうかな?」

「もぐもぐ...........うん、やっぱり旨いな」

「本当に!?良かったー」



 俺の言葉に釜石さんはホッと胸を撫で下ろしていた。釜石さんの料理は確かに旨い。毎日母さんの料理を食べて舌が肥えている俺が保証するんだ。だからそんなに緊張する必要はない。



 俺は旨そうにしながら釜石さんの弁当を軽々と平らげた。ふう、旨かったぁ。



「ご馳走さま、釜石さん。旨かったぞ」

「ふふ、お粗末様でした」



 俺は釜石さんに弁当箱を返すと、釜石さんも俺の食べてる反応に満足したのか、嬉しそうにしながら弁当箱を受け取った。



 さて、ではもう一つ頂くとするか。そう思いながら俺は今度は自分の弁当を出した。



「あれ?まだ食べるの?」

「あぁ、残すわけにはいかないからな」



 実はもう結構お腹一杯なんだが、この弁当だけは残すわけにはいかない。何故なら家の母さんは食に関しては厳しいからだ。 

 母さんは料理研究家だ。だから料理もプロ並みに上手く旨いんだが、それ以上に食べ物を残す事に対しては物凄く厳しい。



 母さんは基本怒らない人だが怒ると凄く怖い。昔、一度だけ母さんの料理を残した事があったが、その時は怖すぎてトラウマになったな。

 だから残すわけにはいかない。残したら俺に明日はないから。


 

「もしかして私、余計な事しちゃった?」

「いや、気にするな。自分がしたことだ」


  

 そう言って俺は弁当を食べ始めた。やっぱり旨いな。ただ、旨いには旨いんだが、如何せん腹が一杯だ。胃が受け付けない。俺は箸を持つ手が止まっていると。

  


「よかったら、私も食べていい?」



 釜石さんが言ってきた。


 

「いいのか?」

「うん、元々は私のせいだし。それに私もまた神谷君のお母さんのお弁当食べたいから」



 正直その申し出は有り難い。俺一人じゃ全部食べるのは無理がある気がするからな。



「それじゃあ頼む」

「うん、任せて!」

「んじゃ早速、ほら」



 そう言って俺は弁当のおかずを箸で掴み釜石さんの口許に運んだ。



「え?そ、それって............」



 何かを察したのか釜石さんは箸と俺をチラチラ交互に見ながら何やら恥ずかしそうにしていた。

 まさかこいつ気づいたのか。俺と間接キスするということに。昨日は気づかなかった癖に今になって気づくとは。面倒だな、このまま押しきるか。



「どうしたんだ?ほら、早く」

「え、あ、うん。それじゃあ」



 俺に急かされ釜石さんは意を決したのか、顔を少し赤くしながら口を開きおかずを食べた。

 よし、この調子でどんどん食べさせよう。



「ほら、もう一つ」

「う、うん」



 もうどうとでもなれと思ったのか、釜石さんは顔を赤くしながら弁当を食べ続けた。

 俺も一緒に弁当を食べていき、何とか弁当を平らげた。俺が弁当を食べる時に釜石さんは何か言いたそうな顔をしながら顔を更に赤くさせていたが、それは無視だ。



 弁当も平らげ俺は一息着いていると、釜石さんは隣で恥ずかしそうにしていた。



「うぅ、まさか二回もこんなことするなんて.........」

「まあ確かにあれは恥ずかしいものがあったよな」

「恥ずかしい何てもんじゃ......って神谷君分かっててやってたの!?」

「そりゃあな」



 寧ろ気づかない方がどうかしてるだろ。

 


「昨日は気づかなかったからいけると思ったんだが、流石に気付いたか」

「気付くよ普通!」

「昨日は気づかなかった癖に」

「そ、それは.....うぅ、いじわる」



 恥ずかしすぎて若干涙目になりそっぽを向いてしまった彼女の姿が可愛らしく見えたが、今は触れないでおこう。



 俺はそんな彼女の姿を見ながら不意に外の方を見ると、何台かの黒い車が学校内に入ってくるのが見えた。



「何だあれ......」

「?どうしたの?」



 俺の呟きに釜石さんは首を傾げながら俺の目線の方を見た。

 黒い車は学校内に入り止まると中からマスクを被った武装した集団が、校舎内になだれ込んできた。 

 その動きは素早くまるで何処かの衛兵かの如くスムーズに学校に入り込む。

 おいおい、まさかーーーー



 パァァン!!  

 きゃぁぁ!!



 俺は嫌な予感がしていると、下の方から銃声と悲鳴が学校中に響く。

 そして銃声が聞こえた後に怒声にも似た声が下から聞こえてきた。

 俺はこの時朝のニュースを思い出した。

 まさか、テロリストか?

 突然の事態に俺は過去の自分の言動を呪った。

 まじでフラグだったな。

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