怒ってるじゃん
前回間違えて同じ話を二話投稿してしまい申し訳ありませんでした。
まさか、皆さんに言われるまで気づかないとは.....。
どれくらい気絶していただろうか。
俺は目が覚めると後頭部に柔らかい感触が感じる。その感触が感じると同時に、目の前には俺を見下ろす釜石さんが居て目があった。
「お、おはよう。神谷君」
「おはよう、釜石さん」
目と目が合うと釜石さんは少しぎこちない挨拶をした。
目が合った瞬間何故か釜石さんは顔を赤くしながら顔を背けていたけどどうしたのだろうか。
俺は挨拶を返し、体を横に寝返りをうちその後頭部に当たっていた太股を見る。
少し寝ぼけてたから分からなかったがどうやら俺は釜石さんに膝枕を受けているようだ。
まさか、釜石さんに膝枕される時が来るとは。
俺は何となく釜石さんの太股を手で擦った。
だが何だろうか、この感じデジャヴな気がするのは気のせいだろうか。
「あ、あの神谷君。少し、くすぐったいんだけど......」
少し恥ずかしそうに困った笑みを浮かべながら釜石さんは言った。
おっとしまった。少し考えていたせいでずっと擦っていたか。
「悪い、直ぐ退くから」
「あ、いいのそのままで。神谷君疲れてるでしょ。暫くこのままでいいよ」
退こうとする俺に釜石さんは俺の頭を抑えながらひき止めた。
釜石さんに言われ俺はそれじゃあお言葉に甘えようと思い起きやがるのを止め元の体勢に戻った。
「そういえば、リーナは?」
「リーナちゃんなら堕神の人を引き取って貰いに行くって」
俺の何気ない質問に釜石さんは答えると、釜石さんは少し不安そうに言った。
「ねぇ、神谷君。神谷君が気絶する前の話なんだけど、私聞いたの。神谷君がこれまでどんなことをしてきたかを。私全く記憶にないけど」
突然の釜石さんの言葉に俺は少し口を閉ざす。
リーナから聞いたのか。
まぁ、別に聞かれて困ることはないから別にいいけど。それに釜石さんにならバレてもいいとも思ってたし。記憶がないのも俺が消してるからだし。
「そうか........」
「それでね、私の知らない所で神谷君が危ないことしてるって思うと、物凄く心配になるの。だからーーーーー」
少し間を空けて釜石さんは言った。
「無理はしないで。絶対にしないでとは言わないけど、ただどうか死ぬような事はしないで、私にも相談して、お願いだから」
顔は見えないが声から釜石さんが悲痛そうな顔をしているのが分かる。
俺を抑える手が若干震え、声も少し弱々しい。
どうやら俺が思っている以上に釜石さんは心配していたようだ。
俺はそんな釜石さんの言葉を聞いて参ったかのように手を挙げながら言った。
「分かった。約束する。無理はしないし出来たら相談もする。だからそんな悲しそうに言うのは止めてくれ」
俺がそう言うと釜石さんは「うん」と明るい声で返事した。
やれやれ、やっぱり釜石さんには敵わないな。
何でこんなに頭が上がらないんだろうか。
ある意味俺の中での一番の強敵だな。
これならゲルマを同時に10人相手していた方がまだましだ。
俺は膝枕されながらそんなことを思っていると、急に釜石さんがさっきとは口調を変えて言った。
「そういえば神谷君私にだけあの力の事黙ってたんだよね?リーナちゃんや夏蓮ちゃんは知ってるのに」
先程の悲痛そうな感じとは裏腹に釜石さんは少し強気な感じで言ってきた。
あれ、何この感じ?
「いや、それはリーナは元々そっち側の奴だったし、夏蓮は偶々バレただけだし」
「でも黙ってたんだよね?私にだけ」
俺の弁明を無視するがの如く釜石さんは言い放つ。弁明の余地なしですか。
俺の言葉に釜石さんはやはり強気な言い方をしてきた。
あれ?これってもしかしてーーーー
「怒ってる?」
「別に」
顔を釜石さんの方に向けながら言う俺に釜石さんはぷいっと顔を反らした。
やっぱり怒ってるんじゃん。
怒った顔のまま顔を反らす釜石さんに若干の可愛さを覚えたが今はそんな事を言っている場合じゃない。
取り敢えず弁明を加えておくか。
「別に釜石さんにだけ黙ってた訳じゃないぞ。最初は夏蓮にだって黙ってたし。それに夏蓮にバレた時から俺は別に釜石さんに教えてもいいと思ってたけど、言うタイミングと必要性がなかったってだけで決して言いたくないというわけではない」
「じゃあ何で今になって教えてくれたの?私の記憶も消せばよかったのに」
まだ機嫌を直してくれてないのか、釜石さんは顔を背けながら言う。
「タイミングが良かったのと、釜石さんならバレてもいいと思ってたからだ。それにあの場で消してたら気付いたらビルの屋上に居たってことになってそれはそれで困るだろ」
俺はそう言うと釜石さんの顔を見ながら言った。
「だから機嫌直して欲しいんだが.......」
俺は釜石さんの顔を窺う。
正直もう弁明する言葉がないんだが。
すると俺の弁明が通ったのかそっぽを向いていた釜石さんはこちらに顔を向けある要求をしてきた。
「じゃ、じゃあ、一つ私のお願い聞いてくれたら、許してあげる」
「お願い?」
お願いと言って釜石さんは何やら言いづらそうに目を反らしたり頬を赤くしたりしている。
いったいどんなお願いするつもりなんだ?
釜石さんの様子に俺は少し不安になりながらも釜石さんはお願いを口にした。
「これから私の事はさやって呼んで。私も神谷君の事名前で呼ぶから」
そう言う釜石さんからの願いに俺は少し意外そうな顔をした。
何かと思ったらそんな事か。
もっと凄い要求でもしたくるのかと思ったぞ。
「そういえば呼んだ事なかったな」
「うん、だからこれから呼んで欲しいなって、駄目かな?」
不安そうに釜石さんは俺の顔を見る。
そんなの断る理由がない。
釜石さんが望むならそうしよう。
「分かった。これからはさやって呼ぶな」
「うん、私もこれから夜兎君って呼ぶね」
お互いにそう呼び合うと俺とさやは嬉しそうににっこりと笑い合う。
少し名前で呼ぶことに少しこっ恥ずかしさを感じるがこれはこれで何かいいな。
さやも俺と同じことを思っているのか顔が少し赤い。
これから慣れるしかないな。
それからリーナが戻るまで俺とさやは少しの間お互いを名前で呼び合いながら楽しい時間を過ごした。
名前で呼び合ったからか。
俺とさやとの距離が色々と縮まった気がする。
そんな一時だった。
これでこの話は終わりです。次回からまた少しの間日常パートに入ります。
おまけ
【助けません】
「夜兎君って何でそんな力を持ってるの?」
「昔クラスで俺以外異世界召喚されたときに手に入れた」
「そのクラスの人達は?」
「さあな、まだ異世界にいるんだろうな」
「助けてあげないの?」
「異世界の名前が分からないと行きたくても行けないんだよ。だからどうすることもできない」
「じゃあその異世界の名前が分かってたら助けに行ってる?」
「絶対に行かない」
「言うと思ったよ」
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