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ただの八つ当たりかい

 根暗野郎に会った日から翌日。

 学校の昼休みに俺は何故かリーナに地面の下で正座させられていた。   



「なぁリーナ。急にお前に正座しろと言われたからしている訳なんだが、俺何かしたか?」



 地面は日陰だから暑くはないがコンクリートの地面に正座は結構辛い。

 ていうか本当に何で俺正座してるんだ?

 俺はリーナに理由を聞くと、リーナはベンチに座りながら足を組んでこちらを見下ろしている。

 


「ほぉ、身に覚えがないというのか。自分の胸に手を当ててよーく思い出してみろ」



 リーナにそう言われ俺は正座しながら腕を組みうーんと考える。

 因みに釜石さんは今飲み物を買いに自販機に行っている。今回は本当に水筒を忘れた様で慌てて買いに行っていた。

 まるで図られた様に都合がいいな。

 早く帰ってきてくれ釜石さん。



 暫く俺は自分が何をしたのかと頭を捻って思い出そうとすると、あることを思い出した。



「あ、もしかしてこの前お前が持ってきたクッキーをお前の分も少し食べたからか?」

「違う!というか貴様それは本当か!道理で何か少ないと思ったら!」 


  

 あれ?違うのか?

 俺の言葉に激昂するリーナに俺はまた思い出そうと頭を捻ると、俺はまさかと思い焦るようにしてリーナに言った。



「じゃ、じゃあクラスの男子にお前の情報を少し話した事か?」

「違う!」

「ま、まさか、授業中お前に幻視の呪いを掛けて隣で俺が寝ていた事に気付いたのか!」

「それも違う!!てか貴様そんなこともやってたのか!」



 怒るリーナに俺は慌てて訂正した。



「いや一回、一回だけだから!」

「一回でもやったことには変わりないであろうが!!」

  


 ベンチから立ち上がりながらリーナは憤慨する。

 え?これも違うのか?

 だとしたら他に何があるんだ?

 もう自分の犯した罪を全てさらけ出した俺にはもう本当に身に覚えがなくなった。



「じゃあいったい何なんだ?もう本当に身に覚えがないぞ」



 俺がそう言うとリーナは少し息を吐きながら再びベンチに座り腕と足を組み、理由を語りだした。  

 

 


「貴様が消した私のスキルの事だ。そのせいで【増悪神】ゲルマを取り逃がしてしまったではないか」

「スキル?」



 スキルと言われ俺は少し首を傾げたが、直ぐに思い出した。

 


「あー!あれか!」



 確かリーナとの戦いで俺が消したウィング何ちゃらだっけ?

 そういえばそんなこともあったな。

 俺はスキルを消した事を思い出したが、一つ腑に落ちない事があった。



「いや、あん時はまだ俺とお前って敵同士だったし、しょうがなくないか?」



 俺がそう言うとリーナは途端に黙り込んだ。

 あれ?これってまさか図星か?

 途端に黙り込むリーナを見て俺は少し鎌を掛けた。



「お前まさかしょうがないって分かってて俺に正座させたんじゃないだろうな?」

 


 俺は当てずっぽうに言うと、黙り込んでいたリーナは急に開き直りだした。



「そうだ」

「いやそうだじゃねぇよ」



 何真顔で開き直ってんだよこいつは。

 何か俺との一件以来性格変わってないか?

 


「私もゲルマを取り逃がして少し当たりたい気分だったんだ。許してくれ。それにお前が正座する場面も見てみたかったし。後悔はしていない」

「お前なぁ.......」



 ここまで来るといっそ清々しいな。

 この清々しいまでのリーナの八つ当たりっぷりに俺は怒る気にもなれず、ため息をついた。

 まさか八つ当たりの為に正座させられていたとは。何か腹立つな。

 俺はそう思っている内に心の中に少し悪戯心が芽生えた。

 ここは一つ仕返しといくか。



「さっきから言おうか迷っていたんだが、お前その角度からだとパンツが見えてるぞ」

  


 俺のその一言にリーナは少し顔を固まらせ下を向いた。

 その角度で足を組まれると必然的に見えてしまう。俺的には眼福だったけどな。

 せめてもの情けとして言わないでおこうと思ったがリーナの清々しい程の八つ当たりの仕返しに教える事にした。

 下を向いたリーナは顔を赤くしながら直ぐに足を組むのを止め手でスカートを抑える。



「こ、この馬鹿者!もっと先に言え!!」

「そんな恥ずかしがるなよ。白のパンツも可愛いと思うぞ」

「態々口で言うな!!」



 わざとらしくパンツの色まで言う俺にリーナは顔を更に赤くさせた。  

 俺はそれを見てしてやったりと意地悪な笑みを浮かべる。  

 人をからかうからこうなるんだ。

 次は気を付けるんだな。

 それから釜石さんが来るまでリーナは終始顔を赤くさせ俯いていた。







ーーーーーーーーーーーーーー







 釜石さんも戻り俺達は釜石さんを中心に会話をしながら弁当を食べている。

 何故釜石さんを中心にしてなのかというと、さっきの事もありリーナは俺を見る度に顔を赤くさせ直ぐにそっぽを向いてしまうからだ。

 正直会話所ではない。

 少しやり過ぎただろうか。

 そんな俺とリーナの態度に釜石さんは不思議に思っていたようだが、ここである提案をしだした。



「ねぇ、二人とも今日の放課後空いてる?」

「放課後?」

「何かあるのか?」



 釜石さんの言葉に俺とリーナは順番に反応した。



「実は使ってたノートのページがなくなっちゃって。買うのに付き合って欲しいんだけど」



 ノートか。そういえば俺ももうすぐなくなりそうだったな。

 前は寝てたからあんま使わなかったがリーナのお陰で最近よく使うようになった。すっかりリーナに更正された気がする。俺は自分のノートのページもなくなりそうなのを思いだし、釜石さんの誘いに乗ることにした。



「俺はいいぞ」

「すまない。私は少し用事があるんだ」



 俺は釜石さんの誘いに了承したが、リーナは反対に申し訳なさそうにしながら断った。

 俺はもしかしてさっきの事を引きずってるのかと思ったが、恐らく違う。 



 多分リーナはまたあの【増悪神】とやらを探しに行くんだろう。

 あいつの事だ、俺に八つ当たりしながらもやはり責任は感じてるんだろうな。

 本当、真面目な奴だ。

 


「そっか、それじゃあ仕方ないね」



 リーナが行けないことに釜石さんは少し残念そうにしていた。

 


「それじゃあ神谷君は放課後一緒に行こうね」

「あぁ」



 俺は釜石さんの言葉に頷いた。

 それからも俺達三人は釜石さんを中心にだが愉快に会話をしながら昼休みを過ごした。

おまけ


 【見られた】


「ねぇ神谷君、リーナちゃんと何かあったの?何かリーナちゃん神谷君を見る度に顔を赤くしてるけど?」

「まぁ、あったっちゃああったな。気になるなら本人に聞いてみたらどうだ?」

「リーナちゃん、神谷君と何かあったの?」 

「さや殿、私は、私はもう、お嫁にはいけない」

「え!?どうしたの急に!!」

「神谷に、あいつに、見られてしまった....」

「見られたって、何を.....?」

「私の全てを」

「ちょっと待て、これ以上話をややこしくするな」



ーーーーーーーーーーーーーー

  


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