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この世に神は本当にいなかった

 リーナの質問に俺は少し首を捻って考えた。

 何故って言われてもなぁ.....。



「特に理由はないぞ」



 首を捻って考え出した俺の返答にリーナは意外そうな顔をした。

 こいつからしたら俺と釜石さんは学校で何時も一緒にいるから知っていると思ってたんだろう。

 だが知らないと分かり疑問に思って聞いて来たんだろうが、特にそんな深い理由はない。



「そうなのか?だが貴様の妹は知っているんだろ?」



 俺の返答にリーナは更に質問してきたが、夏蓮の場合はただの偶然だ。

 偶々俺が落としたドラゴンの所にいて、

 偶々気絶した時に夏蓮が近くにいたから頼った。それだけの話だ。

 その偶々が重なって夏蓮にスキルがバレた。



 だから他意はない。

 俺はその事をリーナに伝えると、「ほぉ」と言いながら珍しいといった顔をしだした。



「偶然は恐ろしいものだな」

「全くだ」



 リーナの言葉に俺は同意する様に言った。

 リーナの言う通り確かに偶然ってのは恐ろしい。

 案外また偶然で今度は釜石さんにバレたりしてな。

 俺は心の中で軽くそう思ったが、脳裏にこれまでの事が頭をよぎり少し不安になった。

 テロリストにドラゴン、リーナの正体、数えるだけで俺の中の予感が現実味を増していく。

 


(ま、まさかな......)



 これまでの経験からこういうときの俺の予感の的中率が高いことに俺は体から冷や汗を流す。

 暑い夏の気候に俺の制服は汗で少し蒸れ、体が暑くなってきたのを感じると手で顔を仰ぐ。



「い、いやー、何か段々暑くなってきたなー」

「ん?そうか?ここは日向より大分涼しいが」



 急な俺の行動にリーナは不思議そうにしていたが、そこは気にしない。

 冷や汗も大分引いて俺は落ち着きを取り戻しもうこれ以上考えるのを止めた。

 深く考えるのは止めておこう。

 返ってフラグが建つだけだ。

 


「そうだ、貴様に一つ言っておく事がある」



 するとまたリーナは思い出したかのように言って顔を俺の方に向けた。

 またか、また変な事言うんじゃないだろうな。

 俺はリーナの言葉に少し警戒したが、次のリーナから話す内容に俺は別の意味で驚いた。



「実はこの世界にーーー堕神が逃げ込んで来ている」

「堕神?」  



 リーナが言う堕神と言う言葉に反応して俺は眉をひそめる。

 


「何だ?堕神って」

「そのまんまだ。読んで字の如く、堕ちた神と書いて堕神。罪を犯し、神としての地位を剥奪された紛い物。それが堕神だ」



 そう言ってリーナは事の顛末を説明し始めた。



「実は昨夜メトロン様から連絡があって、どうやらこことは違う別の世界で罪を犯した堕神がこの世界に逃げてきたらしいんだ」

「別の世界って、異世界って何個あるんだ?」



 俺の質問にリーナは首を横に振りながら言った。



「分からん」

「は?分からんって、分かんないのか?」

「世界は無数にある。それはもう数えきれない程に無数にな。その無数にある世界に一人神が基本的に就いてるんだが、世界が無数にあるだけに神も無数にいる。だから分からないんだ」 



 リーナの説明に俺は引っ掛かりを覚えた。



「基本的にっていない世界もあるのか?」

「あぁ。最初世界が誕生する時は神が就いてるんだが、とある理由で神が死ぬ事があったり、いなくなったりして世界に神が居なくなることがある」



 そしてリーナは付け加える様に言った。



「因みに地球もその一つだ」

「地球も?」

「そうだ、今地球は神がいない。だからメトロン様が代理として管理している」



 そうだったのか。

 俺はリーナの話を聞いてはぁっと感嘆の息が漏れた。

 まさか地球に神がいないとは。

 だからメトロンがこっちの世界の人間を召喚したのか。  

 神が居なきゃ何も言われないからな。

 俺は自分の中で色々と納得し、リーナは話を戻した。



「話を戻すぞ。その逃げてきた堕神なんだが、どうやらその堕神は自分の世界を破壊したらしいんだ」

「自分の世界を?」

「そのせいでその世界は今永遠の闇の中に閉ざされ生き物は絶滅したようだ」



 永遠の闇って......。

 また物騒な事をする神だな。

 どうしたらそうなるんだ。



「世界を滅亡させた事でその神は堕神へと落ち、本来なら処罰される筈なんだがーーー」

「その神が逃げ出したと」



 俺の言葉にリーナは「そうだ」と言って頷いた。



「そこで私はメトロン様に頼まれその堕神を確保、または抹殺を頼まれたのだ」

「抹殺って、仮にも神なんだろ。一人で大丈夫なのか?」



 心配する俺にリーナは「問題ない」と言ってその理由を告げる。



「その堕神はここに逃げてくる前に相当の深手を負っているらしい。それに神とはいっても所詮は神の権限を剥奪された紛い物。今となっては堕神など重傷を負ったただの人と変わらん。まず負けんだろう」



 そう言ってリーナは大丈夫とばかりにふっと微笑んだ。

 重傷を負ったただの人って、神じゃなくなると態度の変わりよう凄いな。

 俺はそう思っていると、リーナは途端に神妙な顔をしながら言った。



「だからもし堕神に会ったら私に連絡してくれ。直ぐに駆けつける」



 そう言いながらリーナは俺の前にスマホを差し出した。



「だから、連絡先を交換しよう」



 真顔で言うリーナに俺は少し呆気に取られた。



「.......はい?交換?」

「そう、交換だ。早くしろ」



 リーナに急かされ、俺は言われるがままにスマホを取り出し連絡先を交換した。

 神妙な顔をしながら言うから何かもっと重要な事でも言うのかと思ったぞ。



 隣でリーナは連絡先を交換して少し嬉しそうにしている。まさか本当はこれが狙いだったりして。 

 俺は嬉しそうにしているリーナに苦笑したが、ここで重要な事を聞いていない事に気がついた。



「なぁ、その堕神の名前って何て言うんだ?」



 俺の質問にリーナは「そういえば言ってなかったな」と言って俺に堕神の名前を告げた。



「堕神の名前は増悪(ぞうあく)神ーーーー【増悪神】ゲルマだ」



 

おまけ


 【助けて】


 その頃の釜石さん。


「何だあれ?」 

「さっきからずっとうずくまったままだよな」

(うぅ~、勢いで出ちゃったけど私別に飲み物買う必要ないじゃん。恥ずかしくて戻れないよ~)

「あ、あのどうかしました?」 

「.....助けてください」

「何が?」

「私を穴の中にでも埋めてください。恥ずかしさで死にそう.........」

「いや、何があった」



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 天使は神に対して尊敬とかしとらんのかな 全然尊敬語使わんし
[良い点] 面白いです。次から次へと展開が移り変わって退屈しないです。面白いです。 [気になる点] 更新を再開して欲しいです。よろしくお願いします。 [一言] 面白いです。あと、邪神じゃなくて堕神なん…
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