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やっぱり無職は嫌だよなぁ

「お前って男が嫌いなのか?」



 俺の質問にリーナは首を傾げた。



「男か?別に嫌いではないぞ」



 リーナの答えに俺は意外に思う。

 え?嫌いじゃないのか? 


 

「でもお前朝の時何であんな態度取ったんだ?」

「朝?あぁ、あれか」



 俺がそう言うとリーナは不快そうに少し眉をひそめた。



「あれは話し掛けてきた男に下心が見えたので少々不愉快に感じたから言っただけだ。別に男が嫌いなわけではない」 



 リーナはそう言うがそれって男が嫌いって事じゃないんだろうか。   

 俺はそう思ったがここであることが気になった。



「俺は別にいいのか?」

「き、貴様は一応命の恩人だ。恩人に対してあんな態度を取るわけないだろ。例えあったとしてもそこは我慢している」



 少し恥ずかしそうに前を向き俺から視線を反らしながらリーナは言う。

 そういうものなんだろうか。俺にはよく分からんな。

 俺はそれに「そうか」と言って前を向いた。

 前を向いた直後緩やかな風が俺の体を通り抜ける。

 


「にしても涼しいな。ここ」

「そうだなぁ」



 気の抜けた感じに言う俺にリーナからも少し力の抜けた返事が返ってきた。

 真夏の太陽の日向を遮る木陰のベンチは日向より気温が低く緩やかな風が吹く。

 何だかいい気持ちだな。



「貴様の言った通りだったな」



 緩やかな風と日陰に気持ちよく感じている俺にリーナは突然喋り出した。



「何がだ?」 

「前に貴様は言った。クラスの人達は私を気に入っていると。今日学校に来て色んな人や先生から心配の声を掛けられた。皆私を心配してくれたんだな」



 「まぁ、先生の方は私より貴様の心配というかんじだったがな」とリーナは少し笑いながら言った。あの教師どもそこまでして俺をどうにかしたいのか。

 今日俺寝てなかっただろ。まぁ、それもリーナのお陰だが。



「こんなこと初めてだった。恥ずかしながら少し嬉しかったな、あれは」

「天界に学校はないのか?」

「あるにはあるんだが、あの時は勉強や修行に集中していたせいで録に友人作りなどしてなかったからな」



 そう言いながらリーナは遠い目をした。

 昔を思い出しているんだろうか。

 リーナの目は懐かしそうに目を細めている。



「そういえばお前神の使いの方はどうなったんだ?」



 ふと気になり俺はリーナに聞いた。

 するとリーナは懐かしむのを止め少し言いづらそうな様子になり、



「あ、あぁ、それなんだが.......」



 少し間を開けて言った。



「ーーー実はまだクビになっていないんだ」 



 リーナの言うことに俺は少し驚いた。

 


「へ?そうなのか?」

「うむ、それがなーーーーー」



 驚く俺にリーナは理由を説明した。

 どうやらあの後直ぐにメトロンから通信が来たらしく、「ごめん!!いやーまさかあの異世界人と一緒に送っちゃうなんてねぇー。うっかりしてたよー」とわざとらしい惚け方をしながら謝ってきたらしい。   


 多分メトロンはこの事を上の神に告発されるのを恐れての行動だとリーナは考えたようで、この事をネタにしながらメトロンに地球に留まる事を頼んだら即オーケーしてくれた。

 縦社会なんだな神も。



「でもお前はそれでいいのか?無事とはいえ殺されかけたんだぞ」

「まぁ、それもそうなんだが.....。やはり私はまだ何処かメトロン様を敬っている所があるんだろうな。メトロン様を売るような真似は出来ん。それに.....」

「それに?」

「ここで反発したらーーーー無職になってしまう......」



 リーナの決定的な一言に俺は「あぁ....」となってしまった。

 心なしかリーナの表情が暗く見える。

 小声で再び「無職.....」という単語が聞こえてきたがやっぱり無職になるのは嫌か。

 確かにあれだけの試験をやったのに無職に戻るのは嫌だよな。

 何処の世界も世知辛いのは一緒か。

 


 リーナの周りから若干暗い空気が見え始め俺はどうしたもんかと眺めていると、



「お待たせー!!」



 遠くから救世主(釜石さん)が小走りでやって来た。

 


「ごめーん!!自販機混んでて.....ってリーナさんどうしたの?」

「あー、少し現実に嫌気が差しているというか何というか」



 暗い表情をしているリーナに俺は何と説明しようかと悩んでいると、突然釜石さんはリーナの傍に寄った。



「リーナさん」



 釜石さんに話し掛けられリーナは顔を上げる。顔を上げたリーナに釜石さんは笑顔で言った。



「何があったか分からないけど元気出して!ほら!早くお弁当食べよ!!」



 満面の笑みで言う釜石さんにリーナは固まった。いや魅了されていると言った方がいいだろう。今のリーナには釜石さんが太陽よりも眩しい存在に感じているんだろうか少し感動している。

 すると固まっていたリーナは徐に釜石さんの手を取って言った。



「女神......」

「へ?め、女神?」



 小声で呟くリーナに釜石さんは驚き少し体を後ろに退く。

 やがて正気に戻ったのかリーナはグッ!!と釜石さんを握る手を強めると目を輝かせて言った。



「釜石殿、これから釜石殿の事を紗弥加殿と呼んでもいいだろうか!?」

「へ?べ、別にいいけど」

「そうか!私の事はリーナと呼び捨てで呼んでくれ!!」

「いや、呼び捨てはちょっと。せめてリーナちゃんにするね。私の事もさやでいいから」

「分かった。さや殿!!」



 急にテンションが上がったリーナに釜石さんは若干戸惑いながら笑顔で応えた。

 流石釜石さん。見事に天使の心を掴んだな。

 俺は嬉しそうにするリーナと戸惑っている釜石さんを見ながら少し微笑んだ。

 仲良くなれそうでよかった。



「それじゃあお弁当食べようか」

「あぁ」

「そうですね!」



 釜石さんの声に俺とリーナは応えた。

 流石に今のリーナの返事はどうかと思ったのか釜石さんは「敬語は止めて」とやんわりとリーナに注意する。

 それに対してリーナは残念そうにしていたが、まぁ当然か。  

 それから俺達三人は仲良く弁当を食べ始め、途中和気あいあいと話しながら楽しい一時を過ごすのだった。

 

 

おまけ


 【学校】


「天界の学校って何学んでたんだ?」

「基本は地球の小学校と変わらんぞ。授業はあるし、運動会もある。強いて言うなら神について学ぶ時間があった位だな」

「神についてか?それってどんな感じなんだ?」

「例えば神の好きな食べ物や趣味等様々あるが、特に教師が熱く語っていたのはーーーやはり給料の話だな」

「小学生に何教えてんだよ」



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