自分の意思はちゃんと持とう
二分割後半。
変身後のリーナのステータスです。
リーナ 16歳 女 天使族 Lv108
体力 8080/8080
魔力 8180/8180
スキル
鑑定 光魔法 無魔法の極意 ボックス 剣聖 身体強化(中) 天使化 白羽の裁き 料理 清掃
突然の質問にリーナは少しきょとんとしたが、直ぐに答えが返ってきた。
「メトロン様は我々天使が仕える神の一人。どんな物よりもかえがたい存在だ」
何物も疑わない絶対的信頼。
そんな目でリーナは言う。
俺はそれに「そうか」とだけ言って、少し目を瞑ると、
「お前なんか哀れだな」
静かに言った。
「哀れだと?」
「あぁ、俺にはお前がただ神にすがっている様にしか見えないんだよ」
「な、だ、黙れ!!私がメトロン様にすがっているだと!!そんなことあるわけないだろ!!」
俺の言葉を否定するリーナに俺は確信に付くように言った。
「じゃあお前、さっきまでの会話で一度でも自分の意思が入った言葉があったか?」
「!?」
俺のその一言にリーナは黙った。何も言えないのだ。
それもそうだ。何せ自分が先程まで言っていたことは全部メトロンに対することだけ。
自分の意思何てあるはずがない。
リーナは何も言えずただ黙っていると、
「うるさい......煩い煩い煩い煩い煩い!!」
途端に拒絶し始めた。
「私は別にすがっている訳ではない!!メトロン様がただ私が仕えるに相応しい御方というだけだ!!何も知らないお前が分かったような事をほざくな!!」
そう叫ぶリーナに俺は何も言わないでいると、リーナは俺を見て笑みを浮かべた。
「それに貴様はもう魔力が限界だろう。このまま消えていく奴にとやかく言われる筋合いはない!!」
そう言うリーナに、俺は黙ったまま右手をすっと上げた。
「悪いが、俺は消えない」
そう言って俺はパチンッ!と指を鳴らす。
その瞬間降っていた白い羽が急に止んだ。
「な、何だ!?どうなっている!?」
急に羽が止んだ事にリーナは驚き、もう一度発動させようとするが一行に発動する気配はない。
「何故だ!何故発動しない!!」
発動しないことにリーナは焦る。
焦るリーナに俺は率直にその答えを教えた。
「俺がお前のスキルを消したからだよ」
俺の言葉にリーナは固まり、驚く様にこちらを見た。
「消しただと?スキル自体を?そんな、そんな馬鹿な事が.....」
「そう思うなら自分のステータスを見てみろよ」
俺の言葉を鵜呑みにしたのか、リーナはステータスを確認をするため暫し動きが止まった。
するとリーナの顔は段々青ざめていき、次第にあり得ないとばかりに地面に膝をついた。
「あり得ない、まさか、こんなことが......」
膝をつくリーナは震えながら言った。
俺がしたこと、即ちそれは【削除魔法】を使ってのスキル削除。
ステータスが見えてるならスキルを消せるんじゃないかと思ったがやっぱり消えたな。
俺は目の前で震えているリーナに近づくと、リーナは震え声になりながら言った。
「何故、何故だ.....私はメトロン様に認められた優秀な配下だ。それなのに...何故....」
「そう思うなら俺のステータスを見てみろよ」
俺がそう言うとリーナは俺を見た。
【鑑定】で俺のステータスを確認してるのかリーナは俺をじっと見ながら少しの間固まっている。
暫くするとリーナは目を見開かせながら驚いた表情をしだした。
「何だ......何だこのステータスは!レベルは兎も角、ステータスの上がり幅にスキルの種類...下手したら神に届くぞ.....」
驚きながら言うリーナに俺はへーと思った。
そんなに俺のステータスは凄いのか。
比べる人がいないから分からなかったな。
俺のステータスを見て驚いていたリーナは次第に落ち着きを取り戻し、諦めたかのように頭を項垂らせた。
「殺せ、私の敗けだ。殺せ」
「は?」
突然のリーナの言葉に俺は思わず変な声が出た。こいつ急に何言ってんだ?
別に殺す気ないんだけど。
「何言ってんだ?お前」
「私は貴様に負けた。よってメトロン様の命令も失敗に終わる。私に生きる価値はない。だから殺せ」
覇気のない感じに言うリーナに俺はため息をつきながら呆れ果てた。
まだそんなん言ってるのかこいつ。
「お前まだそんなこと言ってるのかよ」
「........何?」
俺の言葉にリーナはピクッと反応した。
「さっきも言ったがお前はもう少し自分の意思を持った方がいいぞ」
「自分の、意思?」
「そうだ、メトロンの命令なんて関係ない。お前自身はどうしたい。このまま死にたいのか?」
「私は......私は......」
俺の問い掛けにリーナは思うように言葉が出ない。
それもそうだ。今リーナは今までの自分に疑心を抱いている。直ぐに結論はだせないだろう。
「分からない.....今までメトロン様への忠誠心の思いだけで行動してきた私には.....どうしたらいいか分からない.....」
やっと出ない口から振り絞る様にリーナは言った。
分からないか。
「まあ、今はそれでいいんじゃないか?」
「何?」
俺の言葉が予想外だったのか、さっきまで俯いていたリーナの顔が俺の方に向いた。
「別に今すぐ変わる必要はない。今は自分に疑心を抱いているだけでも成長だ」
俺はそう言うとリーナに手を差し伸べた。
「俺としてはこれからも学校に居てくれると嬉しいんだけどな。クラスの奴等はお前の事気に入っているみたいだし」
そう言った後に俺は「あ、でも俺を起こすのはなしな」と付け加えると、リーナは呆気にとられたのか少し固まると次第に可笑しそうにふっと笑った。
「悪いがそれは出来ない相談だ。お前にはしっかりと授業を受けてもらう」
「それは残念だな」
俺とリーナは互いにふふっと微笑むと、リーナは俺の手に手を伸ばした。
互いの手が重なり合い触れようとしたその時ーーーーーー
「は?」
「へ?」
俺とリーナの間に眩い光が現れた。
突然の事に俺とリーナは動けず光に包まれていく。徐々に光は強まりやがて消えていくとその場に俺とリーナの姿はなく、辺りは先程までとは嘘ように静寂に変わった。
おまけ
【人気者の弊害】
「リーナさんって凄いよね。一日で皆とお友達になれて」
「確かに凄いな」
「うん、ちょっと私も声かけてみようかな」
「リーナさ「ねぇリーナさん!ここなんだけどさ!」」
「リーナさ「リーナさん!少し相談があるんだけど!」」
「り、リーナさ「リーナちゃん、この後時間いいかな!!」」
「神谷君、リーナさんと私じゃ住む世界が違うよ.....」
「釜石さん、よく頑張ったな....」
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