何かスキルの能力被ってない?
きりよく行こうとしたら長くなってしまったので二分割。
「では行くぞ!!」
空中に浮いていたリーナが剣を振りかぶりながらこちらに急降下する。
剣は俺の右肩から斜めに斬るようにして向かってきたが、俺は紙一重で横に避けた。
確かに昨日と違うな。スピードが格段に上がっている。
「だがそれでもまだ遅い」
【身体強化(特大)】を掛ければまだ余裕で避けられる。
俺は迫り来るリーナの剣を避けながらタイミングを見計らい、リーナの腹に向かって拳を突き出した。
だがリーナは俺の言葉を聞いても冷静で寧ろふっと微笑んだ。
「それは私も同じだ!!」
リーナがそう叫んだ瞬間俺の突き出した拳が空を切った。
避けられたか。俺はリーナを見失うと後ろから気配を感じた。
「喰らえ!!」
後ろから剣を降り下ろすリーナに俺は咄嗟に【時空転移魔法】でリーナの後ろに転移した。
降り下ろした剣は空振り俺は後ろからリーナの頭に蹴りを入れる。
だがそれも読まれたのかリーナは剣を盾に俺の蹴りを受け止められ鈍い音が鳴った。止められたか。
だがリーナの攻撃はそれだけでは終わらず、蹴りを受け止めた体勢を取ったままリーナの体から灰色の靄が噴き出してきた。
【無魔法の極意】か!
これに触れてはいけない。
俺はリーナから灰色の靄が出るや否や咄嗟に転移して離れた。
リーナから離れると、リーナから出てきた灰色の靄は消えリーナと俺は互いに見つめあう。
「確かに昨日とは違うな」
「当然だ。【天使化】は私が人間の姿を保つための枷を解くスキルだからな。これが私の本来の力だ」
リーナがそう言った瞬間、リーナが持っていた剣が輝き始めた。
「我が愛剣【メラレル】は私がこの姿になった時に真の力を発揮する」
そう言うとリーナは剣を構える。
「行くぞ、戦いはまだまだこれからだ」
「そうかい」
軽口を叩く俺にリーナの剣は更に輝きを増していった。何か斬撃とか飛んできそうだな。
「白斬光!!」
リーナが剣を横に一閃した瞬間、白い光の斬撃が飛んできた。本当に飛んできたな。
俺は飛んでくる白い光の斬撃を上に飛んでかわすと、リーナは読んでいたのか間髪入れずに斬撃をまた飛ばした。
「まだだ!!」
斬撃を飛ばすリーナに俺は冷静に対処する。
「なら今度はこっちから」
転移で飛んでくる斬撃を避けると空中で【火魔法】を使い炎の球をリーナに向けて放った。
炎の玉は深夜の夜を照らし真っ直ぐにリーナへと向かっていく。
「効かん!!」
放たれる火の球にリーナは無魔法を使い灰色の球をぶつけた。
赤と灰色の球は互いにぶつかり合うと少し炎が混じった後消滅していく。
魔法を相殺したことにリーナはふっと微笑んでいたが、それは想定内だ。
「何処を見てるんだ?」
魔法が相殺された瞬間俺はリーナの懐に転移し、拳を後ろに引く。拳には風が纏われ拳の周りで荒々しく吹き荒れている。
油断していたのかリーナは完全に虚を突かれた顔をしていた。
「しまっ!!」
「疾風拳」
風を纏った拳は肉眼では見えない速度でリーナの腹へと突き刺さった。
「っ!!?!?」
リーナは声にならないほどの呻き声をあげながら体をくの字に曲げ吹き飛んでいく。
吹き飛ぶ途中で森の木に激突し何本か木をへし折っていくと勢いが落ちていったのかリーナの体は木に張り付いた。
「ぐっ....かはぁ!....」
あばらが折れたのかリーナは呼吸しずらそうに息をしながらずるずると木から落ちていく。
やがて地面に着くとリーナは腹を抑えながら言葉にならない声でうめき声をあげている。
終わったな。
リーナの様子を見て俺はそう思っていると、
「まだだ....まだ終わっていない......」
リーナは木で体を支えながら立ち上がった。
だがその様子は既に満身創痍でよろよろしていて、もう戦闘は不可能な様子だった。
おいおいまだやる気なのかよ。
幾らなんでもそれじゃあ無理だろ。
「止めておけ。もうお前に勝ち目はない」
「煩い!私はまだ終わっていない!」
俺の言葉にリーナまだだと言ってやろうとする。いやもうその様子じゃ無理だろ。何でそこまでやろうとするんだ?
「なぁ、お前何でそこまでするんだ?メトロンの命令なんだろ?他人からの命令でそこまでする必要なんてあるのか?」
俺は必死に戦おうとするリーナに聞いた。
俺の質問にリーナはふらふらになりながらもこちらを睨んだ。
「理由だと?.....私達天使はメトロン様達神に使える存在。メトロン様がそれを望むのなら私はそれに命尽きるまで尽くすだけだ!!」
声を荒げるリーナに俺は目を細めた。
命尽きるまでねぇ.......。
「じゃあお前はそれでいいのか?他人の為に命を掛ける。例えそれが相手がお前の事をどうでもいいと思っていたとしても。それでも命を掛けるか?」
「なっ!?き、貴様!!メトロン様がそう思っているとでもいいたいのか!!」
俺の言葉にリーナは更に憤慨し支えていた木から離れこちらに近づいていく。
その顔は鬼の形相で怒に満ちている。
やがて一定の距離感まで行くと、リーナは立ち止まった。
「もう貴様は生かしおかん!次で確実に仕留める!!」
リーナがそう叫んだ瞬間背中の翼をバサッ!!と広げる。翼の羽が辺りに散っていくと、突如天空から同じ様に白い羽が辺り一面に散りばり始めた。
「【白羽の裁き】。この羽に触れた者は天使の裁きによって私が敵と認識したものの全てを消滅させる」
リーナの説明に俺はこの羽の恐ろしさに気づいた。まじか、これに触れたら俺は消滅するのか。
何か無魔法と似てるな。無魔法の上位互換みたいな感じか。
俺は降ってくる白い羽に注意しながら【削除魔法】で消していくが、それを見てリーナが不適に笑った。
「ふふふ、消せるものなら消してみろ。貴様の魔力が尽きなければな」
微笑むリーナに俺は黙ったままリーナを見つめた。リーナの言う通り【削除魔法】は一つ何かを消す毎に一定の魔力を持ってかれる。
それを無数にある羽を消していったら何時か魔力切れを起こす。
さて、どうしたもんか.......。
俺は無言で打開策を考えていると、リーナがわなわな手を震わせながら言った。
「メトロン様はな....我が天界で最も高貴なる御方....貴様ごときが口にしていい御方ではない!!そのメトロン様を貶した罪は死を以って償え!!」
凄まじい怒気を含みながら言うリーナに俺は少しため息をついた。
「あのなぁ、メトロン様メトロン様ってお前はもう少し自分の意思を持った方がいいぞ」
「黙れ!!人間風情が図に乗るな!!」
俺の言葉にリーナは聞く耳を持たず更に怒鳴って来た。駄目だこりゃ。何言っても無駄か。
完全に頭が血が上っているリーナに俺はそう思っていると、リーナは俺を見てふっと笑った。
「それに貴様は既に消え行く命。何を言った所で貴様が死ぬことに変わりはない。死にたくなければここでメトロン様を貶した事を懺悔しろ」
勝ち誇っているリーナに俺は少し黙る。さっきから聞いてればまたメトロン様かよ。
リーナの発言に俺は色々と思っていると、途端に口を開いた。
「お前の中でメトロンはどんな存在だ?」
おまけ
【教え方】
「リーナさんって凄いよね。転校一日で皆に頼られて」
「確かにな。俺も成績トップの筈なのに何で言わないんだろうな」
「それは神谷君が一日中寝てるからじゃない?」
「起きてる時だってあるぞ」
「それもそうだね。あ、神谷君。ここどうやるの?」
「23」
「そういうところが駄目なんだと思う」
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