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これで最後でありますように

 リーナに襲われてからの朝の学校。

 俺は寝不足な顔をしながら机に肘をついている。昨日のリーナのお陰でまた寝不足になってしまった。分かってたとはいえ、二度目はきついな。     

 俺は二日間に続く寝不足に苦しんでいると、



「大丈夫?神谷君?」



 釜石さんが心配そうに声をかけてきた。

 何だろう、眠いときに話しかけられても言葉が頭に入ってこないな。 

 意外と誰が話し掛けたのか分からなくなる。  

 まあ、俺に話し掛けてくるのは釜石さんしかいないから問題ないけど。



「あぁ....だいじょう...ぶ」

「全然大丈夫じゃないね」



 眠さで途切れ途切れになる言葉に釜石さんは苦笑しながら言った。

 自分で大丈夫とか言ったが確かに大丈夫じゃないな。俺は眠さと戦いながら頭が上下に揺れる。

 これは流石にやばいな。

 


「保健室で休んできたら?」

 


 眠そうな俺に釜石さんは提案した。

 保健室か。保健室ならベッドとかあるから十分寝られそうだな。

  


「じゃあ、そう....する...」 

   


 俺はそう言って席を立ち保健室に向かった。

 向かう途中足取りが若干ふらふらして壁にぶつかりそうになったが、そこはぎりぎり回避した。

 





ーーーーーーーーーーーーーーーー






 昼休みになり俺は釜石さんと屋上で弁当を食べている。

 保健室で寝ていた事によって眠気はある程度取れ、俺は三時間目の授業から参加した。 



「それにしても先生達の反応面白かったねー」



 授業の事を思い出したのか釜石さんは可笑しそうに笑った。

 俺が戻ってきてから教師達は俺を見て「なんて事だ....今日はあの女神はいないのか....」「くそ.....今日もあいつを野放しにさせてしまうのか....」とかまるで強大な敵を前に口にしている風に言っていた。



 教師達の中での俺っていったい何なんだよ。

 俺は教師達の中での自分の評価が気になったが聞くと録な応えが返ってきそうにないと思い聞くのは止めといた。  

 俺だって真面目に聞くときはあるぞ。  

 週に一回位は。



「俺だって普通に授業を聞くときだってあるぞ」

「それを毎回やるのが普通なんだよ」

 


 俺の訴えは釜石さんに一刀両断されてしまった。いやまあ、それを言われると確かにそうなんだが。俺からしたらこっちの方が普通なんだよ。

 釜石さんの正論に俺は何も言えないでいると、



「それにしてもリーナさん今日お休みだったね。どうしたんだろう?」 



 授業で思い出したのか急に釜石さんが話を変えた。

  


「さあな、風邪じゃないか」



 俺は何気なしにそう言った。今日リーナは学校に来ていない。転校二日目で欠席というのもあれだが、リーナが学校に来ないのも当然だと思っている。

 昨日あんなことがあったんだ。

 寧ろあれで何時も通り学校に来てたら驚きだ。



「やっぱりそうなのかな?折角体育でいいストレッチ相手が出来たと思ったのに....」



 残念がるとこそこなのか?  

 俺は釜石さんが残念がっている所に疑問に思ったが、釜石さんと似たような人は沢山いる。

 勉強を教えて貰おうとした人、

 部活に誘おうとした人、

 何かしらのアドバイスを貰おうとした人等、

 たった一日でこれだけの人がリーナを必要としている。

 誰かに必要とされるか。俺には無縁な話だな。



「早く戻ってくるといいなぁ」

「俺はあんまり思えないな」



 リーナが戻ってきたらまた授業中寝られなくなってしまう。

 またあの苦痛を味わうのか.....。

 若干顔が暗くなる俺に釜石さんは苦笑した。



「寝なければいいのに」

「それは無理だな」



 そう言う釜石さんに俺は即言い切った。

 またあんな事されたら今度こそ寝不足で倒れそうだ。

 もし次リーナが俺の睡眠を邪魔してくるなら、一度スキルでも使ってやろうか。もうばれてるし。

 変な事を考えている俺を横に釜石さんが急におずおずと提案してきた。  

 

 

「ねぇ、もし明日リーナさんが学校に来たらお昼一緒に誘ってみてもいいかな?」

「ん?昼にか?」

「うん、駄目かな?」



 おずおずと聞いてくる釜石さんに俺は微笑みながら了承した。

 


「いいぞ。誘ってみるか」

「本当!なら明日誘ってみるね!!」



 俺が了承したことに釜石さんは嬉しそうにしている。釜石さんが自ら人を誘おうとするとはな。これは相当リーナを気に入ったんだな。

 隣で嬉しそうにしている釜石さんを見て俺は少し微笑ましくなったと同時に少し複雑な気持ちになった。  

 まぁ、次が来ればの話だがな......。



 




ーーーーーーーーーーーーーーー







 その夜俺はまた目が覚めた。

 また【気配察知】に反応がある。恐らくリーナだな。来るとは思ったがもう来たか。

 場所は昨日と同じ、来いってことか。

 えらく挑戦的だな。

 俺は早速【時空転移魔法】でリーナのいる所まで転移した。



「よう、リーナ」



 転移した瞬間に俺はリーナの背後でそう言うと、リーナはやはり分かっていたのか特に驚くことなく冷静にこちらを振り返った。


 

「来たか、神谷夜兎」

「毎度毎度こんな真夜中に来るなよ。せめて昼とかにして欲しいんだが」

「昼では人に目に付きやすいし、戦闘の音が近所迷惑になるだろ」



 なんとも真面目なことだな。

 それだったら俺が寝不足になる事は考えて欲しいもんだ。

 俺はリーナの言葉にそう思った。



「んで、今日は何しに来たんだ?」

「決まっているだろ。神谷夜兎、貴様にリベンジしに来た」



 リーナの言葉に俺はやっぱりかと思った。

 そうじゃなきゃここに来ないだろな。



「言っておくが今の私は昨日の私とは違う。メトロン様にあれの許可を頂いて来たのだからな。【天使化】!!」



 その瞬間、リーナの体が眩い光に包まれた。背中から白い翼が生え、白い髪の毛が少し伸びセミロングヘアーと変わる。

 目の色が黒から金色に変わると、リーナの体はゆっくりと上空に上がった。 



「これが私の真の姿だ。神谷夜兎、こうなったからには貴様に勝ち目はない」



 文字通り上からものを言ってくるリーナに俺は場違いながらも「おぉー」と歓声を上げながら見ていた。

 まじで天使みたいだな。

 


「今一度聞く、素直に私と一緒に来い」 

「じゃあ俺も今一度言ってやろう。一緒に行く気はない」


  

 俺は当然の様に断るとリーナは分かっていたのか冷静に言った。



「やはりそう言うか.......ならまた力付くで連れていくまでだ!!」



 リーナはそう叫ぶと【ボックス】で昨日出した銀色の剣を取り出した。

 またやるのか。まぁ、そうなるとは思ったけどさ。

 俺はやる気満々なリーナを見て少しけだるそうに言った。



「とっとと終わらせて寝るか」



 これが最後ならいいんだけどな。



おまけ


 【天敵】


 職員室


「おい!今日ホワイトがいないみたいだぞ!」

「何!?それではまた神谷は!」

「いや、それが神谷は今保健室で寝ているらしい」

「本当か!?それなら私は一時間目だから問題ないか」

「くそ!私は五時間目だ!」

「私は三時間目か、微妙だな.....」

「あの、今日授業変更しませんか」

「却下」

「ですよね.......」



ーーーーーーーーーーーー



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― 新着の感想 ―
[一言] 先生方仲良いなー。
[気になる点] 「来たか、神谷夜兎」 「毎度毎度こんな真夜中に来るなよ。せめて昼とかにして欲しいんだが」 「昼では人に目に付きやすいし、戦闘の音が近所迷惑になるだろ」 夜中の騒音のほうが昼間よりも…
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