こんなアニメみたいな展開あるんだな
前回急展開と書いたら、変に期待されてて少し焦った.......。
朝になり、俺は若干眠いまま学校に行った。
昨日の覗き魔のせいであの後寝ようと思っても目が冴えて余り眠れなかったんだよな。お陰で寝不足だ。
覗き魔の奴、次会ったら確実に捕まえてやる。
俺は一人眠そうにしながらそう思っていると、ふと隣で静かに礼儀正しく本を読んでいるリーナが目に入った。
本当何か変わってるよな。ちゃんと感情があるのか?
俺はじっとリーナの方を見ていると、流石に気づいたのかリーナは顔を動かさず横目で俺をジロッと睨んできた。
睨まれた俺は直ぐに顔を前に向いた。
じろじろ見すぎたな。睨まれてしまった。
リーナに睨まれ俺は思わず肩を竦めると、リーナの目は直ぐに本に向いた。
まあ、変わってはいるが害はなさそうだな。
俺に危害を加えなければ何でもいいか。
そう思い俺はリーナを見るのを止めた。
この時俺は自分が如何にリーナの性格を楽観視していたか、後になって後悔した。
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授業に入り俺は何時もの如く眠りに就いている。
教師の声が良いBGMになり俺はスヤスヤと眠っていると、横から何やら揺らせれている事に気づき顔を上げた。
「おい、起きろ」
揺らしていたのはリーナで、リーナは俺が起きると不機嫌そうに眉間にしわを寄せていた。
「授業中に寝る奴があるか。とっとと起きろ」
少し怒り気味に言うリーナに俺は眠そうにしながら言った。
「あー、俺の事は気にするな。ほっといてくれ」
「ほっとけるわけあるか。折角の先生の授業を無駄にする気か」
いや、俺はもう一年の予習を済ませてあるから大丈夫なんだが。
俺は眠そうにあくびをしながらそう思った。
てか何だこいつ。態々寝ている人を起こすとは何処まで真面目なんだ?
しかもこれあれだな、反論したら更にめんどくさくなる奴だ。
俺はリーナの言動にめんどくささを感じていると、先程の会話を聞いたのか授業の先生がこちらに近寄ってきた。
ほら、騒ぐから先生が来ただろ。
先生は俺とリーナに近づくと、途端に嬉しそうにしながら言った。
「ホワイト.....もっと言ってやってくれ」
いや待て先生。何でそんなに嬉しそうなんだよ。そこは叱るとかしろよ。
「はい、先生の授業の有り難さを私がきっちり教え込んでおきます」
「ホワイト、お前って奴は......神谷を頼むぞ」
「お任せ下さい」
リーナの言葉に終いには先生は若干涙目になっていた。そこまで感動するか普通?そんなに俺の存在が厄介だったのか、リーナの言動に感動したのかは分からないが、リーナは真剣な眼差しで俺を見てきた。
「貴様が寝そうになったら私が何時でも起こしてやるからな」
本気の籠ったリーナの言葉に俺は思わず姿勢を後ろに倒した。
あ、これまじでやってくる奴だ。
真剣な目をしながら言うリーナに俺はそう確信した。
勘弁してくれ..........。
俺は心の中でそう呟いたが、この思いは誰にも届くことはなかった。
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昼休みになり俺は釜石さんと屋上で弁当を食べていると、釜石さんが心配そうにしながら言ってきた。
「大丈夫?神谷君?」
「大丈夫......多分」
心配する釜石さんに俺は若干覇気のない疲れた様子で言った。
あれから本当にリーナは俺が寝る度に起こしてきた。その度に先生達が感激しながらリーナに感謝していたが、もうそこはどうでもいい。
重要なのはこのままでは俺は席替えまでの数ヵ月間ずっと眠れないままでいることだ。
午前中でこれだ、午後の授業で眠れなかったら俺はどうなってしまうんだ?
考えるだけで恐ろしい。
リーナ、ある意味モンスターより凶悪な存在だな。
「にしても凄いよね。リーナさんって」
俺を見てリーナの事を思ったのか釜石さんが言った。
「成績優秀だし運動神経良いし優しいし」
「優しいのか?」
「うん、体育の時私と一緒にストレッチやってくれたよ」
それは単にお互いにやる人が居なかったからじゃないんだろうか?
俺はそう思ったが嬉しそうにしている釜石さんを見て言うのは酷だろうと思い言うのを止めた。
「俺からしたら、ただの悪魔に見えるよ」
「それは神谷君だけだと思うよ」
釜石さんは苦笑しながら言った。
まあ確かに釜石さんの言うことは間違っていない。淡々としているが受け答えはちゃんとするし、勉強で分からない所があれば丁寧に教えたくれたりする。ただ超がつくほど真面目なだけだ。
あれ?そう考えるとリーナが俺に対してだけあれなのは俺のせいなのか?
俺は自分の行いについて改めて考えようとしたが、眠すぎて頭が働かなかった。
くそ、元を正せば全部あの覗き魔のせいだ。
あいつが俺の睡眠を邪魔しなければこんなことには.......。
俺は責任転嫁も甚だしい事を思っていると、
「そういえばリーナさん、足首に怪我してたんだよね」
釜石さんから興味深い事を聞いた。
「足首に怪我?」
「うん、ストレッチしてるときに見つけたの。大丈夫?って聞いたけど本人は問題ないって言ってた」
足首に怪我か。そういえば昨日の覗き魔もロウガに噛まれてたよな。
“ロウガ”
“何ー?主ー”
“昨日の覗き魔の奴の何処かを噛んだか覚えてるか?”
“うんとねー、足首だった気がする”
ロウガの噛んだ所も足首。これは偶然なんだろうか。俺は少し考えたが今思えば出来すぎている。
この時期に転校して来て、それと同時に覗き魔にも出会って、その翌日には足首に怪我。
全て繋がっているな。
おいおいまさか、俺は自分が考えている事に合点がいくことに気がつくと、直ぐにその考えを振り払った。
まさかそんなアニメみたいな事があるか。
考えすぎだろ。
俺は有り得ないとばかりに考えるのを止めたが、頭の片隅にはまだその確信が捨てきれないでいた。
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その夜、俺はスヤスヤと眠っていると、また不意に目が覚めた。【気配察知】に反応がある。やっぱり来たのか。しかも今度は昨日より距離が離れている。場所は近くの山からか。念のため【気配察知】の範囲を広くして正解だったな。
「ロウガ」
“何~?主~?”
「また覗き魔が出たぞ」
“本当!?”
「あぁ、今度こそ取っ捕まえるぞ」
”分かった!“
昨日の失敗を引きずっていたのかロウガはやる気満々に返事をした。
さて、今度こそは逃がさねぇぞ。
俺はそう思いながらまた覗き魔の後ろに転移した。
「よう、また来たのか。覗き魔」
「!?」
後ろに転移した瞬間声を掛けると、流石に二度目だからか覗き魔を俺が声を掛けた瞬間に後ろを向き光を放った。
だがそれは俺も同じだ。
「二度目は通じねぇよ」
覗き魔が光を放った瞬間に俺はまた覗き魔の後ろに転移し【首トン】をした。
だが俺の首トンは覗き魔の首に届く前に避けられ、俺と覗き魔は再び対峙する形になった。
そして丁度月明かりが覗き魔の居るところを照らし始め、覗き魔の正体が俺の目の前に飛び込んだ。
やっぱりか.......まじでアニメみたいだな。
目の前にいた人物に俺は少し驚きながらも、予想していた事に冷静にその人物を見た。
「こんな真夜中にいったい何の用だ?リーナ」
目の前にいる人物、リーナに俺は問い掛けると、リーナは少し黙った後口を開いた。
「........どうやって気づいた?」
「索敵能力には自信があるんでね。それにお前の足の怪我、ロウガに噛まれた奴だよな」
警戒しながら足首を少し見るリーナに俺は余裕そうに言うと、俺はリーナにもう一度問い掛けた。
「もう一度聞くぞ、いったい何の用だ?リーナ」
「.....私はただ任務をしに来ただけだ」
もう一度問い掛ける俺にリーナはそれだけ言った。任務って、あくまでその内容は言うつもりはないんだな。
「じゃあ質問を変える。お前何者だ?」
俺の質問にリーナは黙ったまま目を少しの間閉じると、「....まぁ、言っても支障はないか」と小声で呟くと、やがてこう切り出した。
「私はリーナ・ホワイトじゃない。ただのリーナだ。神谷夜兎、メトロン様の命によりーーー貴様を異世界に連れていく」
色々突っ込みたい所があるかもしれませんが、次回色々分かります。
おまけ
【永遠の隣】
放課後
「ホワイト聞いたぞ。あの神谷を寝させなかったらしいな」
「はい、先生のありがたい授業に寝させる訳にはいかないので」
「かぁ!嬉しいこといってくれるね!よし!決めた!ホワイト!」
「はい」
「お前をこれからずっと神谷の隣にする!これからも頼むぞ!ホワイト!」
「お任せ下さい」
「ひぃ!!」
「どうしたの?神谷君」
「何か寒気がした」
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