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お約束展開満載だな

 翌日、俺は一人沢山の人が行き交うショッピングモールの中で立っていた。

 今日は夏蓮と出掛ける予定なんだが、夏蓮に何故か「先に行って」と言われ俺は先に来て夏蓮を待つ事になった。



 一緒に行けばいいのにと思うんだが、それを夏蓮に言うと「いいから行って」と少し睨まれながら言ってきたので俺は素直に従うことにした。

 一々別々に行くのってめんどくさくないか?

 俺はそう思っていると、目の前からこちらに向かって少し小走りで来る夏蓮が見えた。



「お待たせ」



 俺の下まで来ると夏蓮はそう言った。

 もしかしてそれが言いたかったのか?



「いや、そんなに待ってないぞ」


 

 俺は取り敢えずお約束的な感じの言葉を言うと、夏蓮の服装を見た。

 今日の夏蓮はポニーテールの髪にジーンズ、上にカーディガンを羽織っていて大人の雰囲気が感じる。やっぱり可愛いな。流石は我が妹。



 俺は夏蓮をじっと見ながらそう思っていると、



「じろじろ見すぎ」



 ジト目になった夏蓮に言われた。


 

「いや、可愛いなと思ってな」 

「........ばか」



 俺の言葉に夏蓮は後ろを向いて歩いていった。今日はお互いに行きたい所を行くことになっているので、最初は夏蓮が案内する。

 夏蓮の顔を見ると口許がひくひく動いている。嬉しいときの反応だ。全く、素直じゃないな。俺はそう思い苦笑しながら夏蓮の後を追った。



 実際夏蓮が可愛いのは本当だ。

 その証拠に、



「おい、見ろよあの娘」

「滅茶苦茶可愛いくね?」

「高校生位か?」



 周りの男共は夏蓮の方に視線がいっている。

 服装や雰囲気から年齢が上に見られがちだが、それはそれでありだな。

 


「声掛けてみるか?」

「いや、連れがいるだろ。彼氏か?」

「でもチャンスはあるんじゃないか?」



 だがその可愛さ故に声を掛けてくる輩もいる。

 連れがいるのにチャンスもなにもないだろ。

 てか人の妹に手を出したら容赦しねぇぞ。

 俺は先程会話していた男達に軽く殺気を放つと、男達は俺の殺気に気づきそっぽを向いた。

 俺がいる間は夏蓮には指一本触れさせん。

 俺は心のなかでそう思っていると、



「.......ここ」



 夏蓮が目的の店の前で立ち止まった。

 その店はレディースの専門店の様で多種多様な服が並んでいる。

 男には入りにくい場所だな。



「行こ」

「あ、あぁ」



 俺は若干戸惑ったが夏蓮と一緒に入るなら問題ないと思い店内に入った。

 店内で服を物色している夏蓮を余所に俺は暇なので店内を見回した。店の中はピンクや黄色といった壁に、男には無縁な女物の服に加え、店員は全員女性ときた。



 男が入る隙がないな。

 俺はそう思っていると、俺達と同じ服を物色しているカップルを見つけた。

 彼女の方は楽しそうに服を選んでいるのに対し彼氏の方は少し疲れたような顔をしている。

 分かるぞその気持ち。俺は彼氏の方を見ていると目が合った。



 互いに同じ状況にいるからか彼氏の方はすぐに察し「お互い大変ですね」的な目をしながら軽く会釈をしてきた。その彼氏に俺も会釈を返すと、夏蓮がある程度服を選び終わったのか手に何着か持ちながら言ってきた。

 

 

「試着したい」



 俺は試着をしたい夏蓮と一緒に試着室の前まで来ると、夏蓮にここで待っている様に言われ俺は夏蓮が着替え終わるまで待つ。

 暫くすると着替え終わったのか試着室のドアが開いた。

 


「どう?」



 そう言いながら夏蓮は俺に見せてきた。

 短めのスカートに半袖という少し肌寒い感じがするが先程の大人っぽい雰囲気とは打って変わって子供らしい可愛い印象を受ける。



「似合ってると思うぞ」 

「.....それだけ?」



 俺の言葉に夏蓮は満足出来なかったのか更に追求してきた。

 これじゃまだ足りないか。ならもっと語ってやろう。



「そうだなぁ、さっきの服装と違って夏蓮の可愛らしさが出ていて夏蓮の綺麗な足とくびれが強調され子供っぽい可愛らしい雰囲気が出てるな。少し短めのスカートが夏蓮の足を長く見せているが、そことは別に色気も少しも出ていて男子の視線を釘付けにするだろうが、それも一つの魅力だとーーーーーー」


「ごめん、やっぱりいい」



 俺が語っていると夏蓮は若干引いた表情をしながら俺の話を止めた。

 いや聞きたがってたから語っただけだろ。

 俺は解せない気持ちになったが、次の服に関しては控えめに言うことにした。







ーーーーーーーーーーーーーーーー








 この後も何着か服を試着したが、結局気に入ったのが見つからず何も買わないまま俺達は店を出ていった。

 あんだけ見て何も買わないって.....。

 夏蓮に特に疲れた様子もないし女子は何時もそうなんだろうか。



 俺は長々とした買い物に少し疲れながら歩いていると、夏蓮が雑貨屋の前で止まった。

 


「どうした?何かいいのがあったのか?」

「何でもない」



 俺は夏蓮に聞くが、夏蓮は何でもないと言って直ぐに歩き出した。歩く途中無言なのもあれなので、俺は夏蓮に話を振った。



「そういえば、あれからあの三人とはどうなってるんだ?」



 あの三人とは以前夏蓮に嫌がらせをしていた三人のことである。前会った時は何か仲良さげにしていたが今はどうなんだろうか。



「別の意味で鬱陶しくなった」



 夏蓮曰く、あれから嫌がらせはなくなったが代わりに毎日俺について色々と聞いてくるらしい。

 好きな趣味や女性のタイプ、家ではどんなことをしているか等色々聞かれ夏蓮はそれに一々応えているようだ。俺としてはあらぬことを言われてないか心配なんだが。



 元々夏蓮に嫌がらせをしていた原因は夏蓮が異常なまでにモテる事に対しての嫉妬だったみたいで、あれ以降三人は夏蓮と普通に接していく内に反省したらしく後日夏蓮にちゃんと謝りに来たらしい。

 夏蓮はそれに対しては許したみたいだが、身内の事は余り喋りたくないから俺の事を教えるのについてはやっぱり断ろうとした。



 だが、それを聞くと三人はまた土下座して懇願してきたらしく、それを見た夏蓮は流石に駄目とは言えなくなり折れたとのことだ。

 てかまたって何だまたって。もしかして他の時に土下座させた事あるのか?


  

 俺はそれについて聞いたら、夏蓮に「ヒミツ」と言われ話してくれなかった。

 いったい何したんだ?

 因みに、今の三人のあだ名は【土下座トリオ】と呼ばれているらしい。  

 本当に何したんだ?



「まぁ何にせよ、よかったな。和解できて」

「余り嬉しくない」



 少し思い出したのか夏蓮は少し苦い顔をしていた。

 いったいどんなこと聞かれてるんだ?俺は少し気になったがあまり掘り返すのはあれだと思い聞くのを止めた。



 暫く歩き、今度は俺の目的地である本屋に着いた。俺と夏蓮は店内に入ると、俺は先ず真っ先にラノベのコーナーに進んだ。



 今日は読んでいるラノベの新刊が発売されるからな。必ずゲットしなくては。

 俺はラノベコーナーに着きお目当てのラノベを探していると、直ぐに発見した。



 俺はそれを手に取り少し嬉しそうにすると、夏蓮が不思議そうな顔をしながら言った。



「そんなに好きなの?」

「あぁ、これを読むのが俺の楽しみだからな。良ければ今度貸すぞ」 

「気が向いたらね」


 

 読んだら絶対はまると思うんだけどな。 

 俺はそう思いながらレジに向かい本を購入した。


    

 本も買い終わり時間を確認すると丁度お昼の時間になっていた。

 殆どの時間を夏蓮の服に使われた気がするがそこは気にしないでおこう。

  


 俺と夏蓮はお昼を食べるべくレストランのある階を目指すと、急に夏蓮が立ち止まった。

     


「?どうした?」

「ちょっとトイレ」    


  

 「直ぐ戻る」と言って夏蓮は少し小走りで走っていった。そんなに我慢してたのか?

 俺は夏蓮がトイレから戻ってくるまで待つことにした。

 だが夏蓮は何時まで経っても戻ってこず、俺は不審に思った。

 どうかしたのか?

 俺は夏蓮を探そうと歩いていると、



「ねぇねぇいいじゃんよぉ」

「俺等と遊ぼうぜぇ」


   

 二人のチャラ男にナンパされている夏蓮を見つけた。夏蓮は「どいて」「急いでるから」と先を急ごうとしているが二人のチャラ男がグイグイと夏蓮に迫り動けずにいた。



 俺はそれを見た瞬間即座に夏蓮の下に行き、夏蓮を自分の肩に抱き寄せながら言った。



「人の妹に何してんだよ?」



 そう言いながら俺は殺気を放った。



「え、あ、いや」

「す、すいやせんしたぁ!!」



 二人のチャラ男は俺の殺気に怯えながら去っていった。

 俺はチャラ男が去って行くのを確認すると、夏蓮から離れた。

 俺が離れた事に夏蓮は若干残念そうにしていたが今はそこはいい。


 

「大丈夫だったか?夏蓮」

「うん、大丈夫」



 俺はそう言う夏蓮にホッとした。

 手遅れになる前でよかった。もしなんかあったらあいつら消し炭にしてたかもしれん。

 俺は夏蓮の無事に安心していると、



「あの、これ」



 夏蓮が手に持っていた紙袋を差し出した。

 俺はその紙袋を受け取ると中を開けた。

 中から銀色のチェーンに真ん中に青い石が入っている十字架のネックレスが入っていた。これさっき夏蓮が雑貨屋で見ていた奴だな。



「くれるのか?」

「うん、お礼の品」


 

 お礼の品って.....。言い方はあれだが要はプレゼントってことか。

 夏蓮からのプレゼントか。まさか夏蓮からプレゼントが貰えるとは。

 俺は夏蓮からのプレゼントに嬉しく思っていると、



「お揃い」



 夏蓮が別の所から同じ十字架のネックレスを取り出した。ただ夏蓮の十字架の方には赤い石が入っている。色違いか。



「確かにお揃いだな」



 俺はそう言って軽く微笑むと夏蓮も釣られるように少し微笑んだ。



「それじゃあ昼御飯食べに行くか」

「うん」

 


 俺と夏蓮は隣り合いながら歩き出した。

 この後も俺達二人は楽しみながら店を回った。

 帰り道二人の胸元には色違いの十字架のネックレスが吊る下げられ、真ん中の石が小さく光っていた。

おまけ



 【主人公、ヒロインの座】


「何か最近夏蓮ちゃん私よりヒロインっぽいよね」

「まあここ最近出番が多いからな」

「メインヒロインの座は私が貰う」

「何か敵対されてるんだけど」

「取られないように頑張れよ」

「他人事だと思って......」

「他人事だからな」

「ついでに主人公の座も貰う」

「一緒に頑張ろう。釜石さん」



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