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モンスター同士の戦いって中々えぐいな

「じゃあロウガの修行を始めよう.....と言いたい所なんだが、お前どうやって強くなるんだ?」

“分かんなーい”



 分かんないか。まあそう言うと思ったけどな。

 この世界にはモンスターはいない。

 レベルを上げるなら先ず経験値が必要だ。その経験値を得るためには何かを倒す必要がある。

 モンスターがその一般的な例なんだが、何もモンスターだけが経験値の対象じゃない。



 さっきも言ったが経験値は何かを倒す、つまり殺すことで手に入る。

 つまりそれが例え人間だとしても経験値は手に入るんだ。まあ、それでも経験値は少ないけどな。殆どの人は大概レベル1だから貰える経験値はたかが知れている。



 流石に経験値の為にロウガに人殺しはさせる訳にもいかず、俺はどうしたものかと悩んだ。

 せめてモンスターが居ればいいんだけどな、モンスターが。



“主モンスター呼べないの?”

「いや無茶言うなよ。モンスターなんて呼べる訳が.......あるかもしれない」


 

 ロウガの一言に俺はあることを思い付いた。

 そうだよ、ロウガの言う通りモンスターを呼べばいいんだよ。

 俺はそう思い早速お目当てのスキルを創った。



“スキル、【召喚魔法】を習得しました”



 これだ。このスキルがあればモンスターを呼び出せる。

 


「それじゃあモンスターを呼ぶぞ、ロウガ」

“うん、分かった主ー!”

「来い、ノーマルスライム」



 俺はそう唱えると目の前で小さな魔法陣が現れ、その魔法陣の中から青色のスライム、即ちノーマルスライムが出てきた。

 ノーマルスライムは出てくるとポヨンポヨンと地面を飛びはね始めた。前にも見たがそれ習性なのか?



 俺はノーマルスライムの動きに不思議に思っていると、ロウガが俺の前に出て「がるる!」と唸っている。やる気満々だな。



「よし、やれ!ロウガ!」

「わん!」



 俺はロウガに命じるとロウガは真っ直ぐノーマルスライムへと向かっていき突進をかました。

 ノーマルスライムはロウガの突進を受けて後方に飛んでいくと体がどろりと溶け光の粒子となって消えていった。

 よわ!まさかの一撃か。



 俺はノーマルスライムの貧弱さに驚いていると、ロウガがこちらに向かって走ってきた。

 


“主ー、やったよー!”



 嬉しそうにしながらこちらを見てくるロウガに俺は思わずロウガの頭を撫でた。

 ロウガは気持ち良さそうにしながら尻尾を振る。勝てたのが余程嬉しかったんだろうな。



「よくやったぞロウガ。だがまだ安心するなよ。ノーマルスライムは多分モンスターの中で一番最弱だからな」

“分かったー!”



 分かったならいい。俺はロウガの頭から手を離すと次のモンスターを呼ぶ準備をした。



「来い、ゴブリン」



 するとまた目の前に魔法陣が現れ、中からこん棒を持った緑色肌の子供位の大きさのモンスター、ゴブリンが現れた。



「ギィィギィィ!!」



 現れたゴブリンは俺とロウガを見ると威嚇の声を鳴らした。

 


「ロウガ、今度の敵はさっきみたいにはいかない。十分注意しろよ」

“分かった!”

「よし、やれ!」

「わんわん!」



 俺の号令の下ロウガは勢いよくゴブリンの方に飛び出していった。

 レベル的には二体ともそこまで差はない。

 果たしてどうなるか。

 俺はロウガの戦いを見守ると、ゴブリンがロウガに向かってこん棒を降り下ろした。

 降り下ろされたこん棒を見たロウガは真っ直ぐから直角に避けこん棒を回避。



「わん!」



 そこから素早くターンしロウガはゴブリンに体当たりをした。

 ゴブリンは体当たりされた方向に倒れると、ロウガはその上に乗りゴブリンの首に噛みつき喉を噛み砕く。

  


「ギィィ.......!!」



 噛みついた所からどばっと血が吹き出したが、ロウガは依然として噛むのを止めない。

 ゴブリンはロウガに噛まれじたばたと暴れるが次第に力尽きピクリとも動かなくなった。

 やがて光の粒子となって消えていくと、ロウガの勝てて嬉しいのか「アオーン!!」と遠吠えをした。おぉ、何か狼っぽいな。



 しかしあれだな、何となく分かっていたがモンスター同士の戦いってーーー中々エグいよな。

 喉を噛み千切る瞬間なんて初めて見たぞ。

 しかもゴブリンが消えたというのに何故かロウガの顔中にある血が消えていない。何かグロいな。



“主ー、やったよー!”



 ロウガは吠え終わると顔中の血をぽたぽたと垂らしながら俺の下に走ってくる。

 うわ、何か汚い。

 ロウガは俺の下まで来ると「頭撫でてー!」という目線でこちらを見てくるが正直触りたくないな。



「よ、よくやったな。ロウガ」

“頑張ったから頭撫でてー!”



 俺が頭を撫でないからか、ロウガは直接言ってきた。いや、触るのはちょっとなー。



“?どうしたの?”

「いや先ずその血をだなー」



 そう言う俺に何時まで経っても頭を撫でてくれない事に痺れを切らしたのか、ロウガは強行手段に出てきた。



“いいから頭撫でてよー!”

「わっ!馬鹿!飛び付くなって!」



 顔中血だらけのまま俺の胸に飛び付くロウガに俺は紙一重で避けた。



“何で避けるのー!”

「だから先ずその血をだな.....ちょっと待て、こっちに来るな!」

“いいから撫でてよー!”



 先ず血を落とそうという俺の言葉に耳を貸さずロウガはまた俺に向かって真っ直ぐ走ってきた。俺はそれに逃げるようにして反対側の方へ走る。何この追いかけっこ。



 その後俺はロウガに【水魔法】でロウガに付いた血を落とし散々撫でくりまわした。

 修行もちゃんと続け、ロウガは更に強くなった。

おまけ



 【ロウガでポケ〇ン】



「そういえばさっきロウガに命令した時、何かポケ〇ントレーナーになった気分だったな」

“ポケ〇ン?”

「地球のゲームの事だ。折角だから少しやってみるか」

“何を?” 

「ポケ〇ンバトル」



「ロウガ、突進だ!」

「わん!」

「ロウガ!噛み付く攻撃!」

「わんわん!」

「ロウガ!ジャイロボール!」

「わんわんわんわん!!」

「......成り行きで言ったが本当に出来たよ」



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