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一年が経ちました

 俺は高校生になり新しい制服を着て鏡の前で立っていた。



「.........似合わねー」



 紺色のブレザーにズボン、ネクタイにワイシャツとありきたりの制服なんだが、この制服を着て死んだような目をしてこちらを見ている自分を見て、何処となく嫌悪感を感じる。



 すると部屋の廊下から夏蓮が通り掛かり俺の制服姿をじっと見つめてきた。



「........似合うか?」

「その死んだような目を治せば似合うんじゃない?」

「さいで」



 我が妹ながら辛辣だな。

 夏蓮は今年で中学三年になり髪をポニーテールにし何時もと違う制服を着ている。



 今日はポニーテールか。俺は夏蓮の髪型を見て思った。夏蓮は趣味でよく髪型を変えている。

 その種類は多種多様で、週に一回のペースで変わっていてめんどくさくないかと思う。


 

「お前は似合うな。その制服」

「あっそ」



 そう言って夏蓮はプイッとそっぽを向いた。

 夏蓮は基本表に感情を出さないが俺は兄だ。

 夏蓮のちょっとした動作から今夏蓮がどう思っているかなんて直ぐ分かる。



 例えば今夏蓮はそっぽを向きながら口元を若干ひくひくさせている。これは嬉しいのを我慢している反応だ。

 何故隠しているのかは知らないが妹も思春期だ。隠したくなる年頃なんだろう。 

 だが妹よ、兄にはそんな小細工は通用しないぞ。俺はそう思って口をにやつかせていると



「何にやついてるの?気持ち悪いよ」



 やっぱり辛辣だな。

 俺は苦笑していると下の階から母さんの声が聞こえた。



「二人とも!そろそろ時間よ!」

「今行く。行くぞ夏蓮」

「ん」



 そう言って俺と夏蓮は階段を降りた。



「はい二人とも、お弁当」

「ありがとう、母さん」

「ありがとう」



 俺と夏蓮は母さんから弁当を貰うと鞄の中に仕舞った。

 


「今日から高校生ね。入学式は行けないけどしっかりやるのよ」

「わかってるよ」

「夏蓮ちゃんも、まだ道が分からないかもしれないけど気をつけてね」

「うん」

「それじゃあ行ってらっしゃい!」



 俺達は母さんに見送られて玄関を出た。

 あの後色々あって俺達は引っ越しした。

 原因はほぼ俺のせいなんだがな。



 目が覚めてから俺は先ず警察の事情聴取を受けた。

 警察には気がついたら意識が失っていたということにしてある。

 異世界に行きました何て頭の可笑しい事は言えないからな。



 警察はそれでどうにかなったが、次にマスコミが来るようになった。

 ニュースや報道番組でも話題になり、一時期別のクラスにいた俺からしたら悪い意味で注目の的だった。


   

 新聞記者や報道陣が家に押し掛けて来る事態も起き、俺達は引っ越しを余儀なくされた。だから正直家族には申し訳ないと思っている。



「私こっちだから」

「そうか、道に迷うなよ」

「余計なお世話」


 

 そう言って夏蓮と別れ、俺はこれから通う高校へと向かった。





ーーーーーーーーーーーーーーー





 高校に着くと校門の前では沢山の生徒達で賑わっていた。

 俺はそこで胸元に花を飾られると体育館へと案内され、始まるまで各自席に座って待つように言われたが、正直面倒くさい。



「.......さぼるか」



 終わり際に教室で合流すれば何とかなるだろ。

 俺はそう思いこっそり入学式から抜け出した。



 



ーーーーーーーーーーーーー






 抜け出したのはいいが何処に行こうか。

 俺は今だ馴れていない学校内をうろついていた。学校内は意外と広く俺は適当に歩きながら取り敢えず確認がてらステータスを見た。



 神谷夜兎 16歳 男 人族 Lv93


 体力 9800/9800

 魔力 9600/9600


 スキル


 鑑定 超成長 魔法創造 睡眠超強化魔法 火魔法 水魔法 土魔法 風魔法 光魔法 闇魔法

転移魔法 空間魔法 

剣術 拳闘術 身体強化(中)



 何というか、少しやり過ぎた感がある。

 【睡眠強化魔法】は毎晩寝る前に魔法を掛ければ寝た分だけ経験値を得られる魔法だが、一年間毎日掛けたらこうなった。

 


 しかも途中で【超成長】のせいか【睡眠強化魔法】から【睡眠超強化魔法】に変わっていた。そのお陰で貰える経験値も増えた。

 まあ、別にレベルが上がるのは悪いことじゃないけど。



 スキルについてだが、【火魔法】や【水魔法】といったのは何となく欲しかったから取り敢えず創っといた。いや、何か何時か俺も異世界に行ったときにお前全属性持ちか!!何て言われてみたいじゃん?



 でも創ったのはいいんだが使い道がろくになかったんだよな。だからスキルがレベルアップする事もなくこのままだ。

 この現代世界では魔法はお呼びじゃないってか。


 

 【転移魔法】はただ俺が楽に移動するための手段として創った。これは便利なんだが、これを使ってると何か駄目人間になりそうな気がして途中から余り使わなくなった。 



 【空間魔法】はラノベでよくあるような無限収納みたいなのをイメージして創った。他にも色々出来るが全くと言っていいほど使い道がない。無限収納の方も別に収納するものもないし無駄な感じがした。



 【剣術】とかは適当に棒とか振ってたら何か手に入った。普通そこは棒なら棒術なんじゃないかと思うかもしれないが、そこは認識の違いだ。俺がこの棒を剣と思えばそれは【剣術】に変わる。そんな違いだ。といってもこれもそんなに役に立たないけどな、辛うじて包丁捌きが上手くなった位だ。まぁ、料理はあんまりしないけどな。



 【拳闘術】は最初体術から超成長で進化した物だ。これのお陰で俺の今の身体能力はもの凄く上がった。一回デカイ岩に本気で殴ってみたが簡単に破壊できた。その時俺は誓った。人にはやらないようにしようと。



 【身体強化】も似たような物だ。最初はただの【身体強化】だったが、【超成長】で【身体強化(中)】まで進化した。これを使えば先程の【拳闘術】何て比じゃない位に身体能力が上がるようになる。



 何回か試した事があるが、多分二度と使わないと思う。死人が出るから。

  


 そんなこんなでこの一年で色々力を付けたわけなんだが、果たしてこれは必要だっただろうか。

 魔法何てあっても特に使い道ないし、剣術とかのスキルも俺別に喧嘩とかするタイプじゃないし。寧ろそういうのは全力で回避していく方だ。

 そう考えていくと本当に使い道ないな、これ。

 


 俺はそんな事を思いながら学校内にある桜を眺めながら歩いているとーーーーー目の前で女生徒が倒れていた。










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