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精神弱すぎでしょ

 ドラゴンが出現する少し前、夏蓮は手紙で呼び出され一人体育館裏で佇んでいた。



(誰もいない........?)



 私は呼び出された時は基本遅く来る方だ。

 告白断るのに態々待つのは嫌だから。  

 約束の時間を過ぎているのにまだ誰も来ていない事に私は不思議に思っていると、



「遅かったわね~」



 後ろから何時もの嫌な声が聞こえた。

 私は後ろを向くとそこには今日妙に大人しかった三人組がいた。

 三人組は私が来ている事にまるで上手くいったかのようにニヤニヤしている。

 私は三人の顔を見て悟った。これ、嵌められた。



「何の用?」



 私は少し睨みながら言った。



「そう睨まないでよ~」 

「そうそう」

「私達お友達でしょ?」



 誰がお友達だ。嘘の手紙使って呼び出す友達なんているわけないでしょ。



「だから何の用なの?」

「まあそう焦らないでよ」



 そう言って三人組は私を追い込む様にしながら私の周りに立った。

 背中には壁がある。逃げ場がない。



「神谷さんさ、最近調子に乗りすぎだと思うんだよね」 

「何時もみたいに何もしないでいればいいのに昨日あんな事言い出すんだもん」

「だからここらでお灸を据えてあげる」

  


 三人は別々にそう言うと真ん中の奴がポケットからハサミを取り出した。



「神谷さんよく髪型変えてるよね?趣味なの?」

「だったら私達が髪型変えてあげるよ」



 三人は私にジリジリと近付いてくる。

 私は手に持っているハサミを見てこれからされることに恐怖を感じると、校舎の方に逃げようと無理矢理押し通ろうとした。


 

「おっと、何処行くの?神谷さん」



 だが逃げようとしたが三人組の一人に手を掴まれた。

 もう一人にも反対側の手を掴まれ、私は身動きが出来ない状態にされた。



「それじゃあ、散髪を開始しまーす」


    

 最後の一人に無造作に髪の毛を掴まれ三人組はきゃはは!!と笑いながらハサミが私の髪に近付いていった。

 私は抵抗出来ず目を瞑るとーーーー上空に眩い光が現れた。 

    


「きゃあ!」

「え、な、何?」

「ま、眩しい!」


     

 突然現れた光に三人組は驚いている。私も声には出さなかったが内心驚きながら目を瞑り続けた。光が止み私と三人組は目を開けると、



「ギャォォォォォォオオ!!」



 目の前にこの世の物とは思えない生物がいた。



(何あれ?ドラゴン?)



 私は上空を飛ぶドラゴンに視線を注いでいると、三人組が騒ぎだした。



「え、ちょ、何あれ!?」

「あれって、ドラゴン!?」

「え!本物!?」



 近くで騒ぐ三人組に私は目も掛けずただただドラゴンを見つめた。

 赤い鱗、ぎょろっとした鋭い目付き、蜥蜴に翼を生やしたあの感じ、正しくドラゴンだ。 

 本当にいたんだ。

 私は物珍しそうにドラゴンを観察すると、ドラゴンは急に息を大きく吸い込み顔を上に向けた。



 あ、あれってまさか。

 私はドラゴンの動作を察した瞬間、ドラゴンは顔を思いっきり下に向けようとした。

 だが、ドラゴンの顔は下に行かず何かに弾かれたかのように上を向き、真上に赤い炎を放った。



 炎は空を貫ける勢いで放出され、雲は消し飛び熱風がここまで届いた。

 やがて炎が消えると先程まで騒いでいた三人組が今度は別の意味で騒ぎ始めた。



「な、何今の!?」

「熱気がここまで来たんだけど!?」

「どうなってんの!?」



 三人組は訳が分からんとばかりに騒ぎ立てる。何時の間にか拘束も解けていて今なら逃げ出せるが、今はそんなことどうでもいい。

 私はそう思い再びドラゴンを見ると、ドラゴンがまるで何かから避ける様に空中を飛び回っている。



 私は何が起きているのかと目を凝らしてよく見てみると、空中に人が浮いていた。

 あの人がドラゴンと戦っているの?



 私はドラゴンと浮いている人の戦いをじっと見ていた。

 風の攻撃をしたりドラゴンがブレスで対抗したり、ドラゴンが殴り飛ばされたりと、まるで映画の様だった。



 私はその戦いに見いっていると、ドラゴンが爆発しながらこちらの方向に殴り飛ばされた。

 あれ?何かこっち来てない?



 私はドラゴンがこっちに飛んでくる事に気付いたと同時に私の近くにドラゴンがズドォン!!という音を経てながら落ちてきた。



「え!?何!?」

「何が起きたの!?」

「どうなってるの!?」



 急な事に三人組は動揺していると、目の前の土煙が晴れ、私達の前に既に満身創痍のドラゴンが現れた。

 


「グルル.....!!」

「......」

「......」

「......」

  


 突然のドラゴンに三人組は言葉も出なかった。満身創痍ではあるがドラゴンだけあってまだ威圧感がある。

 ドラゴンは私達を見ると威嚇なのか「ギャオ!!」と短く吠えた。

 それだけでも人を威圧する効果はあるようで、三人組はドラゴンを目の前にしていきなり倒れ始めた。気絶したのだ。



 精神弱すぎでしょ。

 私は急に倒れた三人を見てそう思った。

 三人は気絶し今私はドラゴンと目の前で対峙している。

 今すぐ逃げたしたいけど、さっきの威嚇が私にも効いたのか足が上手く動かない。



 動かない私を見てドラゴンはブレスを放つ気でいるのか大きく息を吸い込みブレスの体勢を取った。

 このままじゃ殺される!でも、足が動かない.....。



 私は必死に足に動けと命じるが足は小刻みに震えるだけで動こうとしない。

 動いて、お願い!動いてよ!!

 


 私は必死に訴えるが足は私に応える事はなかった。準備が整ったのかドラゴンは今にもブレスを放とうとしている。

 もう、駄目.....。

 さようなら、お兄ちゃん.....。

 私はもがくのを諦め目を瞑ったその時ーーーー



「伏せ」



 目を瞑った瞬間何処か聞き覚えのある声に何かが地面に叩きつけられる音が聞こえた。

 私はいったい何が起きたのかと目を開けると、目の前に地面に顔を付けているドラゴンとそれを見下ろしている人の姿があった。



 ドラゴンは地面に叩きつけられピクリとも動いていない。だが、そんなドラゴンよりも私は目の前の人に視線が釘付けになった。

     


「あれ?夏蓮?」



 私のお兄ちゃん、神谷夜兎に。



おまけ


    

 【遺伝?】



「夏蓮も母さんみたいに料理出来るんだよな?」

「それなりに」

「じゃあやっぱお前も母さんみたいに素早く出来たりするのか?」 

「あれほど速くない」

「そうか、そりゃあそうだよな」

「あれの9割位の速さ」

「十分速ぇよ」



ーーーーーーーーーーーーーーーーー



 【危険な遊び?】



“主ー、あれ何ー?”

「あれはシーソーといって子供の遊び道具だ」

“どうやって遊ぶのー?” 

「二人が両端に乗って上下に揺れるって感じに遊ぶんだ」

“面白そー!僕もやってみたーい!”

「じゃあやってみるか」



「それじゃあ行くぞー」

“いいよー!”

「そりゃ!!」

“わあぁぁぁ......!!”

「おー、見事に飛んでいったな」   



  

ーーーーーーーーーーーーーーーーー


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